彼女はしたたかな強い女で、しかも聖女!!|「好色元禄㊙物語」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ🎥 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
<1>
本話は、女性の<強さ・偉大さ>を描いた物語です。
というのも、本作の主人公はお夏とお七という2人姉妹なのですが、このお夏というキャラは……
・豊満な肉体を武器に男たちを手玉に取り、見事玉の輿を成し遂げる<したたかで強い女>。
・しかしその一方で、若い坊主(西鶏)の筆下しを無償で手伝ってやる<聖女>的な性質も持ち合わせている。
一方、お七は……
・元々は<貞女/平凡で面白みのない女>。
・しかし、ひょんなことから夫を殺してしまい、「千人祈願(千人の男と性交する)」を開始。男たちは、無償で性交に応じてくれるお七を<聖女>と崇めた。
・自罰と供養のために始めた「千人祈願」だったが、しかし男たちと交わり続ける内に、お七は性交の歓びを感じるようになる。つまりお七もまた、<したたかで強い女>的な性質も持っているのだ。
そう、2人はしたたかな強い女であり、同時に聖女でもあるのです。すごい!
<2>
一方、本作に登場する男は総じてアホでドジ、そして腰抜けです。
例えば……
・久松:真面目に仕事をするが、うだつがあがらない。自棄を起こして妻(お七)を売るものの、根が小心者なので悪人にもなりきれぬ。かくして半狂乱になって新造を殺し、お夏を強姦してしまう。そして最後は、お七に殺される。
・世之介:お夏に、2度も手玉に取られる。
・世之介の父:世之介ともども、お夏に手玉に取られる。
・西鶏:若い坊主。悟ったようなことを言っているが、じつは童貞。最後はお夏に筆下ししてもらって坊主を辞める。
ポイント②
続いて、本話の構成上の要点を整理します。
▶ お夏のエピソード
・第1幕:世之介に裏切られ、復讐を誓う
・第2幕:(お七のサポートをする程度で、特に目立った動きはなし)
・セカンド・ターニングポイント、第3幕:世之介への復讐完了(世之介を再び虜にする。さらに世之介の父と結婚)。そして最後に、西鶏の筆下しを手伝ってやる
▶ お七のエピソード
・第1幕:(顔見世程度で、特に大きな動きはなし)
・第2幕前半、ミッドポイント:久松に裏切られ、殺してしまう
・第2幕後半:「千人祈願」を開始。次第に崇められるようになる
・セカンド・ターニングポイント、第3幕:「千人祈願」を完了。引き続き、「一萬人祈願」を開始する
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(担当:三葉)
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