ゆにばーしてぃポテト@小説

名古屋の文芸サークル「ゆにばーしてぃポテト」の愛されキャラクター、ゆにてぃだよー! リ…

ゆにばーしてぃポテト@小説

名古屋の文芸サークル「ゆにばーしてぃポテト」の愛されキャラクター、ゆにてぃだよー! リレー小説を投稿するよ!メンバーは志央生(@sion_nisioka)前条透(@znj106)飛由ユウヒ(@yuuhi_sink)白樺桜樹(@shirakaba_saki)だよ!

マガジン

  • 【連続リレー小説 】不思議なTELのアリス【毎月20日更新】

    文芸サークル「ゆにばーしてぃポテト」が送る新たなリレー小説 「不思議なTELのアリス」連載スタート!! 電話で繋がり様々な世界へと行き来をする。主人公のアリスは無事に自分の世界に帰れるのか!?

  • 【連続リレー小説 】傘と共に去りぬ【毎月20日更新】

    文芸サークル「ゆにばーしてぃポテト」が送る新たなリレー小説 「風と共に去りぬ」連載スタート!! 毎号持ち主が変わる!? 失くし物のビニール傘を視点に置く、新感覚人間ドラマ、ここに開幕!

  • 【連載小説】そして誰もいなくならなかった

    目が覚めたら──宇宙人・未来人・超能力者と一緒に無人島漂流していた!でも近くに島があるし天気もいいしでわりとすぐに救助が来るのでは?危機感ゼロ、対話能力ゼロ、まともな人間ゼロの無人島サバイバル!毎月20日頃更新!全12話予定!

  • 【連載小説】すべてがIMOになる

    【完結済】夏休みの朝、僕らの大切なサツマイモが消えた──。衝撃のラストへ駆け抜けるリレー小説。全12(13)話。

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【小説】傘と共に去りぬ 第1話 前方宙返り【毎月20日更新!】

2月/持田一花 「つめたっ」 うなじになにかが当たって、首をすくめる。 顔を上げると、天使が降りてきたみたいに降っていた。白くて、ふわふわしていて、世界がたちまちスローモーションになったみたいだった。 冷たさに驚いたことなんてすっかり忘れて、手でお皿を作る。待っているだけで収まるそれは、わたしの熱ですぐに溶けて、不格好な水になった。今年はじめて見る幻想的な景色に、わたしは人並みに感動していた。 でも、立ち止まっている場合じゃない。 学校の帰り道。部活で温まった身体

    • 【小説】不思議なTELのアリス 第3話 ジョーカー王子

      ▼前回をまだ読んでない方はこちらから!  城に着いたときアリスは目を疑った。広大な草原にはあまりにも似合わない金一色で作られた建築物がそびえ建っていたからだ。 「ここがジョーカー城だ」  五月ウサギが鼻を鳴らして言ったが、アリスは言葉を失っていた。彼が言っていた通りの悪趣味さが建物の形からも溢れ出ていたからだ。 「随分と個性的なお城ね」  なんとかアリスは言葉を絞り出して見せるが声は震えていた。五月ウサギは「そうだろう」と笑って答える。城に近づくにつれて足取りが重く

      • 【小説】不思議なTELのアリス 第2話 五月ウサギ【毎月20日更新!】

        ▼前回をまだ読んでない方はこちらから!  まぶたの薄壁に隔てられていても尚感じる眩しさに、アリスは目をぐっと瞑った。どこかに掴まっていないとふらついてしまいそうだった。おもむろに目を開けると、そこはさっきまでアリスが受話器を取っていた昭和レトロの空間ではなく、青々とした草原が広がっていた。  アリスがいる石造りの建物からは、白い道がすっと遠くまで伸びている。なだらかな丘を超えた先には、まるで絵本の世界のように高くそびえるお城が存在していた。アリスは胸の前で手を組み、おもわず

        • 【小説】不思議なTELのアリス 第1話 黒電話の向こう側【毎月20日更新!】

           暖かな日差しの入る部屋、開けた窓から風がふわりとピンク色の小さな花びらを運んできた。それを拾い上げた彼女は窓の外を見つめた。遠くに生えている桜がここまで来たのだろう。 「アリスちゃん。荷解きは順調かしら?」  アリス、と呼ばれた彼女は部屋の入り口を振り返った。 「おばあちゃん。そうねー、ぼちぼち?」 「ちょっと休憩しましょ。美味しいねクッキーいただいたのよ。アリスちゃんと食べようと思って取っておいたの。とっても可愛い缶に入っててね」 「えー、食べる食べる。おばあちゃん

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        【小説】傘と共に去りぬ 第1話 前方宙返り【毎月20日更新!】

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        • 【連続リレー小説 】不思議なTELのアリス【毎月20日更新】
          3本
        • 【連続リレー小説 】傘と共に去りぬ【毎月20日更新】
          12本
        • 【連載小説】そして誰もいなくならなかった
          12本
        • 【連載小説】すべてがIMOになる
          14本

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          【小説】傘と共に去りぬ 最終話 傘は去りぬ

          第11話はこちらから▼  人の手を渡り私は旅する。必要な誰かのもとへ。  ×月/傘  語るのであればどこから語るべきか。私に意識が宿った頃か、それとも男に買われたときか。物語るのであればいくつもあるが、聞きたいところは決まっているであろう。  あの二月から始まる恋の物語。運命の傘をめぐり、会えず会わずの十一か月。まるでガラスの靴を持った王子がシンデレラを探して健気に探し続けた、と思えばこれほどまでにロマンティックな話はない。ガラスの靴がビニール傘であることを除けば、では

          【小説】傘と共に去りぬ 最終話 傘は去りぬ

          【小説】傘と共に去りぬ 第11話 赤信号の次【毎月20日更新!】

          第10話はこちらから▼ 「いい加減に前髪だけでも切ったら」と、母が何度目かの忠告を床に転がした。廊下の先に消えて狭くてそれを見送って、「いってきます」と反対方向へ足を踏み出す。見上げた先の空は晴れていて、なあんだ、と思う。今日もきっと、つまらない日になるだろう。 12月/朝木 誠 定期券で行ける範囲が、俺の住んでいる世界だ。それ以上でも以下でもない。狭くて息苦しくて、いっそ笑えるくらいにつまらない世界。 ちょうど停まったバスに乗り込んで定期券を機械にかざすと、ピッ、と

          【小説】傘と共に去りぬ 第11話 赤信号の次【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第10話 星の交差点【毎月20日更新!】

          第9話はこちらから▼  募集の紙を見つけたからなんとなく、という惰性で始めた書店員も気がつけば立場のある役職を貰うまでになっていた。こんなに続くなんて私自身も驚いている。  そんな中でもやはり刺激というものを欲してしまう。こんな歳でも。  寒空のある日、あの光景を見てから私はずっとあの子の様子を観察してしまっている。 11月/鷲見カンナ  あぁ、またあの子だ。最近ずっと店に来ている。それに天気関係なく傘を携えて。 「いらっしゃいませー」  そう声をかけると彼女はピク

          【小説】傘と共に去りぬ 第10話 星の交差点【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第9話 必要な後悔【毎月20日更新!】

          第8話はこちらから▼  それが最初に確認されたのは遡ること五百年程前。とある江戸に捕らえられた罪人の影から発生したとされている。  無脊椎で不定形。陽が沈む時間帯になると活発に動き出し、人間の感情を操作し、時に捕食する生態がある。それはいつしか忌み嫌われ、ある時代には絶滅寸前まで追い込まれた。  どういう原理なのか不明な点が多いが、それの生態について最も詳しく記されたとある書物によると、それの皮膚は、動物の脳と酷似していると記されていた。  また、それが絶滅に追いやられた経

          【小説】傘と共に去りぬ 第9話 必要な後悔【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第8話 回帰する傘【毎月20日更新!】

          第7話はこちらから▼ 「世界から猫が消えたとしよう、そのとき人類はそのことに気付くと思うかね」 眠たい授業の合間に聞こえてきた蛇足の話は子守歌にはちょうど良かった。 「気づくでしょ、猫を飼っている人もいるんだし」 ざわざわとした教室のなかで咳払いが一つして静寂をもたらした。 「猫が突然消えれば、当然その変化に気付くことは考えられる。ただ、概念が消えたらどうなるかな」 そう楽しそうな声音で話し続ける男の声を私は今でも覚えている。 9月/佐田 将司 それに気づいた

          【小説】傘と共に去りぬ 第8話 回帰する傘【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第7話 憧憬の承継【毎月20日更新!】

          第6話はこちらから▼ 憧れって、いつから自分の足を引っ張るようになるんだろう。どうしてその弱々しい針をもって、ほかの誰でもない自分に先端を向けたりするんだろう。 もう少しだけ、キレイゴトが生きやすい世の中であればよかった。 そうすればきっと、私の同級生も、不登校になったりなんかしなかった。 8月/持田二菜 去年、藤倉蒼と私の間には、いろんな言い訳があった。同じクラスで、同じ美術部で、どっちも上のきょうだいがいる。会話をしても、不自然でないだけの言い訳が、たくさん。

          【小説】傘と共に去りぬ 第7話 憧憬の承継【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第6話 無彩色の影【毎月20日更新】

          第5話はこちらから▼  ゴミ捨て場を寝床にしていた男を見下ろす。普段ならこんな奴、視界にも入れたくないから素通りしていくはずなのに、俺の目に入ったそれは見過ごせない物だった。 「おい、起きろ。おいってば」  俺の声に反応したのかうっすらと目を開けた。男は瞬きを数回すると、自分の状況に気がついたのか勢いよく飛び上がった。辺りを見渡した後、手元に握られているビニール傘を見つめている。 「なんだってんだ、一体」  俺だってそう思っていた事を男は呟きながらズボンに付いている

          【小説】傘と共に去りぬ 第6話 無彩色の影【毎月20日更新】

          【小説】傘とともに去りぬ 第5話 明日の捨鉢【毎週20日更新!】

          ▼前回の第四話はこちらから  うれしさのあまり、死にたくなる。ビニール傘をやっとのことで手に入れた。ズボンの裾を濡らさないよう慎重に、川から出る。傘は、頼まれたとおりのボロさを誇っていた。早く、足を洗って稽古に戻らないと。オレは近くの公園の蛇口をひねり、泥臭い足に水をかける。その冷たさが、溜まった疲労を解きほぐしてくれているようで気持ちがいい。  爪の間に入った砂利を丹念に流していると、ほどよく汗をかいていることに気づく。一仕事終えた喜びを、オレはいつの間にか感じていた。

          【小説】傘とともに去りぬ 第5話 明日の捨鉢【毎週20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第4話恋心の堕星 【毎月20日更新!】

          第3話はこちらから▼  いつからそこにあるのか知らない。興味もない、誰にも気づかれていないのか転がるビニール傘が俺を苛つかせた。 5月/美輪隆明  人間の価値はどこにあるのか、それを問われたどう答えるか。善人的解答は、価値はひとそれぞれにある、と言うだろう。あぁ、優しい答えだ。じつにくだらない甘い返答だと俺は思う。人間の価値なんて顔か金の二択だ。もしくはその両方、それ以外の答えはコーヒーにガムシロップをたっぷり入れて苦みを消すくらい邪道なものだ。 「あんまり落ち込むな

          【小説】傘と共に去りぬ 第4話恋心の堕星 【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第3話 追懐の嘲り【毎月20日更新!】

          第2話はこちらから▼ この家には、後悔の断片が落ちている。 持ち主はわからないけれど、たぶん、もう顔も思い出せない彼ではないのだろう。それだけは確かだ。残念なことに。 「これ、誰の傘?」 答えが欲しかったわけではなかった。 しかし、律儀な母が「蒼のよ」と何でもないふうに、俺の呼吸を会話へとすり替える。 弟の名前が耳に届いたのが不快で、同時に、それを恥じない自分をしんどく感じた。喉の奥がふるふると揺れて、何だか哀れに思えてくる。もちろん、俺が、ではなく、「何でもないふう

          【小説】傘と共に去りぬ 第3話 追懐の嘲り【毎月20日更新!】

          【小説】傘と共に去りぬ 第2話 星の埃被り【毎月20日更新】

          第1話はこちらから▼ 「ふわぁ〜、ねむ……」  夜中までテスト勉強をしているせいかここ最近ずっと寝不足だ。電車の窓に差し込む朝の日差しが一際眩しく感じ、いつも以上に目を細めると口から欠伸が漏れ出る。 「ん?」  眠い目を頑張って開けて電車内を見回していると、壁側にもたれかかるそれを見つけた。こんな気持ちの良い天気とは裏腹な道具は端っこで控えめに立て掛けられている。  僕はなんだか見覚えがある気がして、誰も見向きもしないそれを手に取った。 3月/倉持健志 「ねー、健

          【小説】傘と共に去りぬ 第2話 星の埃被り【毎月20日更新】

          最終話 脱出は成功した

          ↓前回の話はこちら 「めずらしな、あの島いきてぇなんて」 「すみません。無理言って船出してもらって」 「いいんだ。それにしても今日は多いな。さっきも案内してんだ」 「そうなんですか?」 「あぁ、それに聞かれてよぉ。『ここには牛は住んでますか?』って。変な質問だなって思ったけどよぉ、確かに昔はここの島にも人が住んどってよぉ。そん時に牛を飼ってたらしんだが、今も残ってるとは思えんなぁ」  俺は胸騒ぎがした。多分、きっと、いるんだろう。確信はないし曖昧な記憶だけれども、それでも

          最終話 脱出は成功した