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箱根を撮る。

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箱根の旅の途中です。
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#写真

やわらかな虚像。

やわらかな虚像。

バスが来るまで15分あった。

西日がさらに強さと角度を失い、あたりはすんとした空気に包まれている。ふと愛用しているイッセイミヤケの腕時計に目をやると17時になろうとしていた。

バスでも歩いてもホテルへの到着時間は、さほど変わらないことをグーグルマップで知った僕らは徒歩で戻ることにした。

こうして歩いてみると下り坂が多く、ホテルよりも美術館の方が標高の高い場所にあったことに気づかされる。

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森と共生するホテルで、哲学の一角を垣間見る。

森と共生するホテルで、哲学の一角を垣間見る。

ホテルに着いたのは6時前くらいだろうか。ちょうど黄昏時で、ここら一帯の茜色が透けて消えていき、濃紺が表情を豊かに僕らを木々を、そして空を包み込んでいく。

ホテルに到着して早々、ウェルカムドリンクのコーヒーをいただいた。宿泊中は無料て提供されているとのことで、この時点で二人のテンションは爆の文字が着くほどに上がっていたことを思い出す。チェックインの手続きを、カフェアンドバーのラウンジで行う。

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自然はアートなのか。

自然はアートなのか。

仙石原すすき草原を後にした僕らは箱根初日のメインスポット、ポーラ美術館へと向かった。

この旅行で、メインとなった交通手段はバスであり、このポーラ美術館もバスで行くこととなった。途中乗り換えが必要で、グーグルマップと格闘しながら、なんとか乗り換え先のバス停まで辿り着き、ポーラ美術館行きのバスに乗ることができた。

箱根の山道。揺られること十数分。バスから降りると、まだ日は出ているというのに、あたり

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奇妙な感覚をなぎ払いに。

奇妙な感覚をなぎ払いに。

今回の話は遡ること半年前、4月に端を発する。

大阪に住む自分と、東京に住む相方。

世の中はまさに緊急事態宣言下で、窮屈な生活を強いられていたものの、遠距離という自分たちの世界線で特に大きな変化はなく、いつもと同じように仕事終わりのどちらかが先に「おつかれさま」とLINEを送り、時計の針が上を指す頃には、当たり前のように電話をしていて、それがたまにビデオ通話になる時もあった。こうして1年。それが

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