今日までそして明日から

不安に押し潰されそうになる夜がある。
何でか何でそうなのか
「(わからない)」と
思った振りをしても0.2秒後には
自分の弱さの所為だと気づく
僕がもし、悟りを開いていれば
様々な人間に同じ温かさで接する事も
できるはずだし、幸せにできるはずだとも
少しばかり思う。
そんな考え自体が先ず愚かなのだとも思う。

螺旋状の上を歩いている。
くるくる回ってぐるぐる目が廻る。
平衡感覚を失う事もある。
登っているのか、
下っているのかも分からない螺旋階段を
今、自分は何階に位置し
何階に向かっているのかも分からなくなる。
途中にあるはずの階案内も見当たらない。
真ん中は空洞で飛び降りる事もできなくもない
下は見えない。
硬いコンクリートかもしれない
ふかふかのベッドかもしれない。
若しくは大きなトランポリンかも。
何度か飛び降りた事がある。
だがそこに有ったのは硬めのフローリングに
敷かれた蒲団だった事は確かだ。

今まで何度も眠れない夜を過ごしてきた。
そんな夜を乗り越えてきた。
寝てしまえば楽になるのだが
寝るまでの時間が恐怖で永遠にも感じる。
無情にも時間だけが過ぎ去る。

目覚めるとまた直ぐに螺旋状の不安の渦が
押し寄せてくる。
得体の知れない化け物と対峙する事だってある。
でも決まって負けないと心に決め文字と言う武器を携え勝負に今は挑む。
まだ一度も負けた事はないが逃げた事はある。

僕は弱虫で寂しがり屋である。
僕の左隣にはいつも彼女が居て
僕の右隣は物語があった。
寂しいのを誤魔化すために女性が居たのかもしれない。
と最近になって思い出した。

僕が必ず中心に居る。
僕は、物語と女性の中心で愛を叫ぶ
左隣の彼女が居なくなると
また新しい女性が隣に居て
気づくと彼女になっていて
僕は手を繋ぎ甘えている。
今は何故だか分からないが
「助けて下さい! 誰か、助けて下さい!」
と叫んでいる。

自分の事が制御できなくなっている。
自分の弱さが肥大化した得体の知れない化け物と
今は戦っている。
負けるつもりは無い、だが、まだ勝てない。
勝つつもりではいる。

昨日鑑賞した映画「劇場」に少し前の自分が存在して
不甲斐なさと愚かさに打ち拉がれた。
今だからこそ誰かに淘汰されたい。
そうも思う。
でも、その局面を避け続けてきたのは
自らであるし、されれば少しは変わっていたのかもしれない
とも思う。
そんな考えも先ず甘えなのだ。

こんな僕を愛してくれた人が今までに実際いて
そんな僕が今も変わらず存在して
その作品に混在しているのを観ると
何だかとても申し訳ない気持ちになり
涙が止まらなかった。
俺は今まで何をやってきたんだろう。
東京で僕がやってこれたのも支えてくれた人達が居た、居てくれた
からであり、決して一人ではやれなかった事だとも切に思う。
これからは、しっかりと誰かを幸せにできる人間に
なりたいと思った。

自分に器自体が存在してないのかもしれない。
紙皿はあるが水気を伴うと時間が経てば劣化し
紙皿諸共、ふやけてグチャグチャになる。
そんな自分だと思う。

立派で頑丈な皿を買えばいいのだけれど
それはしないと言い張る自分の性根を
疑いながらも受け入れ何故だか陶酔する。アホだ。

どんな人間になるんだろうか。

どんな人生を歩むんだろうかと思い悩む日々。

一層の事、消えてしまった方が楽なんじゃないだろうか。
一層の事、空洞に飛び込んでしまおう。

しかし、目覚めるとフローリングに敷かれた蒲団で目が覚める。

霧を抜けたら
雨が止んだら

今日はやけに吉田拓郎の
「今日までそして明日から」が染みる。

明日きっと雨である。

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