草村来実

読書が好きです。

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  • シーナさんの作品を読もう

  • 驚異の旅シリーズを読もう!

    ジュール・ヴェルヌの驚異の旅シリーズを読んでいくまとめ

最近の記事

『十五少年漂流記』と『蝿の王』

 私はジュール・ヴェルヌが大好きだが、思えば一番王道であるはずの『十五少年漂流記』を未だに読んだことがないという状態だったのでこれはいかんと思って漸く読むことにした。  読んでみてまず、この本は子供がよく読むだけあってヴェルヌの中でもかなり読みやすい方なのではないかと思った。ヴェルヌあるあるの冒頭での長い説明が無かったので入っていきやすいのだ。そして次から次へと事態が進展していくというヴェルヌ小説における良さもよく発揮されていてテンポの良さも申し分なかった。  内容として

    • 少女漫画好きな人にジョジョ1部を勧めたい【ネタバレ注意】

      先日、ふと思い立ってジョジョを読み始めた。 そこで問題になるのが、「何部から読めば良いのか」だ。 分からない人に向けて説明すると、ジョジョは現在9部まである。それぞれの部ごとに主人公は異なり、基本的に何部から読んでも大丈夫なことになっているので、スタウォーズみたいに「どこから見るのがおすすめなのか?」という議論が生まれやすいのだ。 しかし結局、私は1部から見ることにした。ネットで検索した限りの情報では1部はあまり人気のある方では無かったが、とにかく読んでみようと思ったのだ。

      • 『デミアン』と『霊応ゲーム』

        正月に、前々から読もうと温存していた『デミアン』を読んだ。 まず最初の一文がとても気に入ったのでここに引用しておく。 この文は、最初は不可解に感じられるけれど、物語を読んでいくうちに意味が心に染みていくのだ。 さて、この本のあらすじは、明るい裕福な家庭で育った無知な少年シンクレールがある日乱暴者に罠に嵌められて苦悩し、そこで今まで知っていた世界が一変して、闇があることを知る。そして成長する中で光と闇の間の世界で揺れ動き、自分の魂を探究していく物語である。 題名になって

        • 反成長小説~サリンジャー戦記を読んで~

          野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』は読んだことがあるが、実のところ村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は読んだことが無い。しかし、村上春樹の語る『ライ麦』がどんなものかと気になって買ったのがこの本だ。 この本を読んでいて私が面白いと思ったのは、ヨーロッパの文学は成長小説が多いのに対してアメリカ文学は反成長的小説が多いと言っていた点だ。『ライ麦』の場合は主人公ホールデンが妹のフィービーのようなイノセントな存在を肯定し、大人たちなどを「インチキ野郎」と批判する。このように

        『十五少年漂流記』と『蝿の王』

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        記事

          コロコロの漫画が激アツすぎる

          あ〜、面白れ〜。 面白すぎるだろ〜。はい、突然ですが先日、『ウソツキ!ゴクオーくん』というコロコロの漫画を読みました。私が小学生の時に読んでいてコロコロコミックスの中で一番好きな漫画だったのだが、中学生になってコロコロを買わなくなって以来読んでいなかったのだ。そして去年完結してTwitterでも話題になっていたので、読もう読もうと思いつつなかなか全巻買いすることが出来ずに結局この間やっと全巻手に入れて読むことが出来たという次第である。 で、一気に全巻読んだのだが、これがまあ、

          コロコロの漫画が激アツすぎる

          素朴な話が読みたい時もある

          私は冒険小説や幻想小説、推理小説が大好きだが、素朴で何も起きない、普通の人々の物語も大好きなのだ。 そんな訳で、私はそういった系譜の本だとサローヤンが最近のお気に入りだ。 今のところ読んだのは『僕の名はアラム』と『リトル・チルドレン』だ。どちらも短編集で、アメリカの人々の日常を描いている。 『僕の名はアラム』で好きな話は、町にサーカスが来る話だ。出だしからしてもう最高なので引用しておこう。 この「豚みたいに駆け回った」というフレーズが私はすっかり気に入ってしまった。「だいた

          素朴な話が読みたい時もある

          読んだり観たりする日々

          最近、映画熱がぶり返してきて随分と映画を見ている気がする。そういうわけで、今回は最近読んだ本と共に、最近読んだ映画についても語っていきたい。 まず、『ぼくの名はアラム』を読んだ。海外の少年が主人公の、口語体で書かれた素朴な小説、というものが私は好きだ。分かりやすく例えるならば、ライ麦畑のような感じである。この小説もまさにそういう感じなので読もうと思った。私が特に気に入ったのは、村にサーカスが来る話だ。村にサーカスが来ると、主人公とその友達は我慢できずに学校をサボってサーカスを

          読んだり観たりする日々

          最近読んだオモシロ本たち

          最近本を読むのに忙しくて記事を書けていないので、そろそろ書こうと思ったが、前みたいに一冊一冊書いていくと大変なので、ここで一気にまとめて書いてしまおうと思う。 まず、ずっと読もうと思っていた、ドストエフスキーの五大長編の一つである『白痴』を読んだ。 白痴と呼ばれる心優しき青年ムイシュキン公爵と不良っぽい感じの青年ロゴージンが絶世の美女ナスターシャを取り合う話だ。 絶対に今だったら付けられないタイトルだナアと思いつつ読み進める。冒頭部分で汽車に乗ってペテルブルクへ向かう途中の

          最近読んだオモシロ本たち

          再読のハードル

          「あの本面白かったんだよな〜。もう一度読もうかしらん」なんて思うことがしょっちゅうある。だがその度に、「おい、おれ達が居ることを忘れるなよな!」「ひどーい、あたし達順番待ちしてるのにぃ!」などと積読本達がどやどやと現れて、やんややんやとわめき散らすワケですよ。で、「アア、おれが悪かったよ。ヨシヨシ、ちゃんと読んでやるからな」なんて私は言って積読本達を宥めて、結局再読の機会を逃してしまうってワケ。 読みたい本がたくさんあることは楽しいことだし、私は積読というものがだーいすきであ

          再読のハードル

          本のストーカー日記

          最近バイトやら読書やらで忙しくてあまりnoteを更新出来ていなかったので、久しぶりに書こうと思った。取り敢えず読んだ本についてでも書くカナなんて思ったが、本の感想を書くのは時間がかかりそうなので、今日は本に関するちょっとした日記でも書こう。 先日、学校帰りにふと「最近ブックオフに行っていないナア」なんて思いつつ立ち寄ってみることにした。「最近行ってない」とは言っても、それはせいぜい二週間ぐらい行っていないだけという訳なのだが、二週間もあればブックオフにある本の種類なんてかな

          本のストーカー日記

          『悪霊』を読んだよ

          どうも、草村です ずっと読みたかった、ドストエフスキーの『悪霊』(米川訳)を遂に読み終えた。なんやかんやで1ヶ月ぐらいかかってしまった。ドストは『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』を既に読み終わってたから、まアそろそろ読み慣れてきたしスラスラ読めるやろ...って思ってた時代が私にもありました。 まず、序盤が退屈すぎる。私は超絶美青年の主人公、ニコライ・スタヴローギンに期待をして読み始めたのだが、いつまで経ってもスタヴローギンは出て来ず、ステパン氏とかいう駄目なおじさんの話が延

          『悪霊』を読んだよ

          『『罪と罰』を読まない』を読んだよ

          どうも、草村です 私は『罪と罰』が大好きなので、この本がずっと気になっていた。だって、『罪と罰』を読んだことがない作家が集まって『罪と罰』についてストーリーを予想しながら話し合うんだよ?そんなの面白いに決まっているのだ。 読んでいない作家達はこの対談においてところどころだけ読んでいくのだが、本当に読んでいない割には結構的確なことを言っていたりして面白い。例えば主人公ラスコーリニコフに対して、「家賃が払えなくてびくびくしているのに、すぐ「ふっ、俺ったら」となるところがウザい

          『『罪と罰』を読まない』を読んだよ

          『サンマの丸かじり』を読んだよ

          どうも、草村です シーナさんが東海林さんのファンだということを知ってスグに読みたくなった。ウチの母も昔から東海林さんの大ファンで頻りに勧めてきていたが、私はなんやかんやで今まで読んでこなかった。しかし、シーナさんが推しているということを知った途端読む気になったもんだから、母はフクザツな気持ちらしい。 で、実際読んでみてどうだったかと言うと、そりゃアもう、文章が読みやす過ぎてビックリしてしまった。ここまで読みやすい文章をかける人はそう居ないだろう。もう一度読み出すと止まらな

          『サンマの丸かじり』を読んだよ

          シーナさんの本を読もう④『さらば国分寺書店のオババ』

          どうも、草村です この本はシーナさんのエッセイストとしてのデビュー作である。若い頃ということもあって、なんだかすごく血気盛んだ。国分寺書店のオババの話がメインなのかと思いきや、主に制服関係者(公務員)などへの怒りをぶちまけているが、その勢いが凄まじくて面白い。 嵐山光三郎さんによる解説ページを見てみると、シーナさんのあの独特の文体には「昭和軽薄体」という名前があるそうだ。これはシーナさん自らがつけた名前だそうだが、エラソーな文芸評論家の中には「昭和軽薄体なんて無内容なバカだ

          シーナさんの本を読もう④『さらば国分寺書店のオババ』

          積ん読本を紹介するやで

          どうも、草村です 私は大量に積ん読しているので、今回はそのよりすぐりの積ん読本達を紹介したいという、番外編的なアレをですね、書こうかと思いましてね。ということでさっそく紹介してゆこう。 と、まアこんな感じで積ん読本がドンドン溜まっていく訳だが、本棚に置いておいて眺めるだけでニヤニヤ出来るのでヨシ!だ。積ん読は健康に良いのである

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          シーナさんの本を読もう③『わしらはあやしい探検隊』

          どうも、草村です シーナさんの作品、本来ならこれをもっと最初の方に読むべきだったかナ?なんて思ったが、まア、細けえことは気にしない!!因みに『わしらはあやしい探検隊』は『哀愁の街に霧が降るのだ』の一応続きとして書かれていたらしい。『哀愁の街に』もまだ読んでないので順番がグチャグチャである。だが、何はともあれ楽しく読めたのでヨシ! この本では離れ小島でのゆかいな仲間達とのキャンプ生活の様子が描かれている。キャンプブームの現代ではそんなに珍しくないような気がするが、現代のゆる

          シーナさんの本を読もう③『わしらはあやしい探検隊』