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#TheKishidaCabinet

岸田政権の「辞任ドミノ」をどのように考えるべきか

昨日、政府は持ち回り閣議で2013年以降、4回にわたり固定資産税の滞納により差し押さえを受けていた神田憲次副大臣の辞任を認めました[1]。

政務三役の辞任を巡っては、10月26日に文部科学政務官だった山田太郎氏が女性との不適切な関係を報じられて辞任し、10月31日には柿沢未途氏が東京都江東区長側の公職選挙法違反を巡り法務副大臣を辞めており、今臨時国会の開幕から1か月を経ずして3人が相次いで職を退

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加減乗除から考える第2次岸田第2次改造内閣における「副大臣と政務官に女性の起用なし」の問題点

去る9月15日(金)、政府は副大臣および政務官の人事を閣議決定し、54名の副大臣および政務官のうち、女性の起用はなく、全員が男性となりました。

昨年8月の内閣改造の際には11名の女性が副大臣もしくは政務官に任命されただけに[1]、史上最多に並ぶ5名の女性を入閣させた閣僚人事と対照的な人事となりました。

衆議院においては自民党及び無所属の会に261人中21人、公明党に32人中4人、参議院では自民

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岸田文雄首相は人事を有効に活かすことが出来たか

本日、内閣改造と自民党役員人事が行われ、第2次岸田文雄改造内閣が発足しました。

今回は閣僚と党役員に女性の起用が進んだことが注目されています。これは、女性の積極的な登用により進歩的な人事であることを強調しようとする岸田文雄首相とその周辺の思惑の表れです。

実際、2001年の小泉純一郎内閣、2014年の第2次安倍晋三改造内閣に並び過去最多の5人の女性閣僚が起用されたことは、「男女共同参画」や「上

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岸田政権による「首相経験者の国葬の実施への対応策」はいかなる意味を持つか

昨日、松野博一官房長官が記者会見を行い、首相経験者の国葬に関して実施の基準を明文化しない方針を示すとともに、この方針を閣議決定する予定がない旨を表明しました[1]。

確かに、就任時は傑出した首相と国民の評価を受けたものの汚職や醜聞によって早期の退陣を余儀なくされたり、政権を引きつだ際には鈍重と思われながら時が経つにつれて評価が高まる首相がいるなど、何らかの統一された基準を設けて首相経験者の功績を

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「4閣僚辞任問題」において岸田文雄首相の任命責任はいかに考えられるか

昨年10月から12月にかけて、岸田文雄内閣の閣僚4人が辞職しました。

すなわち、山際大志郎国務大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣、秋葉賢也国務大臣が、3か月のうちに相次いで閣外に去っています。

世論の関心の高い問題に関与した山際国務相、不適切な発言が問題視された葉梨法相、不適切な政治活動の責任を取った寺田総務相と秋葉国務相というように、4人が辞職した理由は様々です。

不祥事とはあるものの

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政権発足から1年を経た岸田文雄首相は何をなすべきか

昨日、2021年10月4日(月)に第1次岸田文雄内閣が発足してから1年が経ちました。

政権発足から今日に至るまで、ロシアによるウクライナへの侵攻による国際秩序の動揺や原料高、日米の金利差を背景とする円安ドル高の進行、あるいは安倍晋三元首相の遭難に発端するいわゆる「統一教会問題」と、岸田文雄首相を取り巻く環境は内憂外患というべきものです。

こうした状況に対し、少なくとも現時点では岸田内閣が有効な

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支持率低下に直面する岸田文雄首相に勧める「海部流」の政権運営

各種世論調査で岸田文雄内閣への支持率が低下しています。

本日公表された日本経済新聞とテレビ東京による世論調査でも、昨年10月の政権発足以来初めて不支持が支持を上回るなど[1]、これまで堅調に維持してきた支持率の低下が進んでいます。

岸田内閣への支持が低下している主な理由は、今年7月8日の安倍晋三元首相の急逝後に明らかになった政界における世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係の深さにまつわる

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岸田文雄は内閣改造と党役員人事でいかなる手腕を発揮するか

昨日、岸田文雄首相が訪問先の広島県広島市で記者会見し、内閣改造及び党役員人事を行うことを表明しました[1]。

今回の人事は新型コロナウイルス感染症対策、ウクライナや台湾の情勢への対応、あるいは安倍晋三元首相の国葬の準備などが理由とされており、連立与党である公明党の山口那津男代表が岸田首相から8月10日に実施する旨の話を伝えられたことを明らかにしました[1]。

7月10日(日)執行の参議院議員選

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「安倍晋三元首相の国葬」を閣議決定したことの意味は何か

本日の閣議で、7月8日(金)に銃撃事件に遭難して急逝した安倍晋三元首相の国葬を9月27日(火)に日本武道館において実施することが決定しました[1]。

天皇や皇族を除き、国葬が行われるのは日本国憲法下では1967年の吉田茂元首相以来55年ぶりのこととなります。

今回は、吉田元首相の国葬の際に当時の佐藤栄作首相が葬儀委員長を務めた故事に倣い、岸田文雄首相が葬儀院長になるとともに、森昌文総理大臣補佐

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「安倍晋三元首相の国葬」の何が問題か

昨日、岸田文雄首相が記者会見を行い、7月8日(金)に逝去した安倍晋三元首相の葬儀を国葬として今秋に行うことを表明しました[1]。

日本国憲法下で国葬が行われるのは1967(昭和42)年の吉田茂元首相以来2例目となります。

安倍元首相の葬儀を国葬とするか否かについては、賛成と反対の双方の観点から意見が呈されています。

国葬であれ他の形式であれ政府が主催する葬儀に国費が投じられる以上、納税者とし

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岸田文雄首相の「改憲発議をできるだけ早く」発言は何を意味するか

昨日、岸田文雄首相は自民党総裁として党本部で記者会見を開き、改憲に前向きな勢力が参議院での発議に必要な3分の2以上の議席を維持した結果を巡り、「出来る限り早く発議に至る取り組みを進める」と表明しました[1]。

衆参両院で改憲のための発議を行える状況にあり、しかも7月8日(金)に逝去した改憲派の安倍晋三元首相の「思いを受け継ぐ」という岸田首相の発言からは、いよいよ憲法改正のための発議の可能性が高ま

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山際大志郎国務相の発言が示す岸田内閣の綱紀弛緩

昨日、松野博一官房長官は参議院議員通常選挙での演説を巡り、「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない」と発言した山際大志郎国務大臣を注意しました[1]。

選挙戦での演説という、目の前にいる聴衆の反応が即座に分かる場面では、人々の耳目をひきつけるためにしばしば過剰な表現や針小棒大的な話が行われることは、われわれのよく知るところです。

その意味で、山際国務相も目の前に集まった聴衆の歓心を得

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岸田内閣に求められる「骨太の方針」ではなくなすべき政策を遂行する力

昨日、政府は経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」を閣議決定しました。

岸田文雄首相の標榜する「新しい資本主義」の実行計画が閣議決定されたことを受け、「骨太の方針」にも「人への投資」に3年間で4000億円を投資するなど、関連する施策が反映されています[1]。

その一方で、今回の「骨太の方針」を見ると、最低賃金の引上げ、貯蓄から投資への移行の推進、カーボンニュートラル実現など、これ

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岸田政権の「長期政権への遠い道のり」

本日、岸田文雄氏が2020年10月4日に首相に就任してから3か月が経ちました。

これまでの間は、新型コロナウイルスのオミクロン株の流行を受けた国際線の新規予約の受付停止措置を3日後に撤回したり、国土交通省の統計改竄問題で第三者委員会の設置を斉藤鉄夫国土交通大臣に指示するなど、政権の基盤を揺るがしかねない問題に対して比較的迅速な対応を講じています。

また、自民党の総裁選挙で「聞く力」を標榜し、国

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