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結婚なんてできるわけない僕が結婚できたわけ

将来を悲観する少年



思い返せば、僕は小さいころから、かなり現実的な子供だった。


例えば、小学生時代。
将来なりたい職業を発表する学活の授業。


「スポーツ選手!」「お花屋さん!」「パイロット!」「保育士!」
「仮面ライダー〇〇!」


あいうえお順で、壮大な夢とロマンが語られる。


「仮面ライダー〇〇かっこいいもんねぇ。じゃあ、次〇〇君!」

僕の番。

「国家公務員I種!!」

どうやら僕は、ロマンがない、痛いほど現実的な人間らしい。

僕がのび太なら、
机からひょっこり現れた青たぬき。警察に連れていく。


僕がルフィーなら、海でない。病院に行く。


僕が主人公の漫画は、

藤子・F・不二雄先生も、尾田 栄一郎先生でも面白く表現できない自信がある。


僕は、そのくらい夢・ロマンのない現実で生きる存在だ。
 

そんな現実社会で生きる、可愛げのない少年は、
現実を見すぎるあまり自己肯定感が低かった。

魔法にかかる前のシンデレラのように、現実社会で自信がなかった。


中でも、容姿に対する自信は絶望的にない。

そう、ブサイクだった。

自分の醜さに絶望する「美女と野獣」の野獣みたいな。

だから、女の子にやさしくされるとすぐに好きになってしまう。

だけど、自分の見た目に自信がないから、僕から話しかけることはない。

少年時代、女の子と仲良くなった思い出がなかった。
 

将来の夢を国家公務員I種と答えた少年は、よく自分の未来を想像した。

好きになってくれる人なんていないだろうな。

好きな人と付き合ったり、

ましてや、結婚なんて夢のまた夢だろうと思っていた。

シンデレラではなく、魔法をかける側、

そう、

魔法使いになる気満々だったのだ!!


破局の天才となった青年


そんな少年も高校生、大学生、社会人になり、
なんと、何人かと恋人の関係になった!
 

僕は超頑張った。
ブサイクの自覚があるからこそ、見た目は人一倍気を使った。


今思い返せば、見た目に気を使うことも、

自己肯定感が低いことの裏返しだったのかもしれない。


髪を染め、パーマをかけた。

髪のセットに毎朝30分以上。

髪はパーマだけでなく、時間もかけた。

「髪型に命をかける男」って呼ばれるようになった。


さらに、脱毛、半身浴、フェイスパック、化粧。なんでもやった。

僕を昔から知る妻夫木聡似のイケメンから

「お前wwブサイクが頑張んなよww」ってよく笑われた。

だから、僕は声を大にして言った。


「ブサイクだから死ぬ気でおしゃれしてんねん!」と。


だって、トップレベルのイケメンって、

素がかっこいいのに美容にめっちゃ気を使うじゃないですか。

イケメンカースト最下段の僕が寝転んで鼻をほじりながら、

松潤かっけーなーって思ってても、だーれも振り向いてくれないんですよ。


例えば、『勉強』に置き換えてみましょう。

成績の悪い子が勉強もろくにせず、一日中ゲーム三昧だったら、

親も先生も注意しますよね?

勉強するようになったら応援しますよね?


じゃあ、ブサイクが努力したっていいじゃん!(開き直り)


野球少年がイチローにあこがれていたように、



ブサイクが松潤にあこがれたっていいやんけ。

 

そんなこんなで、ブサイクなりの努力が実を結んだわけです。
 

ただ、残念ながら、

恋愛が長続きすることは全くなかった。

数か月、数日、付き合うことになった次のデート、

振られるのはいつも僕の方。そして急。

来日したばかりの助っ人外国人が、神のお告げで速攻帰国していくような、


バース2世って聞いてたのになんでやねん!!


って言いたくなる感じ。

毎回こうだった。


そして、僕は長続きしない理由が分からなかった。

 
バース5世が緊急帰国し僕の元から去った後、

次に付き合ったバース6にあたる人に、あらかじめこういう話をした。

振られるのが怖くて、保険を打っておいたのだ。

「今まで何人かと付き合ったけど、期間は最長で3か月だ」と。

(さすがに、緊急帰国する助っ人外国人に例えて、君はバース6世にならないで、本物のバースになってくれとは言えなかった)


この発言に対し、

「最長3か月www連ドラ見ても一緒に最終回見られないねwww」

と笑ってくれた。


この人となら長く続くかもしれない。そう思った。







僕は寝込んだ。


『もう恋なんてしないなんて~言わないよ絶対』と歌う槇原敬之にクレーム入れたいぐらい僕は傷心した。



当時「失恋ショコラティエ」というドラマを彼女と見ていた。

最終回は見る気が起きなかった。いろいろ皮肉だった。


繰り返すが、僕は自己肯定感が低かった。


彼女に対し、こんな僕と付き合ってくれていてありがとう!

という思いを常に持っていた。


だから、浮気なんてするわけないし、

暴力を振るうことなんてもちろん論外。

めちゃくちゃ大切に接しているはずなのに、、、

付き合いたての頃はお姫様になった気分って言ってくれたのに、、、


なぜだ??

「だって、〇〇はわたしのこと好きじゃないでしょ?」


別れを告げられた後、

当時の彼女=バース6に思い切って聞いてみると、

思いもよらない答えが返ってきた。


好きって言われたこともなければ、手をつないでくれたことすらないじゃん

確かにそうだった。

今振り返ると、当時の僕は、自分に自信がなかった。一切なかった。

だから、一緒に歩いてくれるだけで精いっぱいで、僕なんかがすみません。

という気持ちが強すぎて、手をつなぐタイミングでもつなげなかった。

好きという言葉も、僕が言ったらキモいって思われるんじゃ?

と思い言えなかった。

「それが優しさって思ってるかもしれないけど、優しさじゃなくて自己中だよ。私は嬉しいって思ったことないもん」

「〇〇はくっそバカ真面目すぎんのよ」

「手ぇぐらい握らんかい!」


バース6世から言われた言葉の数々にハッとさせられた。


通過駅と知らずにぼーっと突っ立っていたら、

目の前を貨物列車が「ドガガゴォン」って全速力で駆け抜けた時の

ハッとする感じ×100倍ぐらいのインパクトがあった。

恋人になるということは、お互いに好きという気持ちがあるっていう当たり前の事実が分かっていなかった。

付き合いたてのカップルが手をつながなかったり、愛情表現がないっていう状況がどれだけ寂しいことか、今なら分かる。

でも、当時は分からなかった。

うそでしょ!?って思うかもしれない。

だけど本当に分かっていなかった。


だから彼女であっても手をつないだり、

好きという気持ちを伝えることは相当な勇気が必要だった。

嫌われたらどうしよう、キモいって思われたらどうしよう

声が震えたらどうしよう、、、って悩みが尽きなかった。

全部自分が自分がなんですよね。

客観的に考えると、僕は、自分が嫌われたり、

恥ずかしい思いをするのが嫌だったんです。

自己肯定感の低い自己中な僕と、疑心暗鬼になっていく彼女ですよね。

当時の彼女からしたらほんと意味わかんないですよね。

こいつは本当に彼氏なのかい?

私は本当に愛されているのかい??

もしかして遊びなのかい???

ってことを思って当然。

このことに初めて気付けたのが当時24歳、広島の夜のことでした。

ちなみに、僕が恋愛で自己中になっていることを教えてくれたバース6世とは、別れた後も友達の関係で交流が続いた。

同い年で、物事をきっぱり言う性格のバース6世は、

僕の悪いところをバンバン指摘し、

僕の考え方を叩き直してくれた。

超恩人である。

恋愛のノウハウを学んだわけではない。

単純に、「お前、もっと自信持てや!」

ってことを根気強く言い続けてくれた。

その後、
僕の東京転勤を機に、バース6世と連絡を取り合うことはなくなった。

ところがどっこい、
妻と結婚した後に一度だけ会う機会があった。(仕事でね!)

「奥さんにちゃんと好きって言ってる?」「手つないで歩いてる?」

「話聞いてあげてる?」「目見て話してる?」「一緒のベッドで寝てる?」

「週何回ペースで夜の営...」

梨本勝ばりの質問に、
池上彰ばりの「いい質問ですね~」でエグい質問は上手くかわす僕。

最後に、

「若造が男になってて嬉しいよ」と言ってバース6世は住む町へ帰国した。

同い年やんけ。

自己肯定とほんの少しの勇気


バラの花束を渡す。


女の子慣れしたイケメン富豪だけが許される行為。

彼女の手も握れなかった頃の僕は、そう思っていた。

僕には一生縁がない話だと。

だが、そんな僕が、近い将来実行することになる。

大好きな人にバラ108本の花束を渡したのだ!!

バラは本数によって花言葉が変わる。

そのことを、僕はバラの花束を渡す数か月前に知る。

そして、その花言葉を、手も握れなかった頃の僕に教えたら、

泡吹いて倒れるんじゃないかと思う。

バラ108本の花言葉は、

「結婚してください」


10=と 8=わ で永久にということらしい。



僕は、東京で暮らすようになり、職場以外での知り合いがいなかった。

大都会東京で知り合いがいないってのは、結構さみしい状況だった。


ただ、そう思っていたのは僕だけではなかった。

僕と同じタイミングで札幌から転勤してきた1個下の後輩。

彼も大都会東京で知り合いがおらず、さみしい日々を過ごしていた。

ところがどっこいですよ。彼の性格は一言でいうと僕と真逆。

自己肯定の塊みたいなやつで、コミュ力がめちゃくちゃ高く、

転勤後数か月もすると、男女問わず友達がめっちゃできていた。

そんな彼は、なぜか僕を相当慕ってくれていた。

というより懐いていた。

一応仕事上の後輩なんだけど、距離感がめっちゃ近い感じ。

ちなみに、見た目をイメージしやすくすると、

眼鏡をかけた松山ケンイチ。

と、よく自称していたのだが、

僕の目からはミスターインクレディブルに出てくるエドナ・モードにしか見
えなかった。(分からない人は検索!)

そんな後輩、エドナの趣味はクラブ通いだった。


エドナは休みになるとエドナ・パーリー・モードになるのである。

パーリーモードに入ったエドナに誘われて、何度か行ったクラブ。


「適当に女の子捕まえてきますよ!」


こういう言葉って、

先輩である僕がゴリゴリの体育会系で面倒くさい性格じゃないと成立しない
言葉だと思っていた。

だけど、エドナは、
それをヒョロヒョロのモヤシタイプ+癒し系で売っている僕にするのだ。

素でやるのだ。

案の定、
エドナに連れられてきた女の子は明らかに不思議そうな顔をしていた。

そして、僕はクラブの中での会話がめちゃくちゃ苦手だった。

EDMが爆音でドゥンドゥン流れる中、まず、相手の話し声が全く聞こえない。あの中で言葉を聞き取れる人って、才能だと思う。


そして、もともと声が細い僕の声は特に聞き取りにくいらしい。

だから、お互いに『は?』『え?』の繰り返しで、会話にならなかった。

麻布十番のクラブという若者の聖地で、

僕を取り巻く一帯だけ老人ホームだった。

そんな中、
唯一聞き取れた言葉がある。

「あ、あの人に似てる!今でしょ!!の人」




林修


当時世の中を席捲した、今でしょ!!のジェスチャー。

あのモワっとした手の動きでしゃべってくれたので、

はっきりと聞き取ることができた。


林修に似ていると言われ、僕はどう思ったか?


今でしょ!!には悪いが、ショックだった。


なぜか?


林修と言われる数年前、最後に似てると言われたのが松坂桃李だったのだ!

(べろんべろんに酔っぱらった、おじさん上司の発言を聞き逃さなかったのだ!!)

それを、林修に塗り替えられたのがショックだったのだ!!!

そして、つまんなそうに女の子が立ち去った後、エドナになぐさめられた。


エドナ・ヨリソイ・モードである。


「〇〇さん、林修にそこまで似てないですってwww」

「楽しみましょうwww」


ここで、あることに気付く。

今、僕をなぐさめているコミュ力抜群のポジティブ人間は,

エドナ・モードにそっくりなんだぞ。と。


林修よりきつくないか?と。

僕は、エドナに聞いてみた。

「君は、松山ケンイチじゃない。エドナだ。(画像検索して見せる)
 林修とエドナのコンビだ。なのに、なぜポジティブなのか?」


エドナは教えてくれた。

「他人の好き嫌いなんて自分じゃ分かんないでしょww
 何ビビってるんすかwwwエドナも林修もファンいるでしょwwww」


そう、エドナだろうが、林修だろうが、好きな人は好きなのだ。

逆に、松山ケンイチや松坂桃李が無理って人もいる。


そして、それは自分では分からないってこと。


分からないことでこの人嫌いって思われるかも…って思うぐらいなら、
分からないことでこの人好きって思われるかも!って思った方がいいじゃん。

前者が林修(僕)で後者がエドナだ。

僕はこの考え方に感動した。

どっちの人生が楽しいか?答えは明らかだった。

「〇〇さん、次女の子捕まえてきますけど、心の準備大丈夫すかww
 いつでも行けますけど、いつ行きますwww?」


「今でしょ!!」


僕にとって、エドナも超恩人である。

自己肯定感の上げ方だけでなく、僕に経験という勇気の場をくれた。

おかげで、初対面の人ともある程度緊張せずにしゃべれるようになった。


ちなみに、後日エドナに

「エドナって、自己肯定感の固まりみたいな人間だよな」って言ったら、

「ジココウテイカン?どういう意味ですw?」って返ってきた。


たぶん、自己肯定感が低い人ほど自己肯定感にとらわれているのだろうな。



そして、時が流れた。


妻と出会い、告白したその日に手をつないで歩いていた。


手を握るとき、僕はキムタクになりきっていた。


(東京タワーの夜景を見て告白しようと思っていたが、言葉が出てこず、
 どこかよく分からない、ムードのかけらもない、謎の路上で告白したのはご愛嬌)


自分の気持ちを伝えるということが、


相手にとってどれだけ嬉しことかを知った。


だから、僕は妻と結婚し数年が経った今でも「好きだ!」という気持ちを大切にしているし、言葉に出すようにしている。


僕の恋愛観は一人では正直どうしようもなかっただろう。

でも、運よく


バース6世、エドナという2人の超恩人に出会うことができた。


僕と同じような性格の人も大勢いるでしょう。


そして、全ての人に恋愛観、いや、人生観を変える出会いがあるとは限らない。

だからnoteに自分の経験を書いてみました。

直接出会って伝えることはできないけど、

SNSなら僕の知らないところで、誰かの背中を押してあげられるかもしれない。



結婚なんてできるわけない
僕が
結婚できたわけ



想像に怯える
自己中な
自分に
気付けたからだ。

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