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アニメ「Kanon」第3話を5つの視点から分析する👀

引き続き、アニメ「Kanon」を分析します。本記事で取り上げるのは第3話。第2話以前を分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!


分析対象


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あらすじ


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【ポイント①】各ヒロインとの距離がさらに縮まっていく


本話は、前話に引き続き、【祐一と各ヒロインとの距離が少しずつ縮まっていくエピソード】である。

特に、真琴とは大幅に距離が縮まった。

また、栞とも関係が深まった。


【ポイント②】皆、記憶を失っている


<1>

本話はまた、【「Kanon」という作品全体を貫くテーマが明確になるエピソード】である。


前話を分析した記事でも申し上げた通り、「Kanon」のテーマは<記憶/思い出>、そして<記憶を取り戻すこと/過去と向き合うこと>だ。

第1話第2話では、①祐一が過去の記憶を失っていることが明かされた。また、②「祐一に思い出してもらいたいって人が1人でもいるのなら、思い出した方がいいと思うよ」という名雪の意味深な発言もあった。


<2>

で、本話では……

③真琴も記憶を失っていた!

④あゆも記憶を失っていた!

さらに、⑤「記憶のない女の子。何を落としたのか思い出せないあゆ。そして、7年前のことを覚えていない俺。……この街には、記憶を失くす魔法でもかかっているのか?」という祐一のモノローグ!


「Kanon」のテーマがより一層明確になっている。


【ポイント③】祐一の人間的な<弱さ>


<1>

前話を分析した記事で、私は以下のように申し上げた。

すなわち……【似たようなシーンを敢えて繰り返し描くことで、<主要キャラの性質>や<彼らの置かれた状況>を鑑賞者・読者に暗黙の裡に伝える】というテクニックが使われている、と。


例えば、<祐一が謝罪するシーン>だ。

謝罪シーンを繰り返し描くことで、制作者は<祐一 = いい奴>と私たち鑑賞者に印象づけようとしていると思うのだ。


<2>

で、本話。

本話でも<繰り返し>が使われている。私が特に興味深いと思ったのは、以下の2つだ。


▶ 名雪が待ちぼうけを食わされ、機嫌を損ねるシーン

第1話:商店街。祐一がふいにいなくなり、名雪はスーパーの前で待ちぼうけを食わされる。祐一が戻ると、名雪は「嘘つき」とそっぽを向いた

・本話:学校、昼休み。祐一がふいにいなくなり、名雪は教室で待ちぼうけを食わされる。祐一が戻ると、名雪は「嘘つき」とそっぽを向いた


▶ 祐一があゆを避けるシーン/あゆを振り払うシーン

前話:あゆは再会を喜び、祐一に抱きつこうとした。しかし、祐一は反射的に避けてしまう。かくしてあゆは木に激突し、号泣した「祐一くんが避けた~!」。

・本話:あゆが祐一の背中に飛びついた。間もなく、祐一はあゆを振り払う。かくしてあゆは涙目になって「祐一くんが捨てた~!」。


はて。これら2つの<繰り返し>は何を意味しているのだろうか?


<3>

これ、私は<祐一の人間的な弱さ>を示唆しているのではないかと思う。


というのも……まずは名雪が待ちぼうけを食わされ、機嫌を損ねるシーン

ポイントは、<祐一が名雪との約束だけを破る(他のキャラとの約束を破るシーンはない)>という点だ。名雪は穏かで心優しい少女である。そんな少女との約束だけを破る!

……そう、祐一は甘えているに違いない。彼は無意識の内に<名雪なら大丈夫>と考えているのだろう。


<4>

続いて、祐一があゆを避けるシーン/あゆを振り払うシーン


そもそも……第1話以来、【あゆが走ってくる → 祐一に激突して止まる】というシーンが繰り返し描かれてきた。

で、これ、<祐一が見ず知らずの少女を受け止めてやっている>と解釈することもできるだろう。つまり、見ようによっては<祐一 = 度量の大きな男>に見えなくもない……のだが、これは誤解である


何しろ祐一は、あゆが正面から突っ込んできた時には避けてしまうのだ(前話)!そして、背中に飛びついたあゆを振り払うのだ(本話)!

つまり度量の大きな男どころか、<祐一 = 他人を真っ正面から受け止められないヘタレ少年/自分に飛びついてきた少女を振り払おうとする頼り甲斐のない少年>なのである。


<5>

祐一は善人だ。

しかし……完璧な人間なぞいない。ましてや祐一は高校生、まだ子どもである。当然ながら、彼には欠点がある。

<他人の優しさに甘えてしまう/他人を真っ正面から受け止められない>といった弱さこそが彼の欠点だ。


【ポイント④】おでん種、了承、殺村凶子


本話には、「Kanon」ファンなら誰もが知っている有名なシーン・セリフが登場する。

以下、列挙してみよう。


<1>

まずは冒頭、祐一が帰宅したシーン

・Step 1:祐一が帰宅

・Step 2:名雪が玄関にやってくる「おでん種、買ってきてくれた?」

・Step 3:名雪は、祐一の背中の少女(真琴)を見て呟く「大きなおでん種……」

・Step 4:祐一は呆れる「これが食い物に見えるのか、お前には!?」

・Step 5:直後、秋子がやってきて「まぁ、大きなおでん種」


この天丼である!


<2>

続いて、真琴が「居候させてほしい」と秋子に相談するシーン


真琴の話を聞くや否や、秋子は言った「了承」。この一言である!

なおこの時、秋子は顔の傍で左手の人差し指を立てている。まるで教師のような仕草だ。

このしっかり者なんだか抜けているんだかよくわからぬところが、秋子の魅力と言えるだろう。


<3>

最後に、祐一が真琴に仮りの名をつけてやるシーン

祐一がつけたのは……ずばり「殺村凶子」


この<小学生並の言語感覚>が、いかにも男子高校生という感じで最高である。


【ポイント⑤】真琴はなぜ巾着餅を食べるのか?なぜ常人離れした身体能力を持っているのか?


<1>

最後に、真琴の言動に触れておきたい。


まずは、真琴の特徴を書き出してみよう。

すなわち……

・大食い

・感情がストレートに表に出る

・表情がくるくる変わる

・ばたばた走り回る

・長い髪の毛や、スカートがいつも揺れている

・隙あらば、祐一と口論している


<2>

で、そんな真琴ですからね、私、【真琴が祐一の巾着餅を奪い、食ってしまう】【深夜、祐一に驚かされた真琴が常人離れした身体能力で暴れる】といったシーンを初めて見た時に、「いかにも真琴らしいなぁ♥かわいいなぁ♥」としか思わなかったんですよ


……そう、「なぜ巾着餅なのか?」「なぜ常人離れした身体能力を持っているのか?」なんてことは考えもしなかった!これらのシーンが真琴の正体を示唆しているだなんて思いも寄らなかった!

こういう細かい伏線が巧いよなぁと思います。



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(担当:三葉)


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