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クシシュトフ・キエシロフスキ監督『トリコロール 青の愛』フランス国旗をモチーフにした三部作の第一作


<作品情報>

ポーランドの巨匠クシシュトフ・キエシロフスキー監督による、青、白、赤のフランス国旗をモチーフにした三部作「トリコロール」の第1作。自動車事故で最愛の夫と娘を失ったジュリーは、すべてを引き払いパリでの生活を始める。静かな日々を過ごすジュリーは、音楽家であった亡き夫に愛人がいたことを知る。ジュリーを演じるのは、「イングリッシュ・ペイシェント」「ショコラ」のジュリエット・ビノシュ。

1993年製作/99分/フランス・ポーランド・スイス合作
原題:Trois couleurs: Bleu
配給:KUZUIエンタープライズ
劇場公開日:1994年7月9日

https://eiga.com/movie/21401/

<作品評価>

90点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆

<短評>

上村
ついに手を出してみました。これは凄い。キェシロフスキ恐るべし。序盤からもうただもんじゃない雰囲気が漂っています。タイトル通り青を意識した美術に衣装、撮影が素晴らしいです。
有名な作曲家だった夫を事故で亡くした女が、過去の愛をめぐって苦悩する物語です。青は自由を表し、「過去の愛からの自由」を描いています。
キラキラとした青いインテリアをむしり取るビノシュ、そうした小道具の使い方が非常によく考えられています。全体に青みがかった撮影もレベルが高く、自由になれないもどかしさと悲壮感を見事に表現しています。
一つ一つのカットが芸術。一人の女が悩んでいるだけなのにここまで魅せることが出来るのはやはり演出力の賜でしょう。キェシロフスキの繊細な感覚がこれ以上ないほど出た作品。

吉原
日本人とフランス人の価値観の違いからなのか、題材が題材だからなのか、3部作の中で内容的には一番難しい作品でした。しかし、青を基調とした映像や印象的でクラシカルな音楽が非常に美しく、一番芸術性を感じたのは本作でした。
一場面、一場面がとにかく魅力的で、内容的に理解できているかは微妙だったとしても、画面を眺めているだけでうっとりしてしまうような作品です。特に、主役のジュリエット・ビノシュの美しさは目を引くほどでした。
途中途中音楽と共に画面が真っ暗になり、その後何事もなかったかの様に続きが始まる場面が何を表しているのかがいまいち理解できなかったことが残念。気持ちの変化が大きくあった様な場面には思えませんでしたが、何か音楽的な意味合いがあるのでしょうか。
3部作どれも素晴らしく、1つを選ぶのは非常に難しいですが、もう一度、鑑賞したいと思わせたのは本作でした。

<おわりに>

 国旗をもとにした映画ということで珍しいですが、三部作どれも違った面白さがある作品でした。

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