女子高生としては「中の下」!でも、悪ガキとしては「上の上」!!|【第8話(2) チオ・フィッシャー】「ちおちゃんの通学路」を三幕構成で分析する
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分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕(1):ある日の通学路。ゲームオタクのちおが、アクションゲームについて熱く語る → 興奮冷めやらぬちおは、手足を突っ張りビルとビルの隙間を登り始める
・第1幕(2):真奈菜が知人と偶然遭遇、会話を始める → ちおは「パンツを見られては大変だ」とさらに壁を登っていく
・第2幕前半:ちおは次第に楽しくなってくる。まるでゲームの主人公になったみたいだ!よーし、屋上まで登るぞー! → ちおは人に見つかりそうになるものの素早く避難、グングン登っていく
・第2幕後半(1):真奈菜がちおに気づき、仰天。そして怒りを覚える「いつもいつも危ないことをして私を心配させて……!」 → 真奈菜がビルの階段を上る → 途中人に見つかるが、上手く切り抜ける
・第2幕後半(2):ちおと真奈菜が、ほぼ同時に屋上に到着
・第3幕:真奈菜が鬼の形相でちおに駆け寄る → ちおは「私を心配してくれたんだね♥」と真奈菜に感謝 → ちおは、恐怖のあまり失神してしまった真奈菜を背負い、ビルの階段を下る。途中人に見つかるが、またもや上手く切り抜ける
ポイント②
<1>
「ちおちゃんの通学路」の主人公・ちお。
彼女は女子高生です。しかし、「女子高生としてのスペック」は低い。
まず、お世辞にも美人とは言えません。
次に、コミュニケーション能力が低い。ゆえに友だちは少ない様子。特に「リア充」グループに属する者には恐怖心を抱いており、関わり合いになりたくないと思っている。
また、ちおは重度のゲーマーです。それも「洋ゲー」オタク。平日にも関わらず夜明け頃までプレイする日も少なくない。
なお、ハンドルネームは「血塗蝶(ブラッディ・バタフライ)」。うーむ、この痛々しさ!まさに中二病。
さらに、この記事やこの記事で詳述した通り、ちおはゲスです。下品でお下劣な子です。
他にも、成績がいまひとつだったり、オシャレへの関心が薄かったり、ラブ・アフェアーと縁遠かったり……いろいろと残念な子なのです。
そしてちおは、自身の「女子高生としてのスペック」の低さを自覚しています。私は「スクールカースト = 中の下」。中の下らしく大人しく過ごそう、と常々考えている。
<2>
さて、女子高生としては残念と言わざるを得ないちおですが……彼女にはもう1つの顔がある。
改めて本話のストーリーを見てみましょう。
・Step 1:とあるアクションゲームに影響を受けたちおが、ビルとビルの間を登り始める
・Step 2:次第に「まるでゲームの主人公みたい!ヤバい!楽しい!」と興奮し、ついには屋上(地上20mほど?)まで登りきってしまう
嗚呼、この男子小学生的な思考回路!行動原理!そして、それをやりきるスペック(身体能力や度胸、判断力)の高さよ!
普通の女子高生はこんなことをしませんよ。
そもそもゲームにここまでハマらないでしょうし、万一ハマったとしても現実に壁を登ろうとは思わないでしょう。そして百歩譲って壁に登りたいと思ったとしても、実現するだけの力がない。
<3>
以上を整理すると……
・【1】女子高生としては「中の下」:ちおは「女子高生としてのスペック」が低い。そして、それを自覚している
・【2】悪ガキとしては「上の上」:ちおの思考回路や行動原理は、男子小学生チックである。その上、身体能力や度胸、判断力がずば抜けている。ゆえに、<男子小学生が妄想しそうなアレコレ>を実際にしでかしてしまう
ご注目いただきたいのは、【ちおは女子高生。ところが女子高生としては「中の下」。一方、悪ガキとしては「上の上」】というこのズレです。
このズレこそが、ちおというキャラの魅力の源泉だと思うんですよね。
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