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「実験数は少ない方がいいのか?質or量?」の話

ゆーです。

今日は、研究者をやってると、誰しも一回は気にするんじゃないかなという話です。
そう、“実験数は少ない方がいいのか”問題。

ボクも気にしたことがあります。
これ、環境を配慮してとかっていう高尚な理由ではありません。

失敗とか、いいデータの出ない実験を繰り返してると思うんです。
「俺はアホなのか…?」と。
もっと勉強して、ちゃんと考えて検討した方がいいのではないだろうかと、悩むわけです。

ちなみに先にボクの結論を言ってしまうなら、「学生時代の修行期間ぐらい、多少は目も暮れず、ガンガン実験をしたほうがいい」です。

どういうことか、書いていきますね。

まず、学生で、研究室に配属されたての時なんかは、何をしたらいいのかすらわからない。
なので、慣れるということを意識した方がよく、どんどん実験したらいい。
で、1年もして、大学院に進む頃に考える。
「うん?実験ばっかりして勉強してないけど、いいのかこれ?」と(実際には、実験してないと、うんと怒られたんですよ…。)。

ここで、ボクは考えることから逃げました。笑
何も考えず、ひたすら実験。
毎日10時間以上、せっせと飽きることもなく。
コレだけやってるとですね、良い悪い関係なくデータは蓄積される。(←悪い方が多い)
何かしらの検討を進めているので、データが出れば「じゃあ次、コレやればいっか」みたいになる。
なので、なんだかんだ研究自体は進むんです

ただなー、「これやる意味あるんか?」とか、「不要なデータ取ってることないか?」とか、「めちゃくちゃ遠回りしてるような…」とか、思っちゃう。

ちょっとした余談ですが、こんな日々を送っていたある日、研究室の人に「海外の結果出しまくってる研究室の人らって、めちゃくちゃ調査して、“コレならいける!”ってところまで戦略を練ってから開始するらしいよ?」とか言われた。

おいおいおい、そんなこと言われたら余計悩むじゃないか。
…まぁ、「今更スタンスなんて簡単に変えられるか!」と、実験し続ける日々を3年ぐらい続けることになったんですけどね。苦笑
(はい、改めて…逃げました。)

で、話を戻します。
こんな生活ばかり送ってたんですけど、指導してくれてた先生が凄すぎて、とりあえず論文2本も書けました。
でも、そんな先生に言われる。
「お前、手を動かすのは早いし、実験も丁寧。信頼してる。でもそれだけや。技術員でしかない。博士号取るんやろ?お前はまだ研究者ではない。(訳:俺にアイデアの1つや2つ持ってこいや。)」と。
(一方で、実験してないと怒られもしたので、実験の合間をぬってちゃんと考えろ、とのこと。)

普通に泣きそうになりましたね。
ちょうど、研究テーマがひと段落して落ち着き、さぁ次何しようかというタイミング。
うーん、まともに勉強してこなかったから、何したらいいのかわからない。
やべぇ…。

ここからです、論文を読み漁る日々に入ったのは。
とにかく、やることがない。
何をしたらいいか見つけないといけない
でも、しょうもないことをやってたら怒られる。
ある日、呼び出され…、
先生「お前、毎日、実験仕込むこともできひんぐらいアイデア無いの?終わってんな」
だってさ。泣

半年ぐらいこんな日々を送り、もちろん結果は何も出ない!
で、とりあえずショボいけど、当たり障りのないテーマをやりつつ新しいことを探す日々へ。
1年ぐらいは悶絶しながら暮らしてました。
質より量を追求したらこうなった。笑

でもですね、1年も頭の使い方を勉強してたら、徐々に覚醒しますね、人間は。
最後の2年間はアイデアも出てきて、なんならそれがうまくいくのかどうか検証しないと気が済まない。
なので、必然的に実験をしまくるように。
このフェーズになれば、量と質が両立してくる

でも、ふと思った。
過去に、実験に没頭する日々があって、この日常に慣れていないと、いくらアイデアを思いついてもアクセルを踏み続けられないな、と。
実験しかしなかった日々も必要だったと思うんです
おかげで、当時の実験量、恥じないぐらいにはなりました。
(同じ領域の人でないと比較できないけど、卒業までに5000は超えてたので、そこそこ?@有機合成:反応開発)

トライ&エラーの精神が身についたので、今ではいい思い出です。
確かに、どこかで頭を使うフェーズは必ず必要なんだと思います。
でも、ひたすら動き続けられるようにもなっておかないといけない。
コレだけは経験しておかないと、おそらく重い腰を上げるのは難しいのでは?

なので、手を動かしてばかりで悩んでしまっても、中途半端に止まらないでほしい
いつか頭は使わないといけないけど、頭だけ動いてても価値は無い。
検証しないといけないので

実験数が少ないのはカッコいいかもしれないけど、びっくりするぐらいの量をこなした人も同じぐらいカッコいいと、ボクは思います

「量で勝負」、文句なしで良い戦略なんじゃないでしょうか?

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