小石川夕見

普段は紙のノートにたくさん書く。 でもそれだけだと暇なので、誰かが見られるところに書い…

小石川夕見

普段は紙のノートにたくさん書く。 でもそれだけだと暇なので、誰かが見られるところに書いた。

最近の記事

水色妄想天国

全てのものの色を水色にしよう。水色に包まれて眠り、水色の部屋を見て目覚める。水色の空と水色の服で、世界に溶け込むことができるよ。 向こう側に透けている水色に触りたいな、あなたが私の部屋に来たら、全部水色だねって言うでしょう。水色見てると落ち着くからとか答えれば、ことなく会話を終えるでしょう。 掃除して、片付けて、ようやくできた陽だまりに座ってまた髪の毛が落ちる。髪の毛は黒い、肌は日に焼ける。前に見た、あの水色を探している。たくさんの水色を集めても、曇った田んぼの中にある新

    • 市民プールへの憧れ

      雨が降る前は、一瞬冷たくなって、あ、なんかわりと大丈夫だってなって、ねむくなって眠ると、大雨がまどろみの中で、はげしく、私の体はういて、大雨にごまかされた安心感の中でよく眠れる。 すべりのいい自転車のように やわらかく、市民プールのことを思い出し憧れ、次の休みには絶対に行こうと思う。 つかれているときは「ロバート秋山の市民プール万歳」をみる。つかれているときはこういうのが一番いい。なにもかもをわすれてしまう夢をたまに見る。くだらないおしゃべりがやかましつづき、役わりを忘れ

      • 癒される

        バイトに行くのにいつもより10分だけ早く家を出た。バイト先に早く着きすぎてもしかたないので、バイト先の近所を歩く。バイト先からたった数十メートルのところに児童公園があるのを思い出したので、そこへ向かう。行き先ができて、なんか安心する。時間があるとはいってもほんの10分程度だ。たった10分でどうやって気分を変えることなどできるだろう。効率よく癒されたい。おもしろくてよくわかるところだけ見たい。10分でそれを見つけて、このただ宙を見つめるだけの体と、湿気たっぷりみたいな心をどうに

        • 2020年の3月19日と20日

          2020年の3月19日と20日 正式な春、明日は立春。世の中の動きはいつも個人の感覚に比べてだいぶ鈍感。 ほんの少しだけ二日酔な上に、目を酷使しすぎて眼精疲労もあって頭が痛い。でもソファに横たわって幸福について書かれた本を読んでいる。その真っ只中、私の体が、幸福、の中に吸収された状態になってしまった。少し眠たいけれど眠れない。黄色っぽい白の光が世界のすべてになっていて、外から聞こえる音の一つ一つに対して、それを発する一つ一つがあるのだということを実感してしまうような、柔らか

        水色妄想天国

          どんなに天気がよくても鬱

          起きる理由がねぇんだよ。暇だからご飯食べてコーヒを飲む。本当にすべきことを無視し続けてどうにか生きている。私はどうせ作れない。今更やりだした人はそうじゃない人に一生かなわない。根本的に何にも興味がないだろ。なんか充実したいだけでしょ。掃除、洗濯、洗い物タイミングが合わずできなくて本当に荒んだ生活になっちゃう。昨日はこうじゃなかった、一昨日もちゃんとしてた。朝からバイトがある日は、実はハツラツとした顔で自転車をこいでお店に向かっている。全然やりたくないけどね。朝から行くところが

          どんなに天気がよくても鬱

          駅にいるやばいひと

               マグカップを持ったまま歩きまわる正午の街。人のいない住宅街。水色の優しい空、優しい光。春が本格的にやってきたって感じ。うちも洗濯をしたいな。裸足に、サイズが少し大きいスリッパでどこまで歩けるだろうか。スウェットのポケットに小銭がある、これでなんか買える。私にとっての朝が世間にとっての昼でもなんも構わないんだよべつに、太陽が昇っている間ならいつだって構わないはずだよ。でも私は実際、全然そうじゃない。午前中以外の全ての時間帯は行き遅れているような気がして焦燥感がしちゃ

          駅にいるやばいひと

          ROMAの太陽の色

          だらだらと、日がな一日窓の外を眺めています。そしてずっと空を見ている。薄い水色のオーガンジーのカーテンは、私なりの配慮。いつでも空と調和するように、部屋の中と外を断絶しないようにというつもり。おかげさまで眩しいし、外からも丸見え。こんなことばっか言って嫌なんだけど、本当に、空ってどんなときもきれいだよ。曇っていてどんより分厚い雲が、一面に広がっている日は、もうそれだけで嬉しいのに、これ以上何もしなくてもいいよって言われてるみたいに優しい。そして、言葉で表そうとするのがはばから

          ROMAの太陽の色

          モーニングノート えいえんに続く午後3時の街

          おはよう。あなたのすきな朝だよ。今日は比較的暖かく、晴れているよ。起きようよ、二度寝をどうにかこうにか蹴散らして、起きちゃおうよ、この世の情報にまみれて目が痛くなるよ、それでもいい起きられさえすればいい。きもちわるい朝だよ、ほら。こんな出てきたての鼻歌みたいな、輪郭のはっきりしない何の意味のない言葉になれないうめき声みたいな衝動が、溜まりに溜まってる。この強い衝動をどうにかスルーして朝になろうよ。おきた?おきたかい?もう山場は越えたよ、どっちか一つの現実に定まったんだ。悪魔の

          モーニングノート えいえんに続く午後3時の街

          タクシー乗る金はない、車もないしもうバスもない

          かよちゃん、彼女の家は駅から徒歩3時間。彼女は歩いた、本当によく歩いた。 なんにも考えられらない。紅茶に生姜を入れるかどうか、とかしかない。あれ、なんかちょっと風邪っぽい?書けとにかく書けなんでもいいから。紅茶を飲んだ。早起きしたい早起きしたい。袋に入っている薬が山をなしていて、その山から一粒一粒、ひとりでに落ちてゆく。おもしろいことがいつか起こりそうだとか、起こせそうだとか思ってなんとなく期待しているから、なんとなくはつらつと生きている時期を生きている。あと一時間、あと一

          タクシー乗る金はない、車もないしもうバスもない

          ぽあだむみたいな日

          昼ごろようやく床から這い出て、今日が予想以上にすばらしい日だとわかった。なにか、この日にふさわしいことをしたかった。 本当は毎日そう思っている。その日にふさわしいこと、をしたい。一体なにがふさわしいことなのか。いつも正解は一つで、それももうわかっている。結局、なりたい気分は一つしかない。何でもかんでも失敗しないようにしてしまう、分かりきった結果がもらえそうなことばかり選んでしまう。この良き日に私はついに死んでしまいたかった。私は死んだらお墓になんか入らないし、できたら土葬し

          ぽあだむみたいな日

          フルーツ大好き シリーズ1

          昨日ゼリーを作った。缶詰のモモとディルと砂糖水を固めた。間違えて砂糖を入れすぎたので、さらに間違えて適当な量の水を入れてしまった。入りすぎた砂糖は女の拳1個分くらいの量だった。ゼラチンはもう残り6枚しかない。それらはすべてふやかしてある。もうこれ以上つじつまを合わせることができないように思えてしまった。砂糖水を少し捨てて6枚のゼラチンで固まる量に調節すればすぐ解決する、それだけの問題だった。それなのに、取り分けられた砂糖水の行き場が下水しかないと思うと、どうしても流せなかった

          フルーツ大好き シリーズ1

          向こうから歩いてきたゴールデンレトリーバーの暗闇でもよくわかる金色の毛並み

          世界が美しく素晴らしいなんて、、、、なんか嫌。 それでも生きていられるのは世界が美しいから、なんて思わない。みつめてみようとする。神経を遠くの景色に集中させて、あなたとあなたとあなたとあなたが生きている、同じ世界をこの目で見ようとする。しかしそんなものは、本当はないに等しい。 夜の芝生の上、冷たい風、水の流れる音、私はこの明度を知っている。 嫌!ノスタルジーに回収されるのは嫌!でもノスタルジーがある場所は温かい(これは事実、しかたない) 向こうから歩いてきたゴールデン

          向こうから歩いてきたゴールデンレトリーバーの暗闇でもよくわかる金色の毛並み

          リビングの床

          11時に起きた。今日の深夜2時、あなたはキムチクッパ私はうな重を食べた。急に思い立って牛丼屋、こんなの久しぶりだね。帰りにセブンで買ったアイスはあなたが嫌いな味で、半分ずっこするつもりが、ほとんど全部私にくれた。クッキー&バニラなのに、ほとんどクッキーしか入ってないから嫌なんだって。手を離したりつないだりしながら家まで歩いた。少し遠回りのルートで帰ったけど、こっちの道は少し暗くて怖いから好きじゃないんだ私は。あなたはあなたでこの道が好きじゃないんだってね。なんでって聞いても、

          リビングの床

          それからは天気のことなど無視して雑務をこなした

          8月24日朝8時30分ごろ 数日ぶりに「あ、今日晴れてるな」の直感で目を覚ます。ここのところは毎日曇っていて、昼過ぎには必ず雨が降り出した。 今日こそ洗濯をしようと思って布団から出た。窓を開けると強い風が吹き込んできた。洗剤がないのを思い出してチャリに乗ってスーパーに向かう。スーパーは10時開店だった。 私は仕方なくコンビニに入り、粉タイプのアタックと缶ビールを買った。日差しは強いのにさほど暑くない。あまりにも爽やかな気持ちのいい日だ。たぶんまだ朝だから暑くないだけだろ

          それからは天気のことなど無視して雑務をこなした

          君のイメージ

          去年の夏は地元に帰った。全裸になって海で泳いだよね。この海は大都会なんだよねと言っていた。 梨とか栗とかもみじとか、秋の記号を、スーパーで見る。私は季節に敏感でいたい。 私たちの周りにあたりまえにあった田舎の景色は、今や、私にとって、あなたのイメージそのものになっている。そのイメージが、私を萎縮させる。ひとつのイメージが、浮かんでくること自体がいやらしく感じるから。私にとって、人はみんなイメージの塊。そしてその人の本体を、すぐ忘れてしまう。 たぶん君の中にも私の中にも共

          君のイメージ

          まぼろし

          泣きながら寝た日の朝はとてもしんどい。心というより、体があからさまに疲れている。目が腫れて、頭が痛い。そうなった原因のことのせいで何にも手につかないからこれを書く羽目になった。創作と生活と労働を全部ちゃんとやるのは、けっこう難しい。この3つは繋がっている。 私の場合は労働(バイト)しないとお金がないし、お金がないと生活できないし、生活らしい生活できないと創作できない。そして、生活と創作は密接していて、なんなら溶け合っている。うまいこと労働と創作だけして合理的に進めていくべき