見出し画像

わたしの海とは違うけれど

瀬戸内に住んでいると、海は身近だ。

特に呉から広島へ向かう電車は海沿いを走る時間も長い。
通学や帰省の時は、よく車窓からぼんやりと海を眺めていた。

列車の心地良い揺れと音。
視界に映るは波間に浮かぶ幾つもの小島。
海の青と島の緑は、いつもセットで。

それが、わたしの海のイメージだ。

だからこそ初めて太平洋を見た時は驚いた。

何もない、だだっ広い海。
視界の果てに広がるは、ただ一本の長い線。

いつか、こんな海から昇る太陽を見てみたいと思った。

それが実現したのは昨年のことだ。

沖縄の久高島は何もないけれど何もかもある…そんな島だった。
生い茂る緑に青い海、濃い自然の気配。

昧爽どきにふと目が覚めて、宿の屋上に出てみると…

広がる空が水平線に沿って少しずつ染め上げられていた。
海から少しずつ姿を現す太陽、照らされる島の緑。

わたしの海とは違うけれど、あるのは同じ朝で。
だけれども、ひどく美しく。

ああ、旅先にいるのだ…そう思った。


サポートはたぶん、うちのかわいいワルチーズのおやつか好物のささみに化けます…!