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評論

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2024年1月の記事一覧

岸田文雄首相の第213回国会における施政方針演説はどのように評価できるか

昨日、岸田文雄首相が衆参両院の本会議において施政方針演説を行いました[1]。

現在の日本社会において喫緊の課題である令和6年能登半島地震を最初に取り上げ、被災地の復興だけでなく現地を訪問した際の所感を明記したことは、非常災害対策本部長でもある岸田首相として当然の対応です。

また、2022年2月以来進む物価上昇について、賃上げと減税とを主な対策として挙げたことは、実現可能か否かは別として、日本に

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衝撃的な出来事を適切に理解するために求められるのはいかなる態度か--芦原妃名子さんの訃報を受けて

昨日、漫画家の芦原妃名子さんが栃木県内で死亡しているのが見つかり、周囲の状況から自ら命を絶ったとみられます[1]。

芦原さんは2023年10月から12月に日本テレビでドラマ化された漫画『セクシー田中さん』の原作者で、脚本や登場人物の設定を巡り日本テレビ局側と見解の相違があったとされます[1]。

今回の出来事と番組の内容に関する問題が直接関係するか否かは、今後警察当局の捜査などで明らかになること

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オフシーズンも危険と隣り合わせの大リーガー

2023年11月28日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月29日号27面に連載「メジャーリーグ通信」の第151回「オフシーズンも危険と隣り合わせの大リーガー」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおけるフリーエージェント市場を中心とする年俸の高騰の背景を、球団の経営環境のあり方から分析しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

オフシーズンも危険

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「味を占める」ということ

「昔はああだったのに、今はこうなって」というとき、「こうなって」には肯定的な評価が入る場合と否定的な意見が当てはまる場合とがあります。

前者の場合は、例えば以前は傍若無人であった人が、今では良識と分別のある姿へと変貌した際に用いられます。

また、後者の事例はその反対で、かつては人格者と思われていた人が今では周囲の顰蹙を買う言動ばかりするといった場合が該当します。

いずれの事例も、その人が備え

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「三派閥の解消」は自民党の派閥問題を解決するか

昨年表面化した自民党の派閥の政治資金問題は、岸田派、安倍派、二階派が解散を表明するという事態に発展しています。

自民党の党内政治の基礎単位であり、政権運営にとっても重要な役割を果たしている派閥が相次いで解散を表明するのは異例です。

もちろん、岸田文雄首相が岸田派の解散を表明した背景に、派閥の政治資金問題で他派の機先を制し、有利な状況で党内世論をまとめ上げようとする思惑があることは想像に難くあり

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年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改善

去る11月14日(火)、日刊ゲンダイの2023年11月15日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第150回「年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改善」が掲載されました[1]。

今回は、大リーグにおけるフリーエージェント市場を中心とする年俸の高騰の背景を、球団の経営環境のあり方から分析しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

年俸高騰の裏に経営環境の劇的な改

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『光る君へ』は大河ドラマの未来を照らし出すか

本日20時から、NHKの大河ドラマ『光る君へ』が始まりました。

1963年以来続くNHKの看板番組である大河ドラマは、2009年以降平均視聴率の低下が進んでおり、昨年放送された『どうする家康』は2019年に放送された『いだてん~東京オリムピック噺~』に次ぎ、平均視聴率が過去2番目に低くなりました[1]。

人々がテレビの視聴に費やす時間の割合は、各種のSNSやNetflixやAmazonプライム

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旧弊からの脱却の難しさを示した第74回NHK紅白歌合戦

2023年12月31日(日)に放送された第74回NHK紅白歌合戦は、関東地区における総合テレビの平均視聴率が、第1部で29.0%、第2部が31.9%となり、前年比で第1部が2.2ポイント、第2部が3.4ポイント減少し、いずれも2部制となった1989年以降で最低の数値を記録しました[1]。

一昨年と同様に、視聴率の回復のためにTikTokでの再生回数の多い歌手を起用したものの、今回も顕著な効果を発

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