ウトユウマ

監督作「明けまして、おめでたい人」が 2024年6月14日(金)より シモキタエキマエ…

ウトユウマ

監督作「明けまして、おめでたい人」が 2024年6月14日(金)より シモキタエキマエシネマK2にて1週間限定公開。 エッセイをたまに書いてます。

最近の記事

階段ないやん

 荷揚げ屋の応援でフローリング材の階段揚げと聞いて現場に向かったものの階段はまだ設置されていなかった。  大工さんが慌てて階段を取り付けている最中だった。  大工さんを見上げる我々の表情は太々しい厄介な荷揚げ屋に映ったかもしれない。  ただ、大工さんは多分悪くない、こういう場合に予想されるのが現場監督の段取りミスが原因である。  そんな渦中の現場監督は現場にすらいなかった。  荷揚げを発注している職人は当然のように「階段が出来たら2階まで上げてそこから差し上げて」と言ってき

    • 今さっき見た夢

      たまに登場する信頼する後輩Aに文章を書けば 送ると言うのが日課でもある。 今日も「ニューシネマパラダイスとウト」を書き送った際に即座に返ってきた文章を了承を得てここに記載したいと思う。 「夢の外へ」 俳優A 夢にウト君が出てきて 喧嘩して別れて さっき行ったカフェに何故かグローブを忘れたから そのお店に電話して 「グローブ忘れたんですけど 有ります?」 すると先程の店員さんは 「グローブないですよ?」 右手にグローブを持っている自分。 「あっ!グローブありました!」

      • ニューシネマパラダイスとウト

        何かと転機のタイミングで流れてくることが多い。 その度に僕は涙するのが「ニューシネマパラダイス」のテーマである。 一年で潰れた養成所の授業で名作を観る授業があって「ニューシネマパラダイス」を観た。 映画に関しては本当に邦画か母の影響もあってか韓流映画しかほとんど観た事が無かった。 しかし、子供の頃に鑑賞し、事細かに覚えている作品は洋画「フェイスオフ」と「ボーイズ・ドント・クライ」だったし。(トラウマに近い) 夢に長澤まさみが登場してからは「セカチュー」と「ロボコン」を死ぬほ

        • 僕のアラブ

          1万人、2万人とフォロワーを有するインスタグラマーを覗いてみるとほぼほぼが中東系のフォロワーで埋め尽くされていたりする事がある。 その度に僕は「中東では空前の日本人ブームが来ているのだ。」と思うようにしている。 グニャグニャとしたアラビア語を見ながら。日本人より目鼻立ちが整ったプロフィール画像を見ながら、僕の脳内は疑問符で覆いつくされる。 いつかまた、アラブに行きたいと思っている。 その時はまた砂埃が粘膜に沢山付着して、僕の鼻は鼻くそで覆いつくされる。

        階段ないやん

          文学と出汁巻玉子

          文学の醍醐味は個性であると思う。 特質・特性があり旨味があるかないか、 それだけで今は読み進めている部分がある。 こんな事を僕みたいな人間が言ってしまうと 生粋の文学好きには怒られると思うが我慢して、 読書する時間だって往々にしてある。 日雇い現場に向かう電車内ではKindle、文庫本を開き 溜息を漏らしながらも電車だけは読書しようと心掛けている。エンタメ作品はストレスなく物語を追っていける。 純文学はキャラクター、心象描写、文体によって楽しみ方が変わってくる。 わかんねぇな

          文学と出汁巻玉子

          フィリピン人の子

          午後はフィリピン人の子と現場が一緒だった。一緒だったと言っても属してる会社は別である。なんだか日雇い現場日記みたいな事になっているなと思いながらも電車内で書いている。 現場に到着すると先方から「もう一人いるから二人でやって」と紹介されたのがフィリピン人の子だった。すぐさま作業に取りかかる、全ては早く帰るためである。 作業開始と同時に頭の中で思い描いていたのは映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」だ。 ポール・マグサリン演じるアンドレイを回想していると自作品で登場した斉藤天

          フィリピン人の子

          芦花公園駅と片腕がない人

          片腕がない事を認識するのにそれなりの時間を要した。 二人で長物のパイプを運搬している時だった。 ニュースやSNSの速報ばかりを気にして 不安になる気持ちを差し引いても午前の現場が三十分で終わり少し気分が良いので次の現場に向かう電車内でまた懲りずに書いている。 誰も武器は所持していない。 僕はヘルメットとカッターナイフを所持している。 いつも通りその日も夜勤現場に入っていた。 四人現場の駅工事、解体された廃材をトラックに積み込む作業だった。 先方には長物が割とあるから運搬時

          芦花公園駅と片腕がない人

          阿佐ヶ谷駅近くのマクドナルド

          久しぶりに文章を書いてみようと思う。 私は現在、訳があって阿佐ヶ谷で生活している。 私は訳があって居住地を変える事が多い。 訳があってそこへ入り浸り訳があって追い出され 訳があって拠点を変えていく。 まぁ誰がどう見ても一端の生活を送ってるようには思えない。 「流浪人」と言い聞かせてはいるのだが、先程翻訳アプリで「流浪人」と検索した所「ホームレス」と訳されて情けない気持ちにもなった。 だが、ほぼ相違ないのも事実である。 阿佐ヶ谷駅北口から出ると商店街入口にマクドナルドが

          阿佐ヶ谷駅近くのマクドナルド

          酔っ払って書き殴る、ウトの死(詩) 「朝ぼらけ」

          朝ぼらけ。 鳴り止まないアラーム。 僕はやっとの思いで上体を起こし、目線を カーテンにうつす。 隙間からは朝日が漏れ、煌々しい陰影の中、 僕は。いつかの海岸線を思い浮かべる。 かもめが飛び交い、そのまた上空には 一羽の鳶が飛んでいる。 海岸に打ち上げられた、子猫の死骸。 まだかまだかと鳶は待ち侘びている。 朝ぼらけ。 アラーム代わりのiPadを確認すると アラームはまだ、機能していないようだった。 夢の中でアラームが鳴り響いていたのだ。 急に波の様に焦燥感に 駆

          酔っ払って書き殴る、ウトの死(詩) 「朝ぼらけ」

          爪を切り、回想旅行する

          爪を切る行為に個性は存在するのか。 私は先ず、普段机の上に置いてある発想や構想を 書き殴るためのノートを真ん中から ふぁん と開き 爪切り片手に爪を切る。 慣れた手つきでものの数十秒で終わらせる。 足は面倒臭いから気分次第では切らない事もある。 手だけは見栄えもあるものだから要所要所で切る様に心掛けている。 足は痛みが生じたら切るようにと定めている。 その為、切るタイミングがまちまちであるかと言えばそう言う事ではない。 足を切るタイミングで必ず、手も切るように決め

          爪を切り、回想旅行する

          おっさんの涙

          僕は彼の事を愛情も込めて「おっさん」と呼んだ。 「おっさん」と呼ぶと関西人である彼は 「誰がおっさんやねん!!」とコテコテの関西弁で返す。 ある日、おっさんが泣いていた。 泣くとは思っていなかった。 彼と僕は一回り以上歳の差があった。 人生経験が僕より上の人間が泣くとは思ってもみなかった。 彼は普段は航空会社の整備員として働いている。 大阪から単身赴任で来た矢先にコロナによる経営悪化。 僕が勤めている先に出向でやってきた。 僕がそこに入った時期とあまり

          おっさんの涙

          往復書簡#1「不本意な始まり」 俳優 A→ウトユウマ

          秋の夜長に知り合いから いきなり往復書簡を      やらないかと連絡が来た。 そもそも往復書簡という 言葉にあまりピンと来ず やるもやらないも返事に困った。 とりあえず分からないが やる。と返答した。 そして往復書簡たるものを調べてみる。 テーマによる、多数の書簡(手紙)を収録、編集して、書籍にまとめたもの。特に、特定の2人の人物の間でやり取りされた書簡を収録する場合には、往復書簡集という。 こういうことらしい。 なぜ知り合いが「往復書簡」というものに 取り憑

          往復書簡#1「不本意な始まり」 俳優 A→ウトユウマ

          暑がりで寒がりな僕はただ、寒くない?と問う

          「寒くない?」と問う時、 先ずは自分も寒いと思ってる前提で 本当にその相手の事を想い発した言葉なのかと 「寒くない?」と問うた途端に不安と自分に対しての嫌悪感が押し寄せる。 最近読んだ小説にも 「女性は身体を冷やさない方が良い」と何処かで仕入れた知識で そっと布団を掛けるシーンが合って改めて思索してる自分である。 だが、知識だけで生きるのは良くない。 知能だけで生きている人間が今は多すぎる。 僕は知性で生きてきた筈だ。 何処かの誰かにも言われた。 「君は知性がしっかりある

          暑がりで寒がりな僕はただ、寒くない?と問う

          言葉の在庫

          僕みたいな人間が言葉の在庫なんて言ってしまったら 先人方が作り上げた言葉たちに失礼極まりないと思いながらも 僕の言葉の在庫は枯渇状態で有り 入庫する他無い状況である。 そんな時は読書と言う入庫作業を行う事により潤わす。 対して難しい言葉を使っている訳でも無いのだが やはり人と接したり話したりすると言う作業自体も 入庫作業ともする行為で有り相違ない事である。 最近も数多、昔の記憶を辿り回想録を書いてはいるが 肝心な所で言葉が詰まり書きあぐねている作品が幾つもある。 正直な

          言葉の在庫

          今日までそして明日から

          不安に押し潰されそうになる夜がある。 何でか何でそうなのか 「(わからない)」と 思った振りをしても0.2秒後には 自分の弱さの所為だと気づく 僕がもし、悟りを開いていれば 様々な人間に同じ温かさで接する事も できるはずだし、幸せにできるはずだとも 少しばかり思う。 そんな考え自体が先ず愚かなのだとも思う。 螺旋状の上を歩いている。 くるくる回ってぐるぐる目が廻る。 平衡感覚を失う事もある。 登っているのか、 下っているのかも分からない螺旋階段を 今、自分は何階に位置し 何

          今日までそして明日から

          504とせんだみつおゲーム

          最寄り駅のすぐ近くにある銀だこ酒場で呑んでお別れしようとなり僕らは いつもの様に同じ量の酒を呑み、駅に向かおうとしていた。 本日は終日デートなりけり。 昼前に有楽町駅で待ち合わせをし、shake shackでハンバーガーを食べ 国際フォーラムにある相田みつを美術館に行く事までは前日に決まっていた。 極めて健全なデートなりけり。 その後は、ブラブラと皇居の方に出向き芝生に腰掛けいつもの様に とりとめも無い話をし、相田みつをと1時間半もゆっくりと 向き合ったため疲

          504とせんだみつおゲーム