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アラジン珈琲店【X版】

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扉を開けるとそこは異世界。 アラジン珈琲店。 日が暮れる頃、街角にぽぉっと現れる摩訶不思議なカフェ。 ここでは、マスター、メイドの芽衣、それから常連客と新客が、 夜な夜な好きなこ…
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#三浦春馬

アラジン珈琲店 第一集<X版>

アラジン珈琲店 第一集<X版>

アラジン珈琲店 第一集<X版>
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①《アラジン珈琲店》
アラジン。茜色が西の空を染める頃から、濃紺が空一面に広がり始める時刻にかけて、いつの間にやら街角に忽然と姿を現す珈琲店。
 とっぷりと日も暮れた。夜空に星々が白に黄色、オレンジに赤と踊り始めるころ、カラランコカランと扉を開ける音が響いた

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アリババ珈琲店【X版】②新客はあの人

アリババ珈琲店【X版】②新客はあの人

②《新客はあの人》
翔子はピンク色の薔薇模様の珈琲カップを宙に浮かせたまま、驚いた猫のように目を見開いていた。新客は、知名度の高い俳優Xだった。ミーハーではない翔子だが、知性的で洗練されながら同時に野生的な香りをも漂わせるXを目の前にして、一種の高揚を覚えていた。
「いらっしゃいませ。こちらのメニューです。本日のコーヒーは、パナマ産ゲイシャと言って、ジャスミンの香りのする爽やかな逸品ですわ。」

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アラジン珈琲店【X版】⑤《人の成功vs失敗。耳を傾けるべきはどっち?》

アラジン珈琲店【X版】⑤《人の成功vs失敗。耳を傾けるべきはどっち?》

⑤《成功vs失敗。耳を傾けるべきはどっち?》
「35000回?」
驚きを見せる翔子に芽衣は、平然と話した。
「その倍の7万回、それ以上判断をしていると言う方もいらっしゃいますわ。」
「7万回?それ以上。それって脳の回転の速さによるのかしら?おばあさんおじさんと、20代の人の差かしらね?一日にそんなに何某かの判断をしているなんて、自覚、まるでないわ。」
「あら、80代を超えても20代なみの認知機能を

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