ああ無情。ああ無情。

読書が大好きな、
ふたりの小学生と出会ったことがある。

出会ったのは、もうずっと前。
私もだいぶ、若かった頃で、ーーー

住む地域も、通う学校もちがう、
ふたりの女の子だった。




ふたりとも、
毎日、毎日、読書をしていて、

ふたりとも、
「学校にあるすべての本を読みたい！」
と言っていた。




楽しそうに本を読む姿が
私はとても好きだったし、
『すべてを読破！』という目標は、
かっこいいな、と思って尊敬していた。




いつも、少し離れた場所で、
本を読む姿を見ていた私ですが・・・

ある日、

突然、言われたことがありました。


「あのね、すごく、いい本があるよ。
　感動する、おすすめの本。
　教えてあげる！」


そうして、教えてもらった本が、
『ああ無情』だったんです。




私はあまり本を読まないけれど、
おすすめされると急に！無性に、
読みたくなってしまうもので。
すぐに、
図書館に行き、本を借りました。

『ああ無情』

ぱらっと本を開くと、
始まりの言葉が、『司教』でした。

司教！

司教、を知らなかった私は、
頭のなかが、ホーホケキョー。

(ﾟДﾟ)？？？ 


師匠！　だったら、
ぎゅっとおでこにハチマキしめて、
オッス！と気合が入っただろう。

刺傷！　だったら、
うぅ、、と体に、
大なり小なりショックを受けたし。

視床！　だったら、
オッケー！脳の話ね。OK！OK！
ささっとペンの用意をしただろう。



でも、司教だった。（シキョウだよー）



聞きなれぬ文字で、
冒頭たった一文字で、
読了を挫折するわが能力の低さよ・・・


○|￣|＿ 


「ね、ねぇ、、
　この本さ、難しくない？？」

と聞くと、

「難しくないよー　どこが～？」

と女の子は笑っていた。


読書好きな小学生の
語彙力のすごさったらもー
いつもほんとに、驚くばかり。


のちに、


この女の子が、
信仰のあついご家庭で育ったことを知る。

司教という言葉も、
この子にとってはごく身近で、
よく聞く言葉だったのかもしれない。




そして、　年月がたち・・・




もうひとりの読書好きな女の子から
良い本があると、すすめられた。

それは、『レ・ミゼラブル』だった。

さっそく図書館で本を借りたらそれは、

『ああ無情』だった。

司教！
お久しぶりです！！！

本って、おもしろい。

フランスからきたらしいこの本は、
翻訳されるため、出版社ごとに
冒頭の文章がまるでちがっていた。

（なので同じ本だと、
　すぐには気づけなかったのです。( ;∀;)）

司教。
たった、この１文字で、
前回、読了を挫折した私は ーーーーー
つぎの行、また、つぎの行と、
話を読み進めた。


すっごい、
すっごい、


司教、でてきた。


司教につぐ、司教。


司教からの、司教。


司教ったら、司教すぎ～。





そして、私は知る。ーーーーーーー





司教は、７５歳の男性だった。





１ページ目を読み終えた私は、
またいつか、きっと、
２ページ目を読み進めるだろう。


３人目となる・・・


読書好きな小学生と、出会ったときにーーー





｟はやく読みなされー｠





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