マガジンのカバー画像

エッセイ「未知しるべ」

23
日々感じたことや、これまでの体験などをつらつらと書いたエッセイ。
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

お互いさまやね。

お互いさまやね。

結婚10年目に突入した私たち夫婦。会話がないわけではないけれど、明らかに昔よりは夫の反応が薄くなった。

「ふーん」「なるほどー」「おもしろいねー」

絶対、適当に返しているよな。なんかムッとする。夫に対して遠慮のかけらもない私は、「なにその反応。こうやって、夫婦の会話は少なくなっていくんやでぇぇぇぇ」と笑いながらちょっとだけ脅す。

プリプリしながら洗い物をしていたとき、「いや待てよ」と手が止ま

もっとみる
ウェディングドレスと大都会、そして軽トラのおっちゃん

ウェディングドレスと大都会、そして軽トラのおっちゃん

あれは9年ほど前、披露宴を終え、ウェディングドレス姿で2次会へ向かう最中のこと。

とんでもなく方向オンチな私は、タクシーを降ろされた場所から歩いて1分ほどの会場にたどり着けず、迷子になった。

もちろん夫も一緒だったけれど、ほぼ初めての場所。慌てて担当スタッフに電話をかけに行き、東京の大都会、ビルが建ち並ぶ大通り沿いでまさかの1人ぼっちになった。

✳︎

ええ歳をした大人。「助けてー」と泣きわ

もっとみる
なに基準?

なに基準?

「自閉」って言葉に、昔から違和感がある。少なくとも私がこれまで学校現場で関わった、自閉症スペクトラムに分類される子はみな、表現は得意といえない反面、世界観をしっかり持っていた。

たまーーにポツリと打ち明けてくれた発想がおもしろく、「この素材をこう組み合わせるか!」「なるほど!」と頭が下がった。了解を得てみんなに紹介させてもらうと、自然と拍手が起こったこともしばしば。

表現しないからって、心を閉

もっとみる
復活!メモ魔ライフ

復活!メモ魔ライフ

さとゆみゼミ東京道場で、日常にアンテナを張る大切さを学んだ。

しかしアラフォーの私、残念ながらすぐに忘れてしまう。

何か対策は・・・と思いついたのがメモ魔になること。いや、正確にいうとメモ魔ライフを復活させることだ。私は前職で担任をしていたとき、かなりのメモ魔だった。

「えんま帳」といわれる分厚いノートに、子どもたちの記録を残す。発表のアイデアのおもしろさ、成長具合など、可能な限り具体的に書

もっとみる
ハードボイルドな教育実習

ハードボイルドな教育実習

はじめて教員の仕事を垣間見た、教育実習の思い出を書いてみる。

当時50代だった指導教官は、京都生まれ・育ちの女性。翌日からの教育実習に向け、あいさつに訪れた私を見るなり「待っていたのよー!!」と笑顔で迎えてくれた。

「なんてええ人なんや、現場の先生たちからすると結構面倒くさい(らしい?)教育実習をこんなに喜んでくれるやなんて!」と喜ぶ私が連れて行かれたのは、教室裏の農園。

「これ、全部耕して

もっとみる
義父のはなし

義父のはなし

私の義父は、かなりおもしろい。そして、めちゃくちゃ温かい。

一見ひょうひょうとしていてお堅いけれど、実はめちゃくちゃおもしろい。私は義父が大好きだ。

キャリーするバッグやのに・・・さかのぼること約10年。
両家顔合わせのとき、スーツを着た義父は、キャリーバッグを手に持って登場した。キャリーするバッグやのに、普通のカバンみたいに持っている。しかも「重いわー」ってずっと言っている。

その瞬間、私

もっとみる
いちばんぼし、見ーっけ!

いちばんぼし、見ーっけ!

教育実習のころからずっと、受け持った子どもたちに贈り続けてきたものがある。過ごした日々で、私が見つけた「その子のいいところ」を記したいちばんぼしカードだ。

私の原点は、「100%無理!」という担任からのひと言。当時はめちゃくちゃムカつき、ほぼ反発心から「ほんなら、私が1%の可能性でも信じ抜く教師になってやろうやん!」って思ったのがスタートだ。

「できない」ではなく「できる」ところに目を向け、自

もっとみる