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だらけた朝礼を変えたのは「役員の雑用」だった

朝礼の80%は義務感でできている。小中高では校長先生の話を聞く時間、そして会社では社員が集まって挨拶をする時間だ。企業によっては毎日交代で1分間スピーチをしたり、社長の講話を聞いたり、みんなで唱和したりする。

朝礼は「やらなきゃいけない」や「やるべき」といった思いから始まっているのがほとんどだろう。従業員が自主的に始めたケースはほぼないだろう。

私の会社の朝礼も、入社時からやるのが当たり前だった。だから正直だるいと感じていた。特に新入社員時代には、先頭に立って朝礼の司会をしなければならないのが大変だった。言わないといけないセリフを覚え、少し早く出勤してマイクの準備をし、朝礼後には後片付けをする。朝礼は1年目にとって、ただただ面倒な雑用だった。

「朝礼なんて無くなればいいのに」「意味ないよね」と心の底から思っていた。他の社員も同じような気持ちらしく、100人以上参加する朝礼の声はいつも小さくグダグダだった。

朝礼の雰囲気が変わったのは、今年の7月になってからだ。会社の体制変更で組織が大きく変わり、かなりの人が動いた。そして朝礼も姿を変えた。

新入社員がやっていた朝礼業務を、なんと会社の役員が担当するようになったのだ。役員は、社長と副社長の次に偉い部長陣だ。重役たちは新入社員のような大きな声で「おはようございます」と挨拶をし、スローガンを唱和する。そして最後の後片付けまで役員がやっていた。

役員を朝礼の司会にしたのは、社長が朝礼改革するためだった。今まで社長はグダグダした雰囲気の朝礼が嫌いで、朝礼に全然参加していなかったらしい。ただ組織の大変革とともに「グダグダした雰囲気の朝礼を変えたい」と思いたち、この意外な作戦を実行したのだ。

まだ7月が始まって2日しかたっていないけれど、社長の作戦は成功した。偉い人が前にいると、従業員は背筋が伸びるし挨拶の声も大きくなる。6月以前にはジャケット着用ルールも形骸化していたけれど、役員朝礼に変わってからみんな着用しだした。サラリーマンとして働く私たちにとって、偉い人効果は本当にすさまじい。

偉い人が雑用をすれば世界が変わるかも

雑用は下っ端がやるイメージが強い。誰でもできる仕事であれば、経験や能力が相対的に低い新人や若手に対応させた方が効率がいいからだ。

でも効率のよさばかり重視すると、雑用の「雑用感」はどんどん強くなっていく。雑用をしていると感じれば、新人や若手もやる気が上がらず、惰性でやるようになる。そして惰性のある場所には、いつか必ずミスが生まれる。

偉い人の雑用業務は、そんな惰性を吹き飛ばす効果がある。偉い人が取り組むだけで価値のある作業に見えてくるし、「偉い人がしているなら自分もやらないと」と感じられるはずだ。

地位や肩書は不要というひともいるけど、雑用に対するモチベーションを高めるにはやっぱり必要だ。もし世の中の偉い人がこのnoteを見ているなら、身の回りにある雑用をこなしてほしい。世界が変わるかもしれないので。

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