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【今でしょ!note#182】自分のモノサシを持つための「大人の教養」

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

「リベラルアーツ」という言葉は聞いたことがありますか?
私は恥ずかしながら「教養」くらいのイメージしか持っておらず、美術や芸術に関する知識、くらいにしか捉えられていませんでした。

私は、「楽して儲かる手段」や「集客のコツ」、「収益化のコツ」などHowに主眼が置かれた様々な情報に嫌気が指している人間の一人で、もっと本質的なものを見極めて、目の前のあらゆる流行り物にイチイチ反応して消耗したくないと考えています。

そんな思いで手に取った本が山口周さんの「自由になるための技術 リベラルアーツ」です。

内容は、様々な方との対談形式で「リベラルアーツ」の考え方をご紹介してくれているのですが、私たち「大人」がこれからも周囲に振り回されずに生きていく上で、非常に示唆に富んだ話に溢れていました。
今日は、こちらを読んで気付いたことや日常生活に当てはめて実行していきたいことを整理したいと思います!


リベラルアーツとは何か

「リベラルアーツ」とは、歴史や哲学、古典といった数百年、あるいは数千年の時間のヤスリにかけられてもなお現代に残っている「人間の叡智」です。

リベラルアーツは「自由になるための手段」であり、人生において最も費用対効果の高い投資であると解説されているのは、自分自身の価値基準を持って生きていくことができるから、とあります。

以前、こちらの記事でも書いた内容と近しい部分もあるのかな、と感じていて、長く続いてきた考え方=本質的なものを知ることは、「いま、ここ」でしか通用しない常識を見極めることにも繋がるのかなと。

初めは、リベラルアーツ=自由になるための手段、というのが、抽象的だという印象を受けていましたが、具体に落としてみるとこういうことだと理解しています。

例えば、学校に通う子どもの場合。
毎日学校に通う子どもにとって、学校=世界であり、その学校での人間関係が上手くいかないとか、座って勉強するだけの時間がただ苦痛なだけとか、「学校」という仕組みを苦痛に感じる人もいるでしょう。
そんな子どもにとって「毎日そこに通うべき」という見えない考え方の前提があれば、苦痛でしかないはずですが、大人になった私たちからすれば「転校」や「学校に行かずに学ぶ」選択肢があることを知っているし選択ができます。

他の例では、ある業界や会社で大切だとされている価値観が、他の業界や会社からすれば「そこに時間かけて意味あるの?」と感じるようなケースもあるでしょう。

とにかく毎日出社が義務付けられていて、朝9時に机に着いていないとひどいお叱りを受ける会社があったとして、リモートワークが自由に出来て、仕事の評価を時間ではなく成果で見られる会社の人から見れば、その価値観があまり理解できないはずです。

このように、「いま、ここ」でしか通用しない常識や規範から自由になれる、という意味で、リベラルアーツのように長い時間をかけても生き残ってきた本質的な考え方を学ぶことの重要性が説かれています。

マネージャーこそ教養が必要

日本は少子高齢化が進んでおり、そのせいで成長が停滞している、という議論が聞かれることがあります。
しかし、同じように成熟国で少子高齢化が進む欧州では、年間労働時間が1,300~1,500時間程度で平均2.5%近く成長を続けているのに対し、日本では年間労働時間が2,000時間前後かけても1%程度の成長に留まっています。

この理由は割と明確で、国が成熟し物質面では豊かになった現代において、主要産業が製造業からサービス業中心にシフトしているにも関わらず、いまだに人材も働き方も製造業の工場モデルから抜けきれていないからです。

サービス業で問われるのは、課題を解決する力よりも「課題を見つける力」や「独創的なアイデアを生み出す力」ですが、現代の多くの人の働き方、すなわち家と職場を往復しているだけの毎日の中でなかなか養われにくいのは想像に容易いでしょう。
全世界でサービス業のユーザーの6〜7割は女性ですが、そんなユーザーが求めているものを、日本経済を牽引していると自負している50〜60代のオジサンにはわかりっこありません。

日本の生産性が伸びない理由は、明らかにマネジメント側に問題があります。
年間2,000時間も仕事をしていては、自ら教養を学び、外の世界を知る時間が取れないのは当たり前ですよね。

会社の経営層や現場の管理職こそ勉強が必要で、「いま、ここでしか通用しない」常識や規範を超えて、世の中のことを広く知る必要があります。

マネジメント側が心から「こんな働き方ではダメだ」「こんなことが常識だと罷り通っていてはダメだ」と気付けば、日々の働き方や価値観を見直すはずです。
最近では、管理職向け研修で、「美術鑑賞」を取り入れたりする企業も出てきていますが、これはいい流れですね。

ブッダの「真理の言葉」や「ほんとうの法華経」は、よく読むとなかなか奥深いということで、私も読んでみようと思います。

損得勘定を超える道徳性を

明治維新を起こしたリーダーたちは「武士道」といった自分の判断基準における拠り所がありました。一方で、現代を生きる私たちには、「〜〜道」と呼ばれる判断軸の拠り所がない人が多いのではないでしょうか。

慶應義塾大学の菊澤研宗さんの話が印象的でした。

日本は、見える化が重視されすぎている。数字、業績といった目に見えるものしか見ないから、隠れて悪いことをしても業績を上げればよいとなる。リーダーには、見えないものを見る力が問われる。見えないものとは、倫理、道徳、誠実さといった人間性である。それを見抜くリーダーは、どんな手段を使っても業績上げればよいと考えている部下には怖い存在である。

同書より、筆者要約

「儲かりそうだから」とか「ルールに抵触しないから」という理由で、損得勘定上は良さそうな意思決定をすることの浅はかさを改めて感じさせられました。

私が何度か転職を考えたりしながらも今の会社で働き続けている理由はここで、「儲かりそうな事業であれば何でも取り組む」のではなく、「社会的な意義や価値があるか」という議論が普通になされる環境が好きだということがあります。

私も何らかの意思決定をする機会が立場上増えてきましたが、やはり「自分はこう考える」の主観がないと、意思決定を間違ってしまいます。
「客観的なデータや事実」はベースにするも、最終的に決めるのは主観で決める。じゃないとAIに全ての意思決定を任せればいいわけですよね。
そこに人間ならではの価値があるとすればやはり主観で、仕事は最後は主観で決めるものだから、面白いのだと思います。

で、主観を担う倫理や道徳、誠実さをどう磨けば良いかというと、リベラルアーツを学ぶということになります。
リベラルアーツが「自由になるための手段」であれば、古典や歴史を学ぶだけではなく、旅をするのも非常に効果的です。
様々な土地に出向き、様々な世界を見るということは「いま、ここにある常識」から解放されることだからです。「転職」や「部署移動」も「いま、ここにある常識」がそうではないと気付くきっかけになるので、オススメです。

「周囲が言っているから」ではなく、自分の心の中に拠り所となる価値基準を作る。これが深みのある大人になっていくことなんだろうと考えています。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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