「構成」に感動する!!|【第三話(1) 十七歳ね、自分のシワをつかんで見たくない?】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
<1>
「大きく異なる2つのストーリーが同時並行で進展し、ここぞというところでクロスする物語」ってあるじゃないですか。
そういうのっていいなぁと思うんですよ!
「おー!2つのストーリーがここでつながるのか!なるほど。よくできてるなぁ」という感動がありますよね。「ストーリーではなくて構成に感動する」っていうんですかね。
本話は、まさにこのタイプの物語です。
<2>
本話のメインストーリーは、「藤吉晴美が、ラジオを聞きながら同人誌の原稿を描く」。
そして、「藤吉晴美の聞くラジオドラマ」がサブストーリーです。
<3>
まずは、メインストーリーをざっくり整理してみましょう。
・第1幕:藤吉晴美が、ラジオを聞きながら同人誌の原稿を描いている → キャラの髪形を確認すべく雑誌をめくる → だが、参考になるイラストは見つからない
・第2幕前半:藤吉晴美は、引き続き参考資料を探す → しかしやはり見つからない → ふと気づく「もしかして、いま自分が描いている同人誌はマイナーすぎるのでは!?」
・第2幕後半:藤吉晴美は、オタク友達に問い合わせる → オタク友達曰く、確かにマイナーらしい → 藤吉晴美はがっくり → その時、ラジオドラマに井上喜久子が登場。藤吉晴美は「へぇ。井上喜久子がゲストなんだ」と呟く
・第3幕:藤吉晴美は、ラジオドラマを聞いて苦笑する。そして決意する。売れなくなっていい!自分の描きたいものを描こう!
<4>
続いて、サブストーリーを整理します。
・第1幕:ラジオドラマ「絶望先生」が始まる → 舞台は年末、年忘れのシーズン → 望が言う「何が年忘れですか!年を忘れちゃいけない!」(年相応にふるまうべし、という意味)
・第2幕前半:望が叫ぶ「絶望した!年忘れ日本に絶望したー!」
・第2幕後半:大草麻菜実が登場 → 高校生ながら既婚者だと判明し、一同仰天。しかし可符香は「高校生でも結婚している人はいます。年忘れではありませんよ」 → 続いて、井上喜久子が登場「年齢なんて気の持ち方次第だと思います」
・第3幕:しかし木津千里は「年忘れは許せません!キチンと年齢にあった生き方をしないとダメです!」 → 木津千里の肌年齢は28歳 → かくして、木津千里はアラサーらしい生活を始める
<5>
さて、メインストーリーとサブストーリーの要点をご覧いただきましたが……ご注目いただきたいのは、第2幕後半です。
・第1幕、第2幕前半:2つのストーリーが別々に進行する
・第2幕後半:ラジオに井上喜久子が登場し、藤吉晴美が「へぇ。井上喜久子がゲストなんだ」と呟く
そう、第2幕後半で2つのストーリーがリンクするのです。
さらにその後、第3幕では……
・第3幕:「もっとメジャーな同人誌を描くべきだろうか」と思い悩む藤吉晴美。しかし、ラジオドラマを聞く内に勇気が湧いてくる「マイナーだろうと何だろうと、私は好きなものを描くんだ!」
上述の通り、本話はズバリ「大きく異なる2つのストーリーが同時並行で進展し、ここぞというところでクロスする物語」なのです。
ポイント②
もう1つ、アニメや声優に詳しくない方のために、井上喜久子さんについて補足しておきましょう。
・井上喜久子さんは、実在の声優
・自称「永遠の17歳」。「井上喜久子、17歳です」と自己紹介し、周囲が「おいおい」とツッコみを入れるのが定番ネタになっている
・なお、実際には1964年生まれ
本話に井上喜久子さんが実名で登場するのは、この「永遠の17歳」ネタが本話のテーマたる「年忘れ」とつながっているためです。
なお井上喜久子さんは、大草麻菜実役も演じられています。
関連記事
・ある日突然、事件に巻き込まれた男!!|【第一話(1) ほら、男爵の妄言】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
・悲劇のヒロインぶりたいお年頃♥|【第一話(2) 当組は問題の多い教室ですからどうかそこはご承知ください】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
・その駄洒落を擬人化せよ!!|【第二話(1) まだ明け初めし前髪の】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
・ネガティブとポジティブのかけ合い!!|【第二話(2) ティファニーで装飾を】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
・屁理屈に始まり、言葉遊びで幕を引く!!|【第二話(3) 新しくない人よ、目覚めよ】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
---🌞---
関連
---🌞---
最新情報はTwitterで!
---🌞---
最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)