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「同情に値する哀れなキャラ」の描き方!!|『ショーシャンクの空に』に学ぶテクニック

名作映画を研究して、創作に活かそう!

本記事では、「ショーシャンクの空に」に【キャラの描き方】を学びます。

※「ショーシャンクの空に」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。

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主人公に「関心」を持ってもらわねば!


映画にしろマンガにしろ小説にしろ、物語の「冒頭」は超重要です。

鑑賞者・読者のハートをググッと鷲掴みにする必要がある。

特に重要なのが「主人公」。「共感」「感情移入」「好き」「応援したい」……どれでも構いませんが、とにかく、まずは主人公に「関心」を持ってもらわなければ話になりません。


本記事では、映画「ショーシャンクの空に」で使われているテクニックを研究します。「ショーシャンクの空に」の冒頭には、主人公(アンディ)に「関心」を集めるための仕掛けが施されているのです。


映画冒頭、アンディはどのように描かれているか?


「ショーシャンクの空に」は、「車の中でアンディが酔っ払っている。彼は拳銃を手に取る」という短いシーンから始まります。

そして場面は、すぐに裁判所に移る。

被告人はアンディです。彼は、妻とその浮気相手を殺した容疑で裁判を受けているのです。アンディは無罪を主張します。しかし検察官はアンディの証言を完全に無視。そして最終的に、終身刑が言い渡される……(こうしてアンディはショーシャンク刑務所に送られ、本作のメインパートが始まります)。

なお裁判の途中、事件当夜の映像(「アンディが車中で苦悶する」、「妻とその浮気相手がいちゃつく」など)が何度か挿入されます。


さて、今回注目するのはこの裁判の場面です。映画の冒頭に置かれた5分ほどの短いシーン。

まずはこのシーンで、アンディがどのように描写されているか羅列してみましょう。


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アンディがどのように描写されているか、イメージが湧いてきたかと思います。

そう、彼は「同情に値する哀れなヤツ」として描かれているのです。

「外見」も「発言」も「境遇」も、そして「他のキャラの人となり」も、「すべては、鑑賞者がアンディに同情するように仕向けられている」と言っても過言ではないでしょう。


例えば、「アンディの妻が浮気相手のズボンを脱がす」というカットについて考えてみましょう。

一見すると、ごく些細な、どうでもいい場面に見える。が、しかし!「ベッドの上で、浮気相手のされるがままになっている妻」と、「自ら浮気相手のズボンを脱がし、そのまま対面立位でセックスを始める妻」……どちらの方がアンディに憐みを感じるでしょうか?

当然、後者ですよね。

つまり「アンディの妻が浮気相手のズボンを脱がす」場面は、「アンディに同情を集める」ためには有効なカットなのです。


主人公を「同情に値する哀れなヤツ」として描くことで、鑑賞者の関心を惹くテクニック


多くの鑑賞者はこう考えるはずです。「誠実でいい人そうなのに、妻に裏切られている。彼が本当に無実なのか、それとも嘘をついているのかはわからぬが……どうも嘘はついていない気がする。まぁ仮に彼が犯人だったとしても、情状酌量があって然るべきだろう。何しろ、妻はクソ女だからね!それなのに終身刑とは……嗚呼、哀れ!」。

そして、哀れな人間を見れば応援したくなるのが人情というものです。

かくして映画開始からおよそ7分、多くの鑑賞者は主人公アンディに「関心」を抱くに至るというわけです。


つまり「ショーシャンクの空に」の冒頭では、「主人公を『同情に値する哀れなヤツ』として描くことで、鑑賞者の関心を惹くテクニック」が使われていると言えるでしょう。


ちなみに……アンディは、この後もしばらくの間ひどい目に遭い続けます。「ショーシャンク刑務所に収監される」、「無慈悲で暴力的な所長、主任刑務官に会う」、「不良囚人にレイプされる」などなど。

彼が「最悪」の時期を抜け出すのは、映画開始から34分過ぎた辺りです(工場の屋根を修理する場面。なおこの場面については、別記事で詳述します)。


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▶ 「ショーシャンクの空に」の「三幕構成」分析は、こちらの記事でどうぞ😁 → 【三幕構成の実例】ショーシャンクの空に




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(担当:三葉)

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