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『悪霊』を読んだよ

どうも、草村です

ずっと読みたかった、ドストエフスキーの『悪霊』(米川訳)を遂に読み終えた。なんやかんやで1ヶ月ぐらいかかってしまった。ドストは『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』を既に読み終わってたから、まアそろそろ読み慣れてきたしスラスラ読めるやろ...って思ってた時代が私にもありました。
まず、序盤が退屈すぎる。私は超絶美青年の主人公、ニコライ・スタヴローギンに期待をして読み始めたのだが、いつまで経ってもスタヴローギンは出て来ず、ステパン氏とかいう駄目なおじさんの話が延々と続いていく。スタヴローギンが本格的に出て来るのはなんと第5章からだった。だが、ぶっちゃけこれはドストエフスキーあるあるなのだ。ドストエフスキーを読む時、第一巻目は最早人物紹介コーナーだと思っておいた方が良い。
で、スタヴローギンが登場してから漸く話が進んでいく訳だが、はっきり言ってこの小説、話がめちゃくちゃすぎる。ストーリー的には罪と罰やカラマーゾフの方がずっと分かりやすくて面白い。だが、それにも関わらず悪霊はドストオタクの中でもかなりの人気を集めているし、読み終わった私も悪霊がものすごーく好きになった。
ではその人気の秘密は何か。それは、キャラクターの魅力である。悪霊はなんと言っても、キャラクターが面白すぎるのである。先述したように私は主人公スタヴローギン目当てで読み始めたのだが、いつの間にか彼よりも準主人公的存在のピョートル・ヴェルホヴェンスキーが推しになっていた。このピョートルという人物はかなりの悪党なのだが、一見すると小物感があり、やたらと周りの人をイラつかせるような言動を取ることが多くて、それが一々面白い。
例えばみんなが真剣な話し合いをしている最中に「爪切りを貸してもらえますか」と聞いたりとか、訪問した家でカツレツを注文したりだとか。そして周りが明らかにイライラしている様子が読んでいて非常に笑えるのである。「大忙しのピョートル」というタイトルの第2部6章は、ピョートルが行く先々でクソデカい態度を取ってみんなをイラつかせているので、特にオススメだ。
私は中盤のこの章で突然ピョートルの面白さに気付き、そこからは一気にこの小説が読みやすくなった。ドストエフスキーを読むコツは推しを見つけることかもしれない。後半あたりは最早ピョートルが出てくるだけで笑ってしまうほどだった。

そんな訳で、これで私はドストエフスキー五大長編のうち、『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』、『悪霊』と三つ読んだことになる。あとは『未成年』と『白痴』が残っている。早くそれらも読み終わって有識者になりたい気持ちもあるが、読み終わるのが惜しい気持ちも...ウーン。それと、五大長編以外の作品でも読んでみたいドスト作品はたくさんある。だが、暫くは『悪霊』の余韻に浸っていたいと思う。

おまけ絵

スタヴローギン
ピョートル
ピョートル描くの楽しい。
やたらとご飯を美味しそうに食べる、ジブリみたいなシーンすこ。
今のところのドストキャラの推し達、全員系統が違う

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