504とせんだみつおゲーム





最寄り駅のすぐ近くにある銀だこ酒場で呑んでお別れしようとなり僕らは
いつもの様に同じ量の酒を呑み、駅に向かおうとしていた。

本日は終日デートなりけり。

昼前に有楽町駅で待ち合わせをし、shake shackでハンバーガーを食べ
国際フォーラムにある相田みつを美術館に行く事までは前日に決まっていた。

極めて健全なデートなりけり。

その後は、ブラブラと皇居の方に出向き芝生に腰掛けいつもの様に
とりとめも無い話をし、相田みつをと1時間半もゆっくりと
向き合ったため疲れ果ててしまった。

そして、僕の自宅に向かい休む事にした。

銀だこ酒場の閉店時間になり店を後にした。
もう少しだけ居たいと思ったため
「煙草を吸おう」と僕は時間稼ぎの策に出た。
煙草が切れそうだからと彼女はコンビニに入り、真っ直ぐレジに向かう。

自分の銘柄の煙草を探し店員さん目掛けて

「504(ゴーマルヨン)一つ下さい」と彼女が言った。

(EDWIN? キムタク?)

僕は彼女の思いもよらない突飛な語のニュアンスに思わず吹き出して笑いが止まらない。
それに彼女もつられ笑い

「何で笑ってるの?笑」と問う。

「いや、ゴーマルヨンってジーンズかい!笑」と突っ込む。

外国人の店員さんが真面目に会計をしている中、僕らは笑い合っていた。
会計を終え店を出るなり彼女は

「店員さん外国人だし、ゴーマルヨンっていつも言うよ!殆ど外国人じゃない?コンビニの店員さん」
と弁解の意を示す。

「俺は普通にゴヒャクヨン番て言うな!」

と言ってはみたものの何かが突っかかる。
思えば僕はそんな店員さんを思える心を持った彼女に恋い焦がれ
好きになったのだ。今は心底愛している。いや、違うな。まだ突っかかる。
わかった。喉に突っかかっているモノを言語化し吐き出してみる。

「外国人の店員さん思って言ったのはわかるけど、だったらマルってめちゃくちゃ日本語やん、古語やんどっちかと言うと笑 だったらゼロじゃない?」

「確かに」

そして、僕たちは再び笑い合った。

彼女はバリバリのキャリアウーマンで仕事ができる人なのだが、
どこか抜けていると言うか普段はアホなのである。
そんな所に、そんなギャップに惹かれていって今に至る。

自宅でゆっくりしていた時も彼女と相田みつをの復習の様な
会話をひとしきりしていて相田みつをは悟りを開いてるだの
すごいだの散々、話。終えると
携帯片手に操作しながら僕に

「昔、相田みつをゲームって流行ったよね?」と
割と落ち着いた口調で話してきて最初はボケかとは思ったのだが

「せんだみつおゲームじゃなくて?」
と僕も合わせて落ち着いた口調で返すと

「せんだみつおゲームだ!笑」
と爆笑する、僕も爆笑。
本当にこの人はアホだなと思いながら笑っていると頭の中で
「ど」と言う文字がゆっくりと浮かび上がる。

そんな今日は彼女に「ど」が追加された日でもある。



どアホでも良いではないか
人間だもの
そんなあの子が好きなんだなあ

うとを


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