Exit前のスタートアップ起業家がエンジェル出資を行う是非について
某所でちょっと話題になってるんで、書いてみました。
最終的な結論から言えば「個人が好きなようにすればいいのでは?」なんですが、それだと話が終わってしまうので、僕個人のスタンスについて書いていきます。
※過去記事のカテゴリ別まとめはこちら。
そもそもの定義
定義がしっかりされずに議論されているから話がまとまらないとも思っているので、まずはそこをやります。
ここでは「Exit前のスタートアップを経営する代表取締役が、個人で他のスタートアップに投資をすること」について論じていきます。
また、細かい定義は以下です。
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・Exit:バイアウト(セルアウト)かIPOをすること。
・スタートアップ:VCやエンジェルからご出資を受け、できるだけ早期の大きなExitを目指す法人。
・代表取締役:最高経営責任者。
・投資:株式を保有するために資金を投下すること。
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なので、例えば既にExitしている経営者や、代表取締役以外の役職で企業に勤めている方などはこの議論に含みません。
(もちろん、Exit後も事業拡大に全力を注ぐべきだとは思います。)
さまざまな方法・目的で行われるエンジェル投資
ここの認識が統一されていないことも議論がまとまらない要因の1つだよなーと。
なぜなら、エンジェル投資による貢献方法や目的は非常に多岐に渡るからです。
まず貢献方法についてですが、非常に積極的に定例MTGや数字のチェックを行う方もいる一方、例えばチャットで相談が来たらそれに応じるという方もいますし、一切感知しないという方もいます。
要するに、一口にエンジェル投資といっても、そこにかける時間・思考コストは全く異なるということです。
また、目的についても、キャピタルゲインを得たいという方もいれば、業界の知見を得たい、友人を応援したい、頼まれて断れなかった、など様々です。
例えばシナジーがあるから出資したいってことなら自身の法人から出資すれば?という意見もあると思いますが、すぐには動けないからまずは社長個人の資金から、という場合もあると思います。
趣味としてのエンジェル投資?
以前も書いたことがありますが、スタートアップとして出資を受けるということは、それを受け入れる代わりに、できるだけ早期にできるだけ大きな事業拡大、Exit、そしてその先を目指すという約束です。
そのために、通常の企業運営とは異なり赤字を掘りながらとにかく成長に貪欲に取り組んでいくという動きを(一般的には)することとなります。
そういった中で、代表取締役が個人で他企業に出資するというのはどうなのでしょうか。
給与として得たお金の使いみちはもちろんそれぞれの自由ですが、私腹を肥やすためにそれを行いそこに多くの時間をかけている、という状況はどうなのでしょうか。
少し話が変わりますが、普段はめちゃくちゃ働いていて、週に一度だけロードバイクで遠出するのが趣味で、そのおかげでリフレッシュして一生懸命働くことができている、という経営者がいたとします。
また、西麻布のラウンジで女の子達と遊ぶおかげで活力を得ている、という経営者がいたとします。
この方達はどのように評価されるのでしょうか。
僕のスタンス
タイトルに対する僕のスタンスは「その行為が自身の企業経営において最善手であると経営者が考えるのであれば、やれば良いよね」というものです。
その行為が指すものがエンジェル投資であろうが趣味であろうが女遊びであろうが、それこそがベストだと本当に考えるのであれば経営者はおおいにそれをやるべきだと思います。
(以前、「起業家はブログやnoteを書くべきか」というテーマでも同じようなことを書いたことがあります。)
ただ、それ以外の目的でそれらを行っているのであれば褒められたことではないし、投資契約違反でなんらかのしっぺ返しを受けるということもありえます。
ただ、ここから最終的な結論に戻るのですが、それも含めて各人の自由・責任であるため「上記のように感じるけれども、個人が好きなようにすればいいのでは?」と僕は考えています。
そもそも、正解のない他人の行動や思考に対して、「それは正しい」とか「こうすべき」みたいな考えの人が多すぎるし、もっとみんな自由に好きなことやればいいのにと思ってます。
もちろんこれもこの思考を強要するものではなく、その方が人生生きやすいよなーって感じです。
念の為書いておくと、論理で正解を導けるものもあります。
それはちょっと違うよね
ここからは見かけた論でちょっとそれは違うよな、と考えたものについて書きます。
【エコシステムの成長のため?】
「Exit前の起業家が投資を行うことでエコシステムの拡大につながる」ってのは明らかに間違っていると思っていて、その起業家がエコシステムを成長させるために必要なのは自分の企業をエグジットに導くことです。
個人の出資を沢山してたけど自分の企業が潰れちゃった、という結末になってしまったら当然そのエコシステムは縮小します。
個人の出資を増やすことでエコシステムの拡大を目指すべきというなら、出資の受け手以外からのそれを促進すべきです。
【エンジェル出資しても成功してる人もいる】
これは生存者バイアス、極端化、の2つの観点で間違っています。
「勉強しなくても受験で成功する人がいる」というのは当たり前の話で、そもそもスタートアップとして目指すべきは可及的早期の可及的拡大だからです。
まとめ
こういう議論がなされるのは界隈にとって良いことだと思ってます。
ただ、自分と意見が異なる人を非難したり頭ごなしに否定したりってのはあまりよくないよね、とも思っています。
人の意見も受け入れつつ自分の信じた道をただ進む、ってのが僕は好きです。
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ITベンチャーに新卒入社後2012年創業 複数回エクイティ・デッドでの資金調達を行い各種事業を行う 2015年に既存事業譲渡と訪日旅行者向けWebメディア立ち上げを並行しつつ、 2016年にフジメディアホールディングスグループに数億円でバイアウト 2019年から福岡で2度目の創業