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エッセイ・コラム

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2022年1月の記事一覧

察するチカラ

察するチカラ

「忖度」

国語の授業では話をほとんど聞かず自由に教科書を読み進めていた私だったが、高校時代、国語の先生が黒板に美しく書いたその2文字を今でも覚えている。

「そんたく」と読む。人の心を推し量る、という意味らしい。「察する」とか「慮る」みたいな意味合いに近い。

言葉にせずしてそれとなく察する、いわば阿吽の呼吸ともいうべき現象がそこにあることは、非常に尊いことだと思う。

「言葉にしない」というこ

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きっと今が一番暇で、そして一番青い

きっと今が一番暇で、そして一番青い

短いながらも自分の人生を振り返ったときに、ひとつ気づくことがある。それは、間違いなく年齢を重ねるごとに、やることも考えることも増えてきたということだ。

幼稚園なんてのはすこぶる自由である。私は自分の体のシルエットに合わせて床に木箱を置き、ひとりその中に入って天井を見ながらねっころがっていた記憶があるが、特に批判されることもなかった。

学校にいるころもさほど変わらない。まあ、勉強をしなくてはなら

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地震の予言が外れたら安心をするけれど

地震の予言が外れたら安心をするけれど

例えば、うさんくさい予言者が「来年のいつ頃に地震が起きる…」と予想をしたとき、我々は信じるか信じないかは別として、その日を意識してしまうものだ。

大体、そういう予言は当たらないと相場は決まっているのだが、そういう予想が外れた時に「よかった」と思っている自分がいたりする。

では逆に、うさんくさい予言者が「あした買った宝くじが当たるでしょう…」と予想をして喜々として宝くじを買ったとしよう。

大体

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丸顔礼賛

丸顔礼賛

以前、ある女性に「顔がまんまるだね」と言ったところ、「馬鹿にしてる?」と真顔で言われたことがあった。

女性にとっては「顔が丸い」ということはネガティブな印象を持つことのようだ。

大阪弁では男性に対してよく「シュッとしている」といったりする。これは大いなる褒め言葉で、顔がキリッとしている、体が引き締まっている感じのイメージだ。およそ丸顔のイメージとはかけ離れている。となると「丸顔=太っているよう

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「学歴=泣きぼくろ」説

「学歴=泣きぼくろ」説

「泣きぼくろ」というのは、あるとかわいい、とされている。

でも、泣きぼくろがあればみんなが可愛いわけではない。

仮にそうであるならば、整形として泣きぼくろを加える手術がもっと主流になっていいはずだ。現実はそうなっていない。

要は、すごくシビアな話ではあるが、かわいい子に泣きぼくろがあるからやっぱりかわいい、という話なのである。泣きぼくろはあくまで+αみたいなものであって、あくまで「かわいい」

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諦めたら、夢はかなう、かも。

諦めたら、夢はかなう、かも。

「夢」というものに純粋な期待を寄せ、そしてそれを追っている大人は少ない。

社会人は仕事という毎日同じタスクを繰り返す生き物だ。日々が消費されていくような、何とも言えない虚ろで平凡な日常に耐えるように生きている。

そしてそのうち、時間とともに現実と折り合いをつけて、夢をあきらめていく。いつの間にか、「昔はよかった」と、過去を顧みることばかりにいそしみ、未来を見つめる目を失う。

詩人である寺山修

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