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言語学習ストラテジー(レベッカ.L.オックスフォード)のご紹介  ~こどもに「勉強しなさい」と言う前に~

親から「勉強しなさい」「勉強しろ」「宿題したの?」と言われることは、こどもにとってとても耳うるさいことです。
言ったところでしないのはご存じの通り。
「勉強しろ」という言葉は、こどもの気持ちを勉強から遠ざける効果はあっても、近づけることはありません。もし勉強し始めたとしても、それは見せかけだけのこと。こどもが心から「よし、勉強するぞ」となって初めて効果を発揮するのです。

さて、今日は、親の皆さんが学ぶ日です。
1990年代に教育者のレベッカ・L・オックスフォードさんが発表した「言語学習ストラテジー」をご紹介します。

ストラテジーとは、検索すると、
strategy…目標達成のために計画や方法を立案すること
と出てきます。

オックスフォードさんは
「学習をより易しく、より早く、より楽しく、より自主的に、より効率的に」学ぶ方法を体系的にまとめて分類しました。

これは、大きく分けて2つ、学習に直接かかわる「直接ストラテジー」と
学習を間接的に支え習得のための条件を整える「間接ストラテジー」に分類されています。

さて、それぞれを詳しく見ていきましょう。

〔1〕直接ストラテジー

①記憶ストラテジー
情報の記憶や想起に使うストラテジー。
例:語呂合わせで覚える。何度も書いて覚える。

②認知ストラテジー
実用的なストラテジー。認知的な理解を促進させるための工夫。
例:辞書などで調べ、分析や整理をする。重要事項に線を引く。ノートに自分の言葉でまとめる。

③補償ストラテジー
知識の不足を補うためのストラテジー。
例:わからない単語を前後の文脈で判断する。相手の表情から推測する。


〔2〕間接ストラテジー

④メタ認知ストラテジー
学習過程を調整するためのストラテジー。学習状況を客観的に観察し把握するため。
例:弱点を知った上で学習計画を立てる。学習目的を書き、達成期間を設定する。

⑤情意ストラテジー
学習における情緒や態度をコントロールするストラテジー。気持ちや環境を自分で整える方法。
例:やる気が出ない時に気持ちを切り替える。準備をして自信をつけ不安を軽くする。

⑥社会的ストラテジー
学習のために環境や周囲の人を取り込むストラテジー。
例:図書館を利用する。質問ができる友人を作る。


こうして改めて分類を見てみると、オックスフォードさんも「言語学習ストラテジー」も知らなかったけれども、自分が学生時代に勝手にやってきた勉強法が含まれているんだな、と知ります。

ここで今一度勉強方法を整理して、親としては「より易しく、より早く、より楽しく、より自主的に、より効率的に」こどもたちに学習していってもらえばいいのではないかと考えます。
ただ「勉強しろ」という言葉を投げかけることが、全く無意味で足を引っ張っているだけだということに気づきます。


小学生くらいのこどもにとっては、勉強する時にも親が身近な存在になります。
親が我が子に勉強してほしいのなら、このようなストラテジーを授ける…ということが最も有効です。

直接ストラテジーに関しては、「こういう勉強法がある」ということの伝授です。自分がしてきた勉強法をストラテジーに沿って紹介します。

間接ストラテジーに関しては、親の役割が非常に大きくなってきます。

「⑥社会的ストラテジー」の一例として、身近な親が、こどもの質問に答えてあげられる存在だと、学習もはかどります。家庭内の勉強でわからないことがあった時に、その場ですぐに聞いて、すぐに解決することができるからです。そしてその場で身に着けることができます。
わからないことを明日先生に聞こう、友達に聞こう…というふうにはなりにくいですし、そう思っていても別のことがあればそのことは忘れてしまいます。そしてわからないまま放置されてしまり、ついにはそれが溜まっていってしまうのです。
わからないことがすぐに解決する子と放置して蓄積してしまう子に差が出ることは明らかです。

「⑤情意ストラテジー」を知ると、家庭内の親子関係が、子の学習に大いに影響を及ぼしていることが理解できます。
「やる気のない」こどもを、「やる気」にさせることを考えなければなりません。「やる気」を失わせる言葉を不用意に投げかけていませんでしょうか。自信をなくすような言葉、不安に感じるような言葉、どれもNGです。
勇気づける言葉が重要なのです。


こどもの学びにブレーキをかけるのか
こどもの学びを応援するのか

親に知識があるか、意識があるか…で、こどもの学びに差ができる…というお話でした。



もっと詳しく知りたい方は、下記著書をご覧ください。

言語学習ストラテジー~外国語教師が知っておかなければならないこと
レベッカ・L・オックスフォード著
凡人社 1994年5月出版







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