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美しい文章や表現レッスン

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書籍や文献などで見つけた美しい文章や、遊月の表現レッスン的なエッセイ
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記事一覧

【百人一首】小倉山荘 色紙和歌〜百人一首の歴史

【百人一首】小倉山荘 色紙和歌〜百人一首の歴史

小学生の頃にクラスのほぼ全員で、昼休みや放課後に「百人一首カルタ遊び」をしていました。
担任がそういう遊びが好きだったので、国語の授業で習ってから、なんとなくクラス内で流行っていったと記憶しています。

北海道の百人一首カルタは、紙ではなく木札を使い、下の句を読んで下の句を取ります。
よって、上の句のことはほぼノータッチ。
大人になってから、百人一首カルタは、本来は上の句を読んで下の句の札(しかも

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【七十二候】季節と言葉たち〜草木萌動(そうもくめばえいずる)

【七十二候】季節と言葉たち〜草木萌動(そうもくめばえいずる)


七十二候: 第六候 「草木萌動(そうもくめばえいずる)」(2/29~3/4頃)

「草木萌動(そうもくめばえいずる)」
春の訪れを感じ、地面や木々の枝々から一斉に草木が芽を吹き始める頃という意味になっています。
生命の再生と新たな始まりを象徴する時期。

テーマ「草木萌動」

「そうもく、めばえ、いずる」
と読みます。
草木が芽生えて、出て来ちゃう感じ。

この七十二候で文章を書き始めて、ちょい

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【七十二候】季節と言葉たち〜霞始靆 (かすみはじめてたなびく)

【七十二候】季節と言葉たち〜霞始靆 (かすみはじめてたなびく)


七十二候:第五候 「霞始靆」
(2/24~2/28頃)

第五候「霞始靆 (かすみはじめてたなびく)」

「靆=たなびく」とは、霞や雲が層をなし、薄く長く漂っている様子を表すします。
「霞始靆 (かすみはじめてたなびく)」とはすなわち、春になって霞が出てくるようになり、それがたなびき始める頃、という意味になります。

テーマ霞始靆 (かすみはじめてたなびく)について

「霞がたなびく」とあり、ふ

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【七十二候】季節と言葉たち〜土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

【七十二候】季節と言葉たち〜土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)


七十二候:
第三候 「土脉潤起」
(2/19~2/23頃)

第四候「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」 2/19~2/22頃
雨が降って土が湿り気を含む。
土が脈(=脉)を打ち、降っていた雪が早春の雨に変わり、大地を潤わせる頃とのこと。土の中で冬眠していた生き物が活動を始める頃でもあります。

テーマ「土脉潤起」
(エッセイ)

「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」
昨日ちょうど、

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【七十二候】季節と言葉たち〜魚上氷(うおこおりをいずる)

【七十二候】季節と言葉たち〜魚上氷(うおこおりをいずる)

七十二候:
第三候 「魚上氷」
(2/14~2/18頃)

第三候「魚上氷 (うおこおりをいずる)」 2/14~2/18頃
凍っていた川や湖の表面が割れだすようになり、水の中に棲む魚たちが少しずつ暖かさを感じ、割れた氷の下から跳びはねる頃のこと。

テーマ「魚上氷」
(エッセイ)

魚にはやってくる季節がありまして。よって「春告魚」なんて呼ばれる魚ちゃんもいるわけです。

私は小樽出身ですから、春

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【七十二候】季節と言葉たち〜東風解凍

【七十二候】季節と言葉たち〜東風解凍

七十二候:
第一候 「東風解凍」
(2/4~2/8頃)

東風解凍(はるかぜこおりとく)とは、「東風が厚い氷を解かし始める」という意味で、春の気配が感じられる季節という意味です。

「東風解凍」の名文

東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花
あるじなしとて春を忘るな

東風と聞くと真っ先に浮かぶのがこれ。
菅原道真公の辞世の句。
涙が出そう。

ちなみに東風(こち)とは東から西に吹く風であり、春の

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【七十二候】季節と言葉たち〜鶏始乳

【七十二候】季節と言葉たち〜鶏始乳

かつて暦として使われていた、一年を5日ごと72に分ける七十二候。
その名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されています。
美しい言葉なので、それをテーマに、作家の方の名文や、創作したエッセイを綴ります。

七十二候(1/30~2/3頃)

鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

春の気配を感じた鶏が卵を産み始める頃。

テーマ「鶏始乳」
(創作エッセイ)

鶏って、季節によって卵を産んだり

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【七十二候】季節と言葉たち〜水沢腹堅

【七十二候】季節と言葉たち〜水沢腹堅


七十二候(1/25~1/29頃)

水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)
厳しい寒さで、沢に張った氷が厚く堅くなる時期

テーマ「水沢腹堅」
(創作エッセイ)

沢に張った氷が厚く堅くなる、そんな季節。
確かに日本全国で雪が猛威を振るい、札幌は吹雪で外出もままならぬ。
まさに七十二候通り、ですね。

何か書こうと「氷が張った沢」をイメージするも、どうしてもアンデルセンの「雪の女王」に邪魔される。

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【七十二候】季節と言葉たち〜款冬華

【七十二候】季節と言葉たち〜款冬華


七十二候(1/20~1/24頃)

款冬華 (ふきのはなさく)
厳しい寒さの中、蕗の薹(ふきのとう)がそっと顔をだし始める時期

テーマ「款冬華」
(名文より)

蕗になる

ああなぜ わたしひとり
かうしてひつそり歩いてゆくのだらう
道は
落葉松のみどりに深くかくれて
どうなつて行くか解りはしない。
何処かの谷間には
すももが 雪のやうに咲き崩れていたが
人ひとりの影もなかつた。
それに こん

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美しく、かつ、わかりやすい表現

美しく、かつ、わかりやすい表現

「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた」

有名な川端康成の『伊豆の踊子』の書き出し。
こんなの見せられたら、自分の表現力のなさよ!となってしまう。
シンプルで、だけど美しくて。

私が目指すのは、気をてらわない、美しく、かつ、わかりやすい表現。
だけど唯一無二で、読んだ人がかゆいところに手が届いた気持ちにな

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