「鑑賞者が油断している場面に<まさかの展開>をぶち込んで笑いを取る」というテクニック!!|【第5話(6) 男子高校生と文学少女3】「男子高校生の日常」を三幕構成で分析する
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分析対象
※本記事の分析対象は「男子高校生と文学少女3」。まずは「男子高校生と文学少女」を分析した記事をご覧になることを、お勧めします。
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・前提(「男子高校生と文学少女」の出来事):ある日ヒデノリは、見知らぬ女子高生から「キザでカッコいいセリフ」を言うよう期待をかけられる → ヒデノリは苦戦しつつも、彼女の期待に応えることに成功する
・第1幕:それからしばらくして……ヒデノリが例の女子高生と再会する→ ヒデノリは心の中で悲鳴をあげた「いやー!!」
・第2幕前半:女子高生は、またしても「キザでカッコいいセリフ」をヒデノリに期待しているようだ → ヒデノリが内心毒づく
・第2幕後半:だがヒデノリは、すぐに腹を決める「今日も楽しませてやるぜ!」 → かくしてヒデノリは言った「風が、冷たいな」 → ヒデノリが狼狽する。これじゃあ普通の会話じゃないか!。女子高生も困惑している
・第3幕:ヒデノリは奮闘するが……その後も、どうにも上手くいかない。ヒデノリは激しく動揺する → そして4度目の挑戦「今日は、風がきらめてやがるな」。これだよ、これ!ヒデノリは内心ガッツポーズを決める → ところが……女子高生は噴き出した → ヒデノリは心に深い傷を負う
ポイント②
<1>
上述の通り、本話は「男子高校生と文学少女」の後日談です。
ご注目いただきたいのは、「途中まで、両話がほとんどまったく同じ展開を辿る」という点です。
すなわち……
・1:女子高生が、ヒデノリに期待をかける
・2:ヒデノリは混乱、困惑する
・3:だが間もなく、ヒデノリは決意する「期待に応えてやらぁ!」
・4:かくしてヒデノリが、渾身のセリフを吐く
<2>
「男子高校生と文学少女」では「今日は、風が騒がしいな」と言い放ち、女子高生の心を捉えました。
ところが本話では……「風が、冷たいな」。
直後、ヒデノリは狼狽します。これじゃあ普通の会話じゃないか!
女子高生も困惑する。
多くの鑑賞者は、このシーンで噴き出したことでしょう。
何しろ私たち鑑賞者には、「男子高校生と文学少女」の記憶がありますからね。当然今回もヒデノリはイカした言葉を放ち、女子高生をメロメロにするのだろうと油断している。ところが……!!
ほら、人間ってふいを突かれると弱いものですよね。「ガチガチに警戒している時なら面白くもなんともないことでも、ふいを突かれると爆笑してしまう」って現象、ありますよね。
あれですよ、あれ!
つまり本話に使われているのは、【過去のエピソードが記憶にあるため、「どうせ○○になるんでしょ?」と鑑賞者が油断している……そんな場面に<まさかの展開>をぶち込むことで笑いを取る】というテクニックです。
いやぁ、本当に愉快ですね!
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(担当:三葉)
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