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世界がわたしを殺したがっている

こんにちは。挨拶から入るのは初めてかもしれない。はじめまして。いつもありがとう。顔も知らないみなさん。今日も愛しています。

#はたらくってなんだろう
今日はこれについて、語らせてください。

わたしは働いていない。アルバイトをしているから正確には嘘になるけれど。本職は大学生。だから、働くの正解は知らないし、経験もない。ただ、就職活動中の今、わたしが感じていることを残したいと思う。

就職活動をしている中で、色々な大人に出会った。最初はみんな感じがよくて優しい。相槌を打って話を聞いてくれる、学生に対しても丁寧な言葉遣い、臨機応変なコミュニケーション。大人と学生の圧倒的な違いを見せつけられた。ただ、わたしはやはり、この社会が好きになれない。

わたしは就職活動が嫌だった。何もやりたいことがないから、というのがわたしが就職活動をしていなかった理由だった。なんとなく、友人に勧められた自己分析の本を買ってみた。絶対内定。これ一冊で過去から未来への分析ができる。元々自己分析が好きな私は、スタバにこもってこの本を何度も読み、ワークにも取り組んだ。無印で買った小さなノートを二冊使い切った。しかし、それでもわたしのやる気は出なかった。むしろ、過去の振り返りをする中で自分の家庭環境を恨まざるを得ず、自己嫌悪に陥っていた。結局、自分のことが分かったところでどうにもならない。そう思った。季節はもう秋。サマーインターンという言葉に触れることなく、わたしの夏は終わってしまった。

そんなある日の10月。

ねえちょっと。彼氏が険しい顔で言った。

「飲みに行こう。」

お酒があまり得意ではない彼がそんなことを言うのは珍しかった。ただ、心当たりは一つあった。 彼は一足先に就職活動を始めており、わたしよりもずっと先を歩いていた。毎晩電話をかけてきては、自分のインターンシップでの功績ばかり語ってくれた。わたしは彼の話を聞くことが好きだったが、だんだんと自己嫌悪が大きくなっていくのが分かり、なんとなく彼に会いたくなくなっていた。そんな時の急な誘い。正直気は乗らなかったが、何かが変わるかもしれない、と思っていくことにした。

結局、最初彼は自分の自慢話ばかりだった。この頃のわたしは「ふーん」しか言えなくなっていた。そんなわたしを見た彼が、ついにわたしの一番触れてほしくない所に触れた。

で、ごまは就活やってんの?やってる感じないけどどうすんの?就職しないつもり?

そんなことないよ、わたしのペースでやるよ。

わたしのペースって。インターンとかは?今しかないんだよ?

ええと、うーん。あんまりよく分からなくて。

分からないのはみんな一緒だろ。なんで行動しないの?

うーん。なんとなく?

なんとなくって…。

彼は呆れていた。と思うと、いきなりスマホを取り出してマイナビの画面をわたしに見せてきた。

はい。

え?

はい。探して。今すぐ。

え。今?

今。ここで。

でも、業界とか、職種とか分からなくて、、、

自己分析したんだろ。ごまはどんな人間だったの?

ええと、、、

そこから、彼に言われるがまま、わたしは初めてインターンシップに応募した。聞いたことのない、ベンチャー企業だった。なんとなく、コンサルと人材業界を選び、なんとなく優しそうで、簡単そうな企業を選んだ。このころのわたしは、ベンチャー企業という言葉の意味すら分からなかったけれど、どこか一歩前進出来たような気がした。

俺、就職活動楽しいよ。

え?楽しい?これが?

うん。今までこんなに自分に向き合ったことがないから、自分探しをしているみたいで楽しい。自分に合う企業を探すのも、マッチングアプリみたいで。

楽しい、かあ。わたしもそう思いたいなあ。

わたしの最初の目標は、就職活動を楽しむことになった。

インターシップに参加したことから、わたしの就職活動スピードは急加速した。就活支援団体にも申込み、面談やインターンシップの紹介をしてもらった。来るもの拒まず精神で、幅広く色んな業界業種を見た。あっという間に10月が終わり、11月になった。それまで全てオンラインで行っていた就職活動。初めて、梅田で面談をする機会をもらった。その会社があるビルはとても綺麗で、高くて、綺麗なスーツを纏った大人たちが激しく出入りしていた。エレベーターの階数が多すぎて、とんだ場違いな場所に来てしまった、と思った。出迎えてくれた大人の女性は、とても笑顔が素敵な人で、わたしの緊張をほぐしてくれた。わたしは、就職活動にどのような気持ちで取り組んでいるか、将来自分がどうなりたいのか、どうしてここに来たのか、全てに熱意を込めて熱く語った。帰り際、人事の方に「あなたは就職活動をとても楽しんでいますね。楽しいという気持ちがこちらにも伝わってきました。」と言われた。ありがとうございます、と頭を下げた。帰りの電車で泣きながら彼にLINEを送った。わたしは最初の目標を達成した。

もう一社、対面でインターシップを行っている会社に出会った。この出会いがわたしを大きく変えた。

「皆さん、就職活動は楽しいですか?しんどい、つらい、やめたい、という気持ちばかりになっていませんか?」

ニヤニヤしながら会場を見渡す司会者と目が合った。わたしはマスク越しからでも分かるように、にっこり笑って見せた。

「どうして就職活動をするのか。そのお話をする前に、あなた方の幸せについて教えてください。」

そう言って渡されたただの白紙に、わたしと他の参加者は自分自身の幸せをひたすら書き込んだ。寝る、食べる、お酒、、最初は自分でも馬鹿らしいものばかりだった。しかし、次第に、友人とご飯を食べる事、誰かに感謝されること、同じ考えを持つ仲間を意見を交換すること、など、より深い幸せが見えてきた。

「あなたたちのゴールは、その【幸せ】です。仕事は、幸せになるための手段にしか過ぎないのです。」

この言葉に、わたしはハッとした。仕事がゴールになっていたわたし。だから、就職活動に意味を見い出せなかった。しかし、仕事を手段だと捉えれば。わたしの胸の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じていた。

「あなたは死んだ時、周りの人にどんな人だったと言われたいですか?」

わたしは、人のために生きていた人だと言われたい。自分よりも他者を優先し、誰かのために生きることで毎日忙しそうにしている。そんな人になりたい。さらに、毎日変わり続ける人でありたい。昨日のわたしはもうここにはいないから。毎日、昨日のわたしを超えたい。わたしを更新し続けたい。そんな風に思った。これがわたしの将来のビジョンになっている。

「やりたいことがないなら、自分の価値観から探しなさい。」

大学の教授の言葉を思い出す。ビジョンは、名前のつくものでなくてもいいのだ。わたしのなりたい姿がはっきりしていれば。そう自信を持って言えるようになった。

ビジョンのために必要な理念。それは、変化、感謝、貢献、成長。

尊敬できる人の影響を受けながら目標を持って仕事をしたい。他者貢献性が高く、わたしの介在価値を最大化できる仕事をしたい。同じ方向を向いている仲間がいる環境で、仲間にも貢献しながら高め合いたい。これが、わたしの企業選びの軸になった。

加速したわたしは止まらない。自分に厳しくしようと、11月のうちに12月の予定を全て埋めた。毎週平均して3~4社の面接。面接対策をするためだった。わたしの11月時点での第一希望先は、人生で初めてインターシップに行った、あのベンチャーの人材会社だった。

結論から言うと、わたしは12月25日、第一志望先の最終面接を受け、12月28日、内定を頂いた(まだ就職活動を続けるから内々定かな?)。

10月に火を点けてもらってからわずか二か月でスピード内定。これも、「年内内定」という明確な目標があったからだった。わたしは、明確な目標があれば自分でも信じられないような力を発揮する。これも、就職活動を通して知ったわたし。

書きたかったのはここではない。やっと本題。12月の間、わたしが出会った大人たちについて話そうと思う。

わたしは、正直給料や福利厚生にこだわっていない。というのも、「わたしに合う企業」を重視して就職活動をしていると、わたしには変化が少なく安定している(と言われている)大手企業は合わないからだ。わたしはどちらかといえば、熱意を持って、バリバリ働いて他者貢献したい。そんな風に思っている。

しかし、これを伝えた時の反応は大きく二つに分かれることを知った。一つは、内定をいただいた企業のような、「全肯定派」。もう一つは、選考を辞退した2、3社のような「あなたは優秀な人間で社会にもウチの会社にも貢献しそうだから選考は通すけど、わたしは嫌い派」。ちなみに、後者の方が圧倒的に多い。

わたしが傷ついた言葉。「もっと素を見せてほしかった」「そんなに社会甘くないよ」「そんなこと言って、実際にできる?」「ポテンシャルは高そうだけど、そういう子ってすぐ折れるから、気をつけてね。」

意味は分かるんだけどね。どうしてもさようならしたくなった。


「もっと素を見せてほしかった」全部素で話した時に言われた言葉。過去のこと、複雑な家族構成、挫折した経験。全て話したのに。

「その人事の方が思う素とごまちゃんの素が違っていたんだろうね。見抜けなかった人事の方が残念だよ。」と、あとで別の人事の方に言ってもらった。この言葉に縋りついているわたしが少し、情けない。

「社会はそんなに甘くないよ」はい、働いたことがないから実感はしていないけれど、分かってはいます。でも、自分のビジョンを持ち続けることは間違いではないでしょう?自分のために生きるのって、正しいことでしょう?

「すぐ折れるよ、気をつけて」折れる環境と、折れない環境があることを、わたしは自覚しています。わたしは、既に何度も折れている。それに、折れることが必ずしも悪ではないでしょう?

どうして、そんなにわたしの心を殺したいの?


1人だけ、変わった面接官がいた。社会は甘くない、の理由を長々と語ってくれた。その上でわたしの話を聞いてくれた。わたしの恥ずかしい部分も見つめてくれた。褒められはしなかったけれど、バカにすることもなかった。これが、本当の大人だと思った。心が折れかけていた時の出会い。感謝している。

わたしのキラキラしたビジョンを全肯定してくれる企業に数社出会っている。それが正解なのか、分からない。わたしに合っているからこそ、そこを選ぶのは甘えなのかもしれない。分からないけれど、なんとなく世界の形が見えてきて、わたしの大きさも分かってきた。

「世界がわたしを殺したがっている」これがこの社会の答え。はたらくの答え。

たぶん、就職活動中のキラキラしたビジョンは、目先の不安に覆われて見えなくなってしまう。見失ってしまった大人たちは、もう何にも満足できない。過去の自分のようにキラキラしているものを、壊したくなってしまう。夢は夢のままだと教えられ、教えている。

はたらく、の間違った本質が、社会の常識になっている。はたらく、が楽しい人はとても少ないと聞いた。それを働いてもいないわたしが実感していることが、紛れもない証拠。

優秀な経営者は学びをやめない。この言葉の裏に隠れているのは、目的を見失わないということ。常に自分のビジョンを見ている。そのためにするべきことを見つめ直している。もっといえば、ビジョンを変化させ続けている。そんな大人になれたら、はたらくの本質が、わたしたちの社会に浸透してくれるのではないか。

わたしは、キラキラを失いたくない。心ない言葉に傷つきたくない。わたしを見失いたくない。受験と就職活動はちがう。わたしと企業のマッチング。今日も新たなわたしを発見する。昨日を越えていく。たまには折れてもいい。ただ、折られたくはない。

今日も、わたしを殺したがる世界に歯向かう。
わたしは就職活動を楽しんでいる。



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