マガジンのカバー画像

およそ500字日記

102
文字数を稼いでなんとか500字以上書けるように頑張っています。
運営しているクリエイター

#料理

2024年4月25日の日記

2024年4月25日の日記

 バターを買った。しかも高いやつ。一人暮らしを始めると気づく、バターの高価さと、マーガリンの手頃さ。この二者は似て非なるものではあるのはわかっているが、やはり料理をするにあたってはバターもほしい。

 一人暮らしをしていた2年間、バターを買ったことがなかった。それは単に常用するには手が出しづらい値段だったというのもあるが、マーガリンが代替品としてあまりにも有能すぎたからとも言える。
 
 今年は何

もっとみる
2023年6月26日の日記

2023年6月26日の日記

「最近どう?」

 慣れた手つきでフォークにパスタを巻きつけながら言う。右手が1回転する度、パスタの山が一まわり小さくなり、麺がするするとフォークの刃先に吸い込まれていく。金属製の皿がカタカタと音を立てる。オリーブオイルの滴るパスタが絡まったフォークはまるでハニーディッパーみたいだ。

 一人暮らしのときはパスタ料理ばっかり作っていた。なんてったって、量の調整が容易だし、味付けのキャパが広いし、複

もっとみる
2023年2月19日の日記

2023年2月19日の日記

 ちょっとばかし仕事が忙しくなって、2月がもう折り返していることに今気づいた。娯楽を楽しむためにはある程度の心のゆとりが必要なので、今はそのときではないと思っていた。
 それでもやはり、仕事をして家で寝るだけの日々というのは、小学生の頃に原稿用紙に殴り書きした将来像と大きくかけ離れてしまうので、まるで辻褄合わせのように生活のパレットに色を足していく。

-

 1ヶ月ぶりに飛行機に乗る。先月は飛

もっとみる
2023年1月5日の日記

2023年1月5日の日記

 居酒屋の終盤で起こりがちな「これ誰か食べる?」の応酬。散らばった小皿に一口分だけ残された惣菜、通称「遠慮の塊」。氷で満たされた空のグラスに、ちと荷は重い。
 こういうとき、闇を斬って真っ先に箸を伸ばすような人間こそが私である。遠慮の塊にも無遠慮なのがこの私。「食える時に食っとかないとね」、これは私の座右の銘である。美味しいものは待ってくれない、すぐに誰かの口の中、これはグルメレースにおける鉄則だ

もっとみる
2022年12月1日の日記

2022年12月1日の日記

 暗室でのみ寄席を開くアンダーグラウンド落語家、「苦楽亭見栄無(くらくてい みえない)」を襲名しようかな。それかバリバリ近視の落語家、「小作亭見栄無(ちいさくてい みえない)」でもいいな。どっちにしよう?いずれにせよ、いかにも半人前っぽいネーミングである。そんな半人前の師匠でも走り回るほど忙しい季節、師走がおわす。

-

 一人暮らしにおいて避けては通れない難題のひとつに、「自炊」がある。私は結

もっとみる