黒い日曜日

忘れ去られた 赤く滲んだガラスの酬い
縺れた糸の人形 虚ろな眼で何を見てるの
貼り付けられた嘘の太陽
哀しげな暦売りの影 血だらけの釘を打つ

囚われの七つ目の戸籍に 刻まれた盲目の象徴
無くした過去の記号 モノクロ映画に遺した
貼り付けられた嘘の太陽
ギラ、ギラ、ギラ、
燃えている影 閉ざされた扉叩く
弔いの鐘が 消された夜に鳴り 証された時には

ナ…ニ…モ…ナ…イ…ナ…ニ…モ…

本を開けて日曜日という存在を知った疑似家族の最後の晩餐は、髪の毛混じりのトマトスープのみで、注文の多い料理店でさえも真似をする事は無かった。貼り付けられた嘘の太陽に狙われた活字中毒患者は、自分の影に捜索願を出し、過去の遺物を取り戻す為に己の眼球を封印したのである

破り捨てられた赤い記憶　
書きとめられた似非物語
夜の太陽は西を照らし　
義眼国家の終わりを報せる
火点け赤猫メギドの崩壊　
手帳片手に僕等に用かい？
あれ？今日は何曜日？

踊子達の集団失踪
伽藍劇場、無言の挿話
鐵の脚本言葉は重く
身代わりの影行く宛等無く
首のまわりに糸が縺れた
君のポストに黒いデスレター
あれ？ネジが外れてる

頁を捲ると黒い蟲が這いずり
指で押し潰し赤の記憶甦り
確かに笑ったあの日のかくれんぼ 黒い日曜日

誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、見えなくなった赤い影
誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、燃えてしまった人形の
忘れられた赤い日

もういいかい、まあだだよ拐われた太陽の慟哭 空には…
確かに笑ったあの日のかくれんぼ 黒い日曜日

誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、見えなくなった赤い影
誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、燃えてしまった人形の
誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、ばらばらになった家族あわせ
誰が隠した 誰が隠れた　
嗚呼、かくれんぼ黒い日曜日

忘れられた赤い日 かくれんぼ黒い日曜日

2010年
切断の異學
作詩・作曲/宮悪 戦車