岸田政権の「長期政権への遠い道のり」

本日、岸田文雄氏が2020年10月4日に首相に就任してから3か月が経ちました。

これまでの間は、新型コロナウイルスのオミクロン株の流行を受けた国際線の新規予約の受付停止措置を3日後に撤回したり、国土交通省の統計改竄問題で第三者委員会の設置を斉藤鉄夫国土交通大臣に指示するなど、政権の基盤を揺るがしかねない問題に対して比較的迅速な対応を講じています。

また、自民党の総裁選挙で「聞く力」を標榜し、国会での所信表明演説や記者会見での颯爽とした様子や若々しい話しぶりなどにより、過去2代の政権に比べてより親しみやすい印象を与えたこともあり、政権発足直後は必ずしも高くなかった支持率も堅調に推移しています。

このように見れば、岸田政権は長期政権への道のりを歩み出したかのように思われます。

一方で、この間、岸田首相は第49回衆議院議員総選挙に勝利した以外に具体的な成果を残していないのも事実であり、2022年度予算の審議を含む本格的な国会での討論はこれから始まります。

今まで過去の政権との違いを際立たせることで国民の支持を獲得してきた岸田首相にとっては、ほとんど名存実亡となった党首討論を定期的に開催することなどは、「聞く力」、さらには「対話力」を強調するためには格好な手段となるでしょう。

しかし、どれほど「聞く力」があるとしても聞いた内容を分析、検討し、取り組むべき事柄の優劣を決め、政策として実現することが出来なければ、岸田首相は聞くだけで終わることになりかねません。

何より、周知の通り宏池会は岸田首相の政治上の最大の資産であり、自らも誇りとするところながら、創始者である池田勇人をはじめとして、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一と歴代の「宏池会出身首相」はいずれも不本意な形で政権の座を退いています。

もちろん、過去の宏池会出身の首相が池田勇人を除いて2年半以内で退陣しているからといって、岸田首相も先人と同様の結末を迎えるとは限りませんし、故事に学ぶことで将来への備えを施すことも可能です。

それでも、新型コロナウイルス感染症の感染状況という不確定要素を含め岸田首相が乗り越えるべき壁の数は多く、長期政権の実現は決して容易ではないといえるでしょう。

<Executive Summary>
Will It Be Possible for Prime Minister Fumio Kishida to Realise a Long Term Administration? (Yusuke Suzumura)

The 4th January, 2022 is the 3 months anniversary of forming the Kishida Cabinet. In this occasion we examine a possibility of the Cabinet as a long term administration.


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