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春と私の小さな宇宙

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少し不思議で哲学チックな物語です。自分でも何故こんな話を書いたのかわかりません。
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#想像

『春と私の小さな宇宙』 その67

『春と私の小さな宇宙』 その67

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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ハルの計画はゆっくりとではあるが着実に浸透するものだった。

知らず知らずのうちに人類の遺伝子は第三世代に変化していく。ハルの死後も三重螺旋のDNAは次世代に引き継がれ、第三世代の子孫を増やしていくのだ。

いかに物事を滞りな

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『春と私の小さな宇宙』 その62

『春と私の小さな宇宙』 その62

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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「あった。やはりここに落ちていたのね」

拾ったのは熊との格闘で負けを悟った時、落とした注射器だった。

「この場所に落としたところを記憶していたの。まだあってよかったわ」

今度はハルが宮野の首筋に注射器を当てる。ゆがんだ顔

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『春と私の小さな宇宙』 その59

『春と私の小さな宇宙』 その59

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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自宅の入り口まで来ると、郵便受けに封筒が入っていた。すぐ目に入るよう封筒の半分がはみ出ている。

まるで絶対に気付いてほしいのだと主張しているようだった。

封筒を取り出し、家に入る。二階に上がって自室に入ると先程の封筒を見た

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『春と私の小さな宇宙』 その31

『春と私の小さな宇宙』 その31

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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第三章



○ 小さな宇宙

ハルの視界が見えるようになって、しばらく経った。

その頃になると私は、随分、外の状況に詳しくなっていた。色も動物も天候も理解できるようになった。

だけど、いまだに ハルの姿だけがわからない

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『春と私の小さな宇宙』 その30

『春と私の小さな宇宙』 その30

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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「そうだね。君の考えは正しいと思うよ、でも、こうは考えられないかな。これはあくまでボクの仮説だけど、無を満たしているものが質量やエネルギーのない、全く別のものだったとしたら。説明ができると思うんだ」

「意味がわからない」

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