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瓦礫と化したピアノの怨念

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演劇と怨楽の融合『ストロベリーソングオーケストラ』『瀉葬文幻庫』に於ける数々の楽曲・劇中歌を手掛けた座長・宮悪戦車の詩世界を纏めてみました。毒特の『鏡町』ワールドをご堪能ください。
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2020年6月の記事一覧

サラバ死ネマ(動画公開)

サラバ死ネマ(動画公開)

「さらば映画(シネマ)」のラストシーン
過去の模倣に嫌気差し
自分捜しに嘔吐する
名前も無い僕だけれど

すれ違いざま交差点
赤、青 点滅ドラマ
台詞忘れた明日の僕へ
通りすがりに奇遇のメロディ

サラバ、昨日の影消し去って
もう戻れない軌跡追いかけて
僕の声殺して高く空へ 黒く血を塗って

15階建ビルの上 飛ばすべき紙飛行機は燃えて
台詞覚えた明日の僕と
コノ世サヨウナラ、また会う日迄!

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血の軌跡が故の慟哭

血の軌跡が故の慟哭

軋轢を目の前にした彷徨える同志よ
血塗られた踊子達のレヴェランス
煩悶だらけの傀儡役者
火吹き男の仮面の下の瞳には、
何が映っているのであろうか?
娑婆で終焉を待つ鞍馬天狗よ、
まだ頭巾を脱ぐには一寸早い
今こそ排斥の匕首を抜いて、
黒く塗られてしまった壁を打ち砕くのだ

切り裂け 隷属の記された書割国家
塞げ 奈落から聞こえる虫の嗄声
釘を打ちし地獄

与えられた次の言葉は何だ
虚構が落書ならば

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鳥檻-torikago-

鳥檻-torikago-

錆びた 鳥檻の幻聴
消し去った青い過去の翼弦を
繋いで 終わりなき罪のコードを
語らない 壁に向かい苦い水を啜る

失いかけた 僅かな光がこぼれる
鍵穴 差し込む 闇 カタルシス ひとつの
聞こえる 刹那に 初めての鼓動
逃がさない 手足を奪われても

硬い実啄ばむ 幼き衝動
灰の海 溺れ沈んだ 羽の鍵よ
描かれる事の無かった 僕の翼よ
誰も居ない真冬の部屋、鍵かけた そっと

硬い実啄ばむ 幼き

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一通の手紙(怨源未発表)

一通の手紙(怨源未発表)

生きるのに飽きた 男の衝動 
震える手が書く 一つの手紙
恋文でもない 文通でもない
真っ赤に染まった 四十九の文字

それから男は、その手紙を電柱の外灯の光りにボワッと浮かび上がる、いつ誰が取りにくるかも解らない黒いポストに投函しました。
手紙に書かれていた宛先は実在しなかった為、手紙はヒラヒラと時間の狭間をさまよいました…

「郵便番号五七八零九零八」
「海馬郡鏡町仏壇仏具長屋六ノ三上ガル借家

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拝み屋デブコの犯罪

拝み屋デブコの犯罪

過ぎ去る 夏の声 捕まえた
夕刻の影殺し 含羞む君の
背中にはりつく 真っ赤な鼓動
うしろのしょうめん だ・あ・れ、、。

壁に記された落書きを
五臓六腑の事件と見立て
空の底辺ぶら下がった
拝み稼業の主役の劇場

夜の牢屋の蟋蟀達は
闇を伝える怪話を貪り
月を描いた天文学者は喉の佛と言の葉黙した
ギラつく虚構の町は本を捨て猫を得た
鬼籍に転んだ詩人の遺言
猫の眼が光ったら犯罪が起こると

過ぎ

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狂れた埋葬虫、電波、赤マント!

狂れた埋葬虫、電波、赤マント!

時代はメギド四十九年三月七日、
鏡町の電波塔から発令された訃音警報により、
穢土にはびこる埋葬虫屈が突然変異、
屍に仕立てあげられた赤マントの男を捜索、
弑逆的かくれんぼを始めた!

墓場で目覚めた赤マント 眩い太陽
手枷をしたまま佯狂演劇 ゆうらゆうら歩く
片目に映った最後のト書きには 赤い字で書いた
これは遊びなんかではありません!
と、書かれていた

堂々巡りのかくれんぼ 埋葬虫電波の道

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走るという行為を改めて見直す提議、走レ!

走るという行為を改めて見直す提議、走レ!

走レー!!

先妻に先逝かれた政治屋の発言
「イデオロギーを失った屍と化した俺は、傷心旅行をしよう
と鏡町からB列車に乗り込み!」

第4鉱区の女学生の発言
「私と出会った!
生きる事に怯えた私は光を求めたわ!」

無免許国語教師の質問
「それはどんな光だ…さぁ、答えろ!どんな光なんだ!」

出口の無い炭鉱婦の発言
「細い一本のトンネルを金色の蟲が飛びかうの!」

走レー!!!

黒服の借金鳥の発

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黒い日曜日

黒い日曜日

忘れ去られた 赤く滲んだガラスの酬い
縺れた糸の人形 虚ろな眼で何を見てるの
貼り付けられた嘘の太陽
哀しげな暦売りの影 血だらけの釘を打つ

囚われの七つ目の戸籍に 刻まれた盲目の象徴
無くした過去の記号 モノクロ映画に遺した
貼り付けられた嘘の太陽
ギラ、ギラ、ギラ、
燃えている影 閉ざされた扉叩く
弔いの鐘が 消された夜に鳴り 証された時には

ナ…ニ…モ…ナ…イ…ナ…ニ…モ…

本を開けて

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新月に君想う

新月に君想う

目隠しされた新月に 星の光りが二つ
夢の中なら逢えるよ
鉛筆とノートを持って行こう
たくさん、君の言葉 書きたいから

ねえ君、まぼろし? いつかの鳥と消えた
違うよ、って言うなら その翼は何なの?
ねえ君、嘘つき 失われた時間は
夜空にきらめく星を 冷たい息で吹き消す
ねえ君、指切り かくれんぼはやめよう
解っているよ おやすみ、また夢で逢おう

昔歌ったあの歌を 夜空いっぱいに書きなぐり
ほら

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最期の審判

最期の審判

焔の海泳ぎ疲れた 肉腫の記憶捜索
理無い 壊れた揺籠の流罪

嗚呼、目を閉じ新たな呼吸を始め
一つの光と信じたのに
最後の審判告げられた!

夥しい鼠の群と 愚者の人類工学
裁判長!人間は一滴の涙と百の犯罪で
構築されているのをご存じでしょうか!

嗚呼、この世とあの世の隧道繋ぎ
両手を突き出し聞こえたのは
最後の審判告げられた!

人間という大罪を犯してみる
逃れる事の出来ない密告の警鐘と共に

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非傀儡宣言

非傀儡宣言

運命を刻め その扉に
時は告げられた 反隷属の鐘を鳴らすのだ
剃刀で夜空を 切り裂く犯罪
言葉を放て 非傀儡宣言!

夙に飛び回る あの鳥と幽谷の地を
糸を断ち切れ 戯歌道化師 
手相を奪った 異腹の鬼を吊るせ
大空の濫觴 鳥瞰電波の発令
あの鳥を撃ち落とせ 非傀儡宣言!

痞えた その糸を 指に絡め時間を創る
さあ風よ この時間に吹け 
傷だらけの人形と共に

くたびれた時計の傷 錆び付いた罪無

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夢六道からくり糸車

夢六道からくり糸車

夢六道からくり糸車 因縁影供養 
夢六道からくり糸車 切断夢一縷
地獄に咲いた 焼ける様な赤い花

夢六道からくり糸車 烏合の亡者
夢六道からくり糸車 傀儡木偶人形
影を踏まれた うしろのしょうめんだあれ?

夢六道からくり糸車 現の難破船
ゆめ…りくどう…からくりくるま…
からくりからくり糸車

夢を游いだ 終わり無きかくれんぼ

暗室に刻まれた、夢
冷たくなった影の声
時折聞こえる風の歌
繰り

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大空を失った男

大空を失った男

月の影法師 黒猫の 口笛響く 飛行場の
風が伝える 飛行の記述 
蝋で固めた 鳥の羽根広げ
幽かに見える 真っ赤な太陽 
猫が鳴く前に 早く飛び立とう

両手を広げ 空を見て 自由を求め 飛び立つ

大空に憧れ、飛んで行ったまま帰らぬ男を描いた映画「大空を失った男」。彼の命日である一月一日には毎年「大空を失った男」が上映された。
だがしかし、映写技師がこの世からいなくなり、沢山の観衆が死に、映画と

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赤い蝶

赤い蝶

引き裂かれた 小さな梟
引き裂かれた 小さな梟
群がる 赤い蝶

意思をなくした 両目に揺れる
意思をなくした 両目に揺れる
彷徨う様な影

羽根から滴る
赤い滴 乱れ散る
もっと向日へ
もっと向日へ
もっと向日へ
もっと向日へ

涙焦がれる 曼珠沙華の核
涙焦がれる 曼珠沙華の核
冷たい月の夜

いつか再び 命をください…
いつか再び 子宮を泳いで…

遠い海の記憶のままに…

2003年
赤い

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