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「オチ」はむしろ積極的にバラすべし!!|【第1話(2) 男子高校生とスカート】「男子高校生の日常」を三幕構成で分析する

▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!


分析対象


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三幕構成


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ポイント①


本話のストーリーをざっくり整理すると……

・第1幕:ヒデノリが、スカートの話を始める → さらにヒデノリは「なぁ、妹のスカートを拝借できんか?」

・第2幕前半:タダクニは仰天、拒否 → しかし、ヒデノリとヨシタケが勝手に話を進める

・第2幕後半(1)3人はスカートを履くことにする → だが、実際に履いたのはタダクニだけ。タダクニは2人にハメられたのだ! → タダクニは赤面し、絶叫「お前ら、もう帰れよー!」

・第2幕後半(2):ところが、ヒデノリとヨシタケは「結構似合ってるぞ」 → タダクニは満更でもない様子

・第3幕間もなく、タダクニの妹が帰宅 → 妹が襖を開けると、タダクニがブラジャーを付けようとしていた → 3人は慌てて謝罪する


ポイント②


<1>

この爆笑エピソード!

じつに面白い!!


さてここからは、本話がなぜこれほどまでに面白いのか、その理由を探っていきましょう


<2>

まずご注目いただきたいのは、【本話はわずか4分弱の物語。しかし、ストーリーの転換点が3つもある】ということです。


・転換点1:ヒデノリとヨシタケがスカートを履きたがる。ところが!実際に履いたのはタダクニだけ。タダクニはハメられたのだ

・転換点2:タダクニは赤面し、絶叫「帰れよー!」。しかし!ヒデノリとヨシタケが、スカート姿のタダクニを褒める(演技ではなく、本気で褒めている様子)

・転換点3:2人に褒められ、タダクニは満更でもない様子。だがそれも束の間!妹が帰宅し、3人は慌てて謝罪する


転換点が多いということは、「ストーリーが揺れ動いている」ということであり、すなわち「飽きづらい」ということです。

また、「○○かと思ったら□□なのかよ!(笑)」というように、転換点は笑いの源泉にもなり得ます


逆に「転換点が少ない物語」はメリハリを欠き、のっぺりしている。ゆえに鑑賞者から飽きられやすく、笑いも起こりづらい……!


ポイント③


もう1つご注目いただきたいのは、【第3幕の構成の上手さ】です。

何がどう上手いのか、順を追ってご説明しましょう。


<1>

そもそも……世間一般では、「物語の途中で鑑賞者にオチがバレる = 失敗作!」「オチは最後までバレてはならぬ!」というイメージがあるじゃないですか。

でもこれ、間違った認識だと思うんですよね。


だって、逆に考えてみてくださいよ。

「予測できないオチ = 想定外のオチ」って、本当に面白いと思います?

皆さんも、「ええっ!?何それ」「ご都合主義かよ!」「あまりにも唐突!」「さんざん期待させておいて、これかよ!」「金と時間を返せ!」と不満を抱いたことがあるのではないでしょうか。


つまり「予測できないオチ」は、鑑賞者をがっかりさせてしまうリスクを孕んでいるのです。


<2>

むしろ私は、「鑑賞者が予測可能なオチこそが望ましい」と思います。

まず何よりも、「何だ、こんなオチかよ!」と鑑賞者をがっかりさせることがない


そしてまた……ほら、サスペンスやホラーを見ていると、「ダメだよ!そっち行っちゃダメ!あーあ。こいつ、バカだ。絶対殺されるよ。さぁ、間もなく殺人鬼が出てくるぞ。さぁ、来るぞ……来るぞ……来るぞ……来たー!やっぱり殺されたー!」とドキドキすることがあるじゃないですか。

あれですよ、あれ!

あのドキドキは、オチを予測できるがゆえのものですよね。

※補足:「オチを予測させることで、鑑賞者にドキドキしてもらう」というテクニックは、ヒッチコック監督が得意としたものです。詳しくは以下の記事をご参照ください。


つまりクリエイターが真に警戒すべきは、「途中でオチがバレること」ではありません。「一切オチがバレないこと」をこそ警戒すべきなのです。


<3>

上述の通り、「鑑賞者が予測可能なオチこそが望ましい」……のですが、しかし。その一方で、あまりにも予想通りで、一切捻りのないオチでは面白くありません

やはり、「おおっ!そう来たか!」という驚きはほしい


<4>

さて、整理しましょう。

以上をまとめると……【理想のオチ = 基本的には、鑑賞者が物語の途中から予測できるものであるべき。しかし同時に、鑑賞者を驚かせる要素が必要】


つまりは、「【予測可能性】と【意外性】の両立」ですね。


<5>

いよいよ本題です。

まずは、改めて第3幕を整理しておきましょう。

・Step 1:タダクニがスカート姿で、グラビア風のポーズを決める。3人は大盛り上がり

・Step 2:妹が帰宅

・Step 3:妹が襖を開ける。タダクニがブラジャーを付けようとしている

・Step 4:妹が静かな怒り。タダクニらは謝罪


そしてこの第3幕を、ここまでの議論をもとに整理すると……

・【1】予測可能性:たいていの鑑賞者は、「Step 2」の時点で本話のオチに気づくはずです。つまり、「あー、なるほどね!この凶暴そうな妹に悪ふざけがバレて、場合によってはボコボコにされてエンディングってわけだ」と鑑賞者にオチを予測させる構成になっている

・【2】意外性:ところが、妹が襖を開けると……ブラジャー!「悪ふざけが妹にバレる」という基本的な方向性は予想通りでも、まさかスカートに飽き足らず、ブラジャーにまで手を出しているとは!この驚き!ここに意外性がある


そう、本話の第3幕は、【予測可能性】と【意外性】が両立された見事なオチになっているのです。


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以上、「転換点をたくさん設ける」「【予測可能性】と【意外性】を両立したオチを作る」の2つ、みなさんもぜひ試してみてくださいねー!!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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