物語に「テーマ」は必要か?|【第四話(1) 路傍の絵師】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:望が言う「人間はなぜか本筋以外のことに目がいってしまうものです」 → 宇宙人が襲来
・第2幕前半:宇宙人が巨大ロボを投下、街が破壊されていく → 一旧がやってきて「超古代文明の兵器が地中に眠っている!」 → 木津千里らは慌てて地面を掘る
・第2幕後半:その頃、宇宙人のリーダーは宇宙船の中で監視カメラの映像を見ていた → やがて小森霧が映る。小森霧は「ねぇ。私の水着姿を見たい?」 → リーダーは興奮 → しばらくして、木津千里らが石仮面を掘り当てる → 木津千里がそれをかぶり、巨大化
・第3幕:木津千里はエヴァンゲリオンの如く戦い、巨大ロボを打ち倒す。さらに宇宙船も攻撃 → 小森霧に夢中になっていたリーダーは対応が遅れ、「本筋以外に気を取られたせいだ!」と悲鳴を上げて爆散した
・エンディング:木津千里の活躍によって地球は守られた……が、望や一旧は別のもの(巨大ロボのデザイン、木津千里のパンツ)に目を奪われていたせいで、本筋(木津千里の戦いぶり)をちっとも覚えていなかった
ポイント②
<1>
「七夕」「宇宙人」「地球侵略」「巨大ロボ」「超古代文明の兵器」「小森霧の水着姿」などなど、本話には様々なネタが登場します。
一歩間違えばネタが多すぎてグチャグチャ、鑑賞者の理解が追いつかず意味不明な物語になりかねないところですが……しかし大丈夫。
本話はちゃんと理解できる。しかも面白い。
なぜか?
ポイントは【テーマ】です。
<2>
【テーマ】に注目して、ストーリーを整理してみましょう。
・第1幕:【物語全体を貫くテーマ(人間は本筋以外のことに目がいってしまうものである)】が提示され、「ファースト・ターニングポイント」で事件が発生する
・第2幕:物語がグングン進み、「セカンド・ターニングポイント」で急展開を迎える
・第3幕:鑑賞者をワクワクさせるクライマックス(エヴァンゲリオン風の戦闘シーン)がやってくる。ここでのポイントは、主人公サイドが【第1幕で提示されたテーマ】に沿った方法・理由で勝利していること。すなわち、小森霧に気を取られ、本筋(= 木津千里との戦い)に集中していなかったのが宇宙人の敗因だ
・エンディング:【第1幕で提示されたテーマ】に沿ったオチで幕引き
<3>
ご覧の通り、物語の序盤で【テーマ】が提示され、その【テーマ】を踏まえたクライマックス → エンディングが描かれています。
つまり、作品全体が1つの【テーマ】に沿って展開されている。
一本筋が通っているから、次から次へとネタが登場してもグチャグチャにならない。鑑賞者は迷子にならずに済むのです。
鑑賞者・読者の「理解しやすさ」を高めるに【テーマ】を使う……みなさんもぜひ試してみてくださいねー!!
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(担当:三葉)