「男子高校生が餅を喉に詰まらせるだけの話」が、なぜこれほどに面白いのか?|【第10話(5) 男子高校生と雑煮】「男子高校生の日常」を三幕構成で分析する
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分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:ヒデノリが雑煮を作る
・第2幕前半:ヒデノリが雑煮を食べ始める
・第2幕後半(1):ヒデノリが餅を喉に詰まらせ、苦しむ → そして、心の中で叫ぶ「たっ、助けてくれ……ヨシタケ!」
・第2幕後半(2):ヨシタケがハッとした表情を浮かべる → じつはちょうど同じ時、ヨシタケも自宅で雑煮を食べ、餅を喉に詰まらせていたのだ
・第3幕(1):ヨシタケが心の中で叫ぶ「たっ、助けてくれ……タダクニ!」
・第3幕(2):タダクニがハッとした表情を浮かべる → タダクニも自宅で雑煮を食べ、餅を喉に詰まらせていた → 次の瞬間、タダクニの妹がタダクニの腹を殴りつけた
ポイント②
正月!
男子高校生3人が雑煮を食べて、餅を喉に詰まらせる!
それだけ!
……なのに面白い!!
いやぁ、すごいですねぇ。
一体なぜこれほどに面白いのか、考えてみましょう。
私見では、重要なのは以下の3点です。
・1:物語のトーンの急激な変化
・2:天丼
・3:天丼を外す
<1>
まずは、【物語のトーンの急激な変化】。
前半(第1幕~第2幕前半)のトーンは、【静】です。
ヒデノリが雑煮を作る。それを居間に運ぶ。そしてテレビをザッピングする……といった行動が、淡々と描かれている。
この静けさはやがてくるに違いない嵐を予感させ、「果たして何が起こるんだ!?一瞬も見逃せないぞ!」と私たちをワクワクさせてくれます。
そして……お待たせしました!
「ミッドポイント」を挟んで急転直下、後半(第2幕後半~第3幕)は【動】になります。
まずは、ヒデノリが餅を喉に詰まらせてひっくり返る。続いて、ヨシタケもひっくり返る。さらに、タダクニは妹に腹を殴られる……!
嗚呼、このドタバタ感!最高ですね。
前半が【静】だからこそ、より一層ハイテンポに感じられます。
【静】から【動】への急激な変化。これこそが、本話の魅力の1つと言えるでしょう。
<2>
続いて、【天丼】。
お笑い用語としての【天丼】、すなわち、「同じギャグやボケを繰り返すことで笑いを取る」というテクニックです。
さてご注目いただきたいのは、「セカンド・ターニングポイント」の以下のシーン。
・Step 1:ヒデノリが、餅を喉に詰まらせてしまった!大変だ!
・Step 2:次の瞬間、ヨシタケがハッとした表情を浮かべる。さては、ヒデノリの心の声が届いたのか!?
・Step 3:いや、違う!ヒデノリも餅を喉に詰まらせてしまったのだ!
ヒデノリに対して、「お前もかよ!(笑)」とツッコみたくなりますよね。
これこそが「天丼」です。
<3>
最後に、【天丼を外す】。
このテクニックが使われているのは、第3幕の「エンディング」です。
・Step 1:ヒデノリが、餅を喉に詰まらせる → 床に倒れ、苦悶する
・Step 2:ヨシタケも、餅を喉に詰まらせる → 床に倒れ、苦悶する
・Step 3:タダクニも、餅を喉に詰まらせる
ここまできたら、「なるほど。タダクニも床に倒れて苦悶するんだな」と思うじゃないですか。
ところが実際には……妹に腹を殴られる!
タダクニに対して、「お前は殴られるのかよ!(笑)」とツッコみたくなりますよね。
つまりはこれ、【鑑賞者に天丼を予想させておいて、それを外す】というテクニックです。
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以上、3つのテクニックをご説明しました。
皆さんも、ぜひ使ってみてくださいねー!!
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(担当:三葉)
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