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2020年8月の記事一覧

【旧稿再掲】映画「ブラックパンサー」と「黒人捕手」

現地時間の8月28日(金)、米国の俳優チャドウィック・ボーズマンが逝去しました。享年43歳でした。

ボーズマンさんは、映画『42~世界を変えた男~』(原題:42、2103年)や『ブラックパンサー』(原題:Black Panther、2018年)の主演俳優として著名です。

特に『ブラックパンサー』については、アイアンマンやキャプテンアメリカなど「白人のヒーロー」を世に送り出してきたマーベル・スタ

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栄典と野球史の観点から考える「安倍首相の辞任表明」

昨日安倍晋三首相が辞意を表明したことを受け、本欄では2012年12月の組閣以来安倍首相が示してきた権力への強い意志と政権の維持のためのしたたかな態度が持つ意味を検討しました[1]。

そこで、今回は安倍首相のこれまでの取り組みと今後のあり方に基づく2つの話題を挿話的に検討します。

まず、内閣総理大臣としての在任期間が第一期と第二期を合わせて日本の憲政史上で最長となったことは安倍首相の国際社会での

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「安倍首相の辞任表明」が示すしたたかさと権力への強い意志

本日、安倍晋三首相が首相官邸で記者会見を行い、持病の潰瘍性大腸炎を8月上旬に再発し、職務の継続が困難になったとして、辞任する意向を示しました[1]。

また、辞任の時期については、「次の首相が任命されるまで最後まで責任を果たしていく」と述べ、自らが務める自民党総裁の後継者が決まるまでは執務を継続する方針を表明しています[1]。

体調の悪化によって2007年9月に退陣を余儀なくされた安倍首相[2]

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「頭の体操」として考える「安倍首相の健康問題が持つ問題」

昨日、内閣総理大臣としての連続在任日数の歴代最長記録を樹立した安倍晋三首相については、8月に入って2週連続で慶應義塾大学病院で検査を受けるなど、体調に不安があることが指摘されるようになりました[1]。

体調の悪化によって2007年9月に退陣を余儀なくされた安倍首相[2]にとって、健康問題が他の政治家よりも一層繊細な問題であることは容易に想像されるところです。

従って、健康状態を不安視する声を払

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「運の強さ」で考える「安倍首相の連続在任日数新記録樹立」

本日、安倍晋三首相の内閣総理大臣としての連続在任日数が2799日となり、佐藤栄作氏の連続2798日を超えて歴代最長記録を樹立しました。

民主党政権時代に停滞した日米関係の強化や、景気の回復などを実現したことは安倍首相の顕著な功績と言えるでしょう。

2012年9月の自民党総裁選挙では、再選を目指した谷垣禎一総裁が党内調整に失敗して出馬を辞退したこと、さらに第1回投票において141票に止まり、19

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いずれ始球式を行うであろうトランプの思惑

去る8月3日(月)、日刊ゲンダイの2020年8月4日号の27面に、私の連載「メジャーリーグ通信」の第74回「いずれ始球式を行うであろうトランプの思惑」が掲載されました[1]。

今回は、米国トランプ大統領が大リーグの始球式を行う可能性とこれまでの経緯を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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いずれ始球式

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「8月15日」に改めて考える「玉音放送」と「村山談話」の意味

本日、1945(昭和20)年8月15日正午に昭和天皇が、大日本帝国政府が連合国による日本への降伏要求の最終宣言、いわゆるポツダム宣言を受諾したことを国民に告げる玉音放送から75年が経ちました。

先人の労苦に思いを致しつつ、改めて「終戦の詔書」を反芻するところです。

「終戦の詔書」で最も注目されるのは「堪へ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ」という箇所でしょう。

ここだけを取り出せば、「終戦の詔書」は国

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「8月14日」に改めて考えたい「ポツダム宣言受諾」の意味

本日、大日本帝国が1945(昭和20)年8月14日に米国、英国、中華民国による日本への降伏要求の最終宣言、すなわちポツダム宣言を受諾してから75年が経ちました。

しかし、翌日に昭和天皇が肉声を通して国民にポツダム宣言の受諾を告げたいわゆる玉音放送が今日に至るまで注目され、8月15日が「終戦記念日」として扱われる一方で、ポツダム宣言の受諾をスイスとスウェーデンの日本公使館を通じて連合国に通知した8

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「立憲国民党」か「国民立憲党」か--「頭の体操」として考える合流後の党名

現在進められている立憲民主党と国民民主党の合流について、喫緊の課題が合流後の国会議員や衆参両院の選挙の立候補予定者の選挙区の調整であることは、昨日の本欄で指摘する通りです[1]。

ところで、現在両党の間で協議されている事項の一つが党名の決定方法で、投票により決められることとなりました[2]。

そこで、今回は「頭の体操」として、両党が合流した後にいかなる党名となるかを考えます。

まず、形式面で

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「立民と国民の合流」で重要な「選挙区の調整」は行われているか

昨日、国民民主党の玉木雄一郎代表が記者会見を行い、立憲民主党との合流について、合流に参加する議員と不参加の議員とで党を分けると説明するとともに、自らは合流に参加しないことを表明しました[1]。

さらに、玉木代表は自らを含め合流に不参加の議員については国民民主党を回答したうえ、法的には新党となる国民民主党を結成することを明らかにしています[2]。

玉木代表が説明した手法は2018年に希望の党と民

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「広島原爆の日の首相あいさつ」が持つ意味は何か

昨日、1945(昭和20)年8月6日(月)に広島県広島市に原子爆弾が投下されてから満75年を迎え、安倍晋三首相が広島市原爆死没者慰霊式及び平和祈念式に参列し、核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くす旨を演説しました[1]。

冒頭のあいさつの後に「新型コロナウイルス感染症が世界を覆った今年、世界中の人々がこの試練に打ち勝つため、今まさに奮闘を続けています。」[1]と新型コロナウイルス感染

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「広島への原爆投下」から75年目に思ういくつかのこと

本日、1945年8月6日(月)に広島県広島市に原子爆弾が投下されてから、75年目を迎えました。

同盟通信社は英米政府が原子爆弾を投下した旨を声明するラジオ放送を傍受してはいたものの、「新型爆弾」や「新爆弾」という表記となった背景に、「原爆などといったら、国民の士気がいっぺんに低下するから」[1]と、軍と情報局との対立があったことは広く知られるところです。

実際、「新型爆弾」や「新爆弾」が広島市

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萩生田文科相の記者会見での「大学もオンラインと対面併用を」発言の問題点は何か

昨日、萩生田光一文部科学大臣が記者会見を行い記者との質疑応答の中で、大学における遠隔授業のあり方について発言しました[1]。

記者の質問に答えた萩生田文科相は現在約85%の大学で遠隔授業が行われており、そのうち一部の授業を面接で行うなど遠隔と面接を併用している大学が約60%、遠隔授業のみの大学が24%であると指摘しました[1]。

これに続けて、萩生田文科相は「遠隔授業には授業実施に時間的場所的

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「NHKの新経営計画とチャンネル削減問題」が持つ意味は何か

本日、NHKは2021年度から2023年度の経営計画案を公表し、「減収局面でもコンテンツ投資を充実させ、視聴者・国民の求める多様性・質の高さを実現」するとともに「職員一人ひとりの創造性を最大限に生かせるスリムで強靭な組織」という「新しい「NHKらしさの追求」」することを明らかにしました[1]。

また、新たな経営計画案の公表にあわせてNHKの前田晃伸会長が記者会見を行い、衛星波の段階的な整理・削減

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