反成長小説~サリンジャー戦記を読んで~
野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』は読んだことがあるが、実のところ村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は読んだことが無い。しかし、村上春樹の語る『ライ麦』がどんなものかと気になって買ったのがこの本だ。
この本を読んでいて私が面白いと思ったのは、ヨーロッパの文学は成長小説が多いのに対してアメリカ文学は反成長的小説が多いと言っていた点だ。『ライ麦』の場合は主人公ホールデンが妹のフィービーのようなイノセントな存在を肯定し、大人たちなどを「インチキ野郎」と批判する。このように