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再読のハードル

「あの本面白かったんだよな〜。もう一度読もうかしらん」なんて思うことがしょっちゅうある。だがその度に、「おい、おれ達が居ることを忘れるなよな!」「ひどーい、あたし達順番待ちしてるのにぃ!」などと積読本達がどやどやと現れて、やんややんやとわめき散らすワケですよ。で、「アア、おれが悪かったよ。ヨシヨシ、ちゃんと読んでやるからな」なんて私は言って積読本達を宥めて、結局再読の機会を逃してしまうってワケ。
読みたい本がたくさんあることは楽しいことだし、私は積読というものがだーいすきである。大好きどころか、だーいすきである。積読は健康に良いとまで主張している。だが、そのせいで同じ本を何度も繰り返し読むということのハードルが上がっているのだ。
思えば子供の頃の私は、同じ本や漫画を本当にアホみたいにくり返し読んでいた。漫画なんて、台詞を暗記してしまっていたぐらいである。子供だから暇だったというのもあるし、今みたいにたくさん買い込むことも出来なかった為、繰り返し読むしかなかったとも言える。台詞を覚えるほどくり返し読むなんて、時間の無駄のようにも思えるが、今はそんなこと絶対出来ないと思うと、それはそれで貴重な読書体験だったんじゃないかナア。
やっぱり読んだことが無い本がたくさん家にある状態だと、既知の本よりも未知の本に手を伸ばしたくなるのは当たり前のことだ。だが、同じ本を繰り返し読むということでしか得られない感覚があるのではないかと思う。結末が分かった上で読むとまた違った味わいがあったりとか、最初から登場人物に愛着を持って読むことが出来たりとかね。それに、時間が経ってから再読して「アレ、こんな話だったかしら?」っていう風になるのも面白いのではないかと思う。そんなワケで、再読というのはなかなかハードルが高いことだが、偶には再読してみたいナーなんて思うのである。

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