あのイタリア人有名音楽家にも愛された!?ミラノの老舗カフェ・コヴァ(Cova)。
1817年創業のミラノの老舗カフェ・コヴァ(Cova)。
日本にも2019年秋に銀座と渋谷に店舗ができたので、ご存知の方もいるかもしれない。
(銀座店がオープンした際の様子 Hanako.tokyo より)
今や世界に25店舗を持つカフェ・コヴァ(Cova)であるが、その本店がミラノにあるのである。
今回は、カフェの歴史とミラノにある有名オペラ座・スカラ座の関係、そしてそこに集った音楽家についてを、実際に筆者が本店に訪れた際に撮影した写真を交えながら書いていく。
カフェ・コヴァ(Cova)の歴史
カフェ・コヴァ(Cova)は、1817年にナポレオン軍の兵士であったアントニオ・コヴァによって創業された。イタリアでも老舗中の老舗である。
※イタリアでは、日本でいう”カフェ”は”バール(bar)”、“ケーキ屋”は”パスティチェリア(pasticceria)” と呼ばれるが、今回はわかりやすく”カフェ”で統一する。
(創業当時のコヴァ(Cova) オフィシャルHP より)
創業当初のコヴァは、世界でも有名なオペラ座である、ミラノのスカラ座の向かいに建てられていた。ちょうどその頃の様子が、カフェのコーヒーカップにも描かれている。
(中央の大きな建物がスカラ座、そしてその手間にあるのがコヴァ(Cova)。)
のちに名士たちの社交場となったこのカフェの出店は、ミラノの歴史に残るものになったそうである。スカラ座で観劇後の時間を楽しむお洒落なカフェとして、またイタリア統一運動に参加する市民たちの会合場所として、いつの時代も多くの人々が集った。
イタリア人作曲家のジュゼッペ・ヴェルディや、前回記事で取り上げたジャコモ・プッチーニなど、世界的芸術家にも愛されたとされている。
(音楽家が集まったコヴァ(Cova)の店内)
余談: イタリア人作曲家ジャコモ・プッチーニとジュゼッペ・ヴェルディとは?
少し話題がそれるが、上に登場したイタリア人作曲家ジャコモ・プッチーニとジュゼッペ・ヴェルディは、イタリアで忘れてはならない存在である。
ジャコモ・プッチーニ
(Wikipedia より)
ジャコモ・プッチーニに関しては、筆者が生家へ実際に足を運んだ際のレポートをした前回記事を参照いただくとして、今回はジュゼッペ・ヴェルディについて取り上げる。
ジュゼッペ・ヴェルディ
(Wikipedia より)
Giuseppe Verdi (ジュゼッペ・ヴェルディ)
・19世紀を代表するイタリアのロマン派音楽の作曲家であり、主にオペラを制作した。
・代表作として、『ナブッコ』、『リゴレット』、『椿姫』、『アイーダ』などがある。
・彼の活動はイタリア・オペラに変革をもたらし、現代に至る最も重要な人物と評される。
・1962年から1981年まで、イタリアの紙幣に肖像が採用されていた。
ミラノには、ヴェルディの名前がついた国立ヴェルディ音楽院や
(Wikipedia より)
ヴェルディが27年間も滞在したとされるGrand Hotel et de Milan (グランド ホテル エト デ ミラン)というイタリア・ミラノで最古のホテルがある。オペラ「オテロ」や「ファルスタッフ」もここで作曲したとされる。
(Wikipedia より)
ヴェルディが実際に滞在していたとされるスイートルームは、「ヴェルディスイート」と呼ばれ、現在も宿泊が可能である。
(公式ホームページ より)
また、ヴェルディは、ミラノで音楽家のための憩いの家 "カーザ・ヴェルディ(Casa di Riposo per Musicisti)"の建設にも情熱を注いだ。引退後の音楽家たちが余生を過ごすことができる場所で、よくコンサートなども開催されている。自身のお墓もカーザ・ヴェルディ内にある。
(Wikipedia より)
第二次世界大戦後に移転
さて話題がそれたが、ヴェルディを始めとする多くの著名人にも愛されたカフェ・コヴァ(Cova)。第二次世界大戦で空襲を受け、消失してしまった。店舗は1950年代に、現在のミラノ・モンテナポレオーネ通りに移転した。
(モンテナポレオーネ通りからのコヴァ(Cova)。ファッションブティックが立ち並ぶお洒落なエリアにある。)
また、2013年には、LVMHグループの傘下に入り、香港や中国、ドバイ、そして日本など、世界に25店舗を展開している。
実際にカフェでお茶してみた
ここからは、実際に筆者が、朝食のために本店を訪れた際のレポートをしていこうと思う。
まず入り口を入ってすぐ、目に入ってくる、豪華なシャンデリア。
店内には、上の写真のように着席用のテーブルと立ち飲み用のカウンターの両方がある。
立ち飲み用のカウンターは、あまり日本だと馴染みがないかもしれないが、イタリアだとよくある形態である。カウンターの近くには、パンや小さいケーキなどの軽食が並び、そこから自由に選ぶ。
テーブル席は、カウンター席に比べ飲食物の値段が高くなるが、今回筆者はゆっくり楽しみたかったので、テーブル席についた。
メニューの左上の”Espresso(エスプレッソ)”は、カウンター席だと1€前後なのに対し、テーブル席だと5€である。
コロナ対策もしっかりされており、テーブルとテーブルの間隔は保たれ、マスクを入れる紙袋まで提供された。
店の奥の方には、歴史を感じる昔のCova(コヴァ)の写真が並んでいた。
おそらくジュゼッペ・ヴェルディと思われる写真も。
興味津々に店内を見回していたところで、頼んでいた朝食が到着。イタリアの朝食は、甘いパンやケーキと言わずもがなコーヒーが王道である。今回は、チョコレート入りのクロワッサンとカプチーノを注文した。
帰り際、お会計のレジの近くには、可愛らしいギフトも置かれていた。お土産としても、プレゼントとしても喜ばれそうである。
出口を出ると、また美しいショーウィンドウ。後ろ髪を引かれながら、店を後にしたのであった。
終わりに
今回は、音楽家にも愛されたミラノの老舗カフェ・コヴァ(Cova)を取り上げた。
スカラ座のオペラ公演の後で、どんな話が繰り広げられていたのだろうか…。
普通のカフェ巡りも、音楽家にゆかりのある店を探し、その歴史を感じながらするのも楽しいものである。
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