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読んだり観たりする日々

最近、映画熱がぶり返してきて随分と映画を見ている気がする。そういうわけで、今回は最近読んだ本と共に、最近読んだ映画についても語っていきたい。
まず、『ぼくの名はアラム』を読んだ。海外の少年が主人公の、口語体で書かれた素朴な小説、というものが私は好きだ。分かりやすく例えるならば、ライ麦畑のような感じである。この小説もまさにそういう感じなので読もうと思った。私が特に気に入ったのは、村にサーカスが来る話だ。村にサーカスが来ると、主人公とその友達は我慢できずに学校をサボってサーカスを見に行ってしまう。そして毎回先生に鞭で打たれるのだ。先生が二人を見つけて追いかけ回すシーンがなんとも可笑しい。私は時代的に、流石に鞭で打たれた経験などはないが、小学生の時よく廊下に立たされていたので、子供がやんちゃして先生に怒られたりするシーンを見ると懐かしい気持ちになってしまう。なんとなくトム・ソーヤっぽい雰囲気もあって良い小説だった。また、個性豊かな叔父さん達がたくさん出てくるのがこの小説の特徴だ。解説には「叔父さん小説」というジャンルがあるというようなことが書かれていて面白かった。 北杜夫の『ぼくのおじさん』という小説なんかが例として紹介されていて、それも読みたいと思った。

次に、ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』を読んだ。ブラッドベリは前回読んだ『ウは宇宙船のウ』がとても叙情的で良かったので、大いに期待して読んだのだった。ダグラスという少年の一夏の日々を描いた作品で、やっぱり叙情的で少し懐かしいような雰囲気が良かった。真新しいテニスシューズを履くと夏が来たと感じる、ダグラスの感性が素敵だ。ただ、詩的すぎて一気に読むのは集中力が続かないので、毎日チョットずつ読み進めていくべき小説だと思う。

映画はまず、『わんぱく戦争』というフランスの白黒映画を見た。少年達が他校の少年達と争う話だ。『飛ぶ教室』の、ギムナジウムと実科学校との争いのシーンをなんとなく思い出した。子供達のドタバタシーンというものが私は好きなので見てよかった。劇中歌がシーナさんのあやしい探検隊の曲だったので驚いたが、調べてみるとこの映画が元ネタで、それが『みんなのうた』で日本語の歌詞が付けられ、それをさらに替え歌にしてあやしい探検隊のテーマソングで使われたのだろうということが分かった。

次に、『ほがらかに鐘は鳴る』と『野ばら』を見た。どちらもウィーン少年合唱団の話だ。合唱をたくさん聞けて楽しかった。どちらも最後の展開が少し似ていたものの、心温まる映画で良かった。『野ばら』という合唱曲があるのだが、なんだか聞いたことがある曲だと思ったら、私の通ってた小学校のチャイムの音だった。ずっとなんの曲なのか分かっていなかったので、思わぬ所で判明した訳である。調べてみると、ヴェルナーが作った曲だった。しかも面白いことに、歌詞はあの有名なゲーテが書いた詩で、そこにヴェルナーが曲をつけた訳だが、シューベルトもまた別に曲を作っている。つまり、同じ歌詞で別の曲が存在するのだ。ちなみに聞き比べてみると、私はヴェルナー版(学校のチャイム)よりもシューベルト版の方を気に入ってしまった。

次に、『トリュフォーの思春期』を見た。これも古いフランス映画だ。この映画は何人もの子供達の日常を描いており、まるでドキュメンタリー映画のような雰囲気がある。親に置いてけぼりにされた女の子が拡声器で「おなかがすいた」と言って同じアパートの人達に食べ物を貰ったり、ずるをして一人分の映画料金で二人で映画を見たり、本当にこれといった筋書きのようなものは無いが、フランスの昔の子供達の日常を見るだけ、というのもまた新鮮で面白かった。

次に、『がんばれベアーズ』の1作目と2作目を見た。ずっと見たいと思っていたのだが、レンタルビデオショップにはなくて見れなかったのだ。ヤフオクで安く売られていたので運良く手に入った。子供がバイクに乗ったり煙草を吸ったりしていたので、今だとコンプラ違反になるからレンタルビデオショップに置いてなかったのカナ〜などと思った。内容は子供達の弱小野球チームがのし上がるという王道のパターンだ。そんなに短い期間で上手くならないだろ......という少々無理やりなところもあったが、色んな個性豊かな子供達が出てきて楽しかった。1作目が有名なようだが、個人的には2作目の方が好きだ。子供がバスを運転して子供達だけで遠征に行ってしまうという無茶苦茶ぶりが清々しい。3作目はまだ見てないが、日本に行く話のようで、ストーリー自体にはあまり期待できなそうだが、一応見ようと思っている。

それから、また本の話に戻るが、長野まゆみさんの『螺子式少年』を読んだ時に、最初のシーンで「日曜日の子供は退屈」という曲が出てきたのだが、これは先刻紹介した『トリュフォーの思春期』に出てきた曲だったので驚いた。また、同じく長野まゆみさんの『夜間飛行』ではたんぽぽのお酒を飲むシーンがあったり、先刻紹介した『わんぱく戦争』について言及しているシーンがあった。まさかこうも立て続けに見た映画や小説と繋がるとは思わなかったのですっかり驚いてしまったが、長野まゆみさんの小説が好きということは、長野まゆみさんと好きなものの傾向も同じということなので、当然と言えば当然なのだ。
だが、いくら好きな作家と言えども好きなものがモロ被りしてしまうというのはなんだか私に独自性が無いようで悔しいような気もする。私も私なりに様々な本や映画を開拓していきたいと思うのだった。

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