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ショートショート・短編

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さらっと読めて、ちょっと考えちゃうようなショートショートが書けたら良いなと思って書いてます。
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#シロクマ文芸部

【#シロクマ文芸部】レモンから

【#シロクマ文芸部】レモンから

お題:「レモンから」で始まる物語
(1166文字)

レモンから出られないかというのが彼の要望だった。
「レモンか。できるか?彼がどうしてもって言うんだよ」
監督が大道具の高田を見つめる。
「そうですね、できるといえばできますが」
「ちょっと待って」
シナリオライターの井上女史が険のある言い方で割って入る。
「そもそも、季節感重視ですよね、ここは」
「まぁ、そうだけどレモンだって果物じゃないか」

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【#シロクマ文芸部】布団から

【#シロクマ文芸部】布団から

お題:布団から
文字数:965文字

布団からもぞもぞと這い出して、欠伸しながら伸びをした。
隣で寝ているヤツはまだ起きない。
腹が減ったので起こしてやろうと思ったがやめた。気持ち良さそうに寝ているからだ。

俺たちが乗った宇宙船は着陸に失敗して大破したが、幸い乗組員の3名は全員無事だった。
通信機器も修理不能で、母船に連絡を取ることもできない。
そうなれば、なんとかこの星で生きていかなければなら

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【ショートショート】新しい噂 #シロクマ文芸部

【ショートショート】新しい噂 #シロクマ文芸部

お題:「新しい」から始まる物語
657文字

新しい敵がやってきた。
父さんと母さんがいなくなった。なんで僕たちを置いて出て行ってしまったのだろう。
寂しいのもあったが、このままでは兄弟で施設に入れられるのではないかと怖かった。
そしてこの家が人手に渡るのは許せない。
父さんと母さんがいなくなっても、ここは僕たち兄弟の家だ。この家のことなら隅から隅まで知っている。何度も何度もかくれんぼをして遊んだ

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【短編】ありがとうへの長い1日/#シロクマ文芸部

【短編】ありがとうへの長い1日/#シロクマ文芸部

お題:ありがとう
文字数:5110文字

「ありがとう!サンタさん!」
12月24日の朝は、娘の優花の喜びの声で始まった。
隆彦はその様子を嬉しくもあり、なんだか悔しいような複雑な気持ちで眺めていた。
「良いじゃない、あんなに喜んでるんだから」
「まぁ、そうなんだけどね。でも頑張ったのはオレなんだけどなぁ」
隆彦はそう言って笑った。

12月23日は長い1日だった。
「買った?」
営業車を運転しな

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【ショートショート】十二月の街で

【ショートショート】十二月の街で

#シロクマ文芸部
お題:十二月
文字数:2265文字

十二月だということを、カーラジオから流れるパーソナリティのオープニングトークで思い出した。
「そうか、12月1日か。だからか」
いつもより車が多いとは思っていたが、街中の大通りに入ると大渋滞で、先ほどから数メートル動いては長い間止まるを繰り返し、ついに動かなくなった。
少し前まで残っていた夕焼けの薄明りもすっかり消え、大通りは車のベッドライト

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【ショートショート】逃げる夢 #シロクマ文芸部

【ショートショート】逃げる夢 #シロクマ文芸部

お題:逃げる夢
1399文字

逃げる夢を追いかけて、気がつけば知らない町にいた。
ここはまだ夢の中なのか。

妻が死んで1ヶ月が経った頃、私は妙に鮮明な夢を見た。
頬で受ける木漏れ日の暖かさまで覚えている。
たくさんの椿が咲くその道を、私は妻と手を繋いで歩いていた。
「椿のトンネルだね」
妻は張り出した枝に咲いた椿の花たちを眺めながら言った。
濃い緑の葉と、鮮やかな赤い花、雄しべの黄色だけの世界

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【#シロクマ文芸部】書く時間

【#シロクマ文芸部】書く時間

お題:書く時間
140文字

書く時間は君への時間。
君のことだけを考える時間。
なぜ僕はあんな事をしてしまったのか。
決して君を怒らせたかった訳じゃない。
だけど結局、君は怒ってしまったね。
どうしたらこの気持ちを君に伝えられるのか。僕は自分の無力さに途方に暮れている。

こんな反省文じゃ、先生許してくれないだろうなぁ。

【シロクマ文芸部】消えた鍵

【シロクマ文芸部】消えた鍵

お題:消えた鍵

「消えた鍵はいりませんか?」
そう呟きながら歩く鍵屋の声は、熱された空気と渦巻くようなセミの声に溶けて消える。
地平線から湧き上がるような入道雲の上に、絵具をそのまま塗りたくったような青い空。遮るもののない太陽の光に灼かれたアスファルトが、下から鍵屋を炙る。
数十メートル先は蜃気楼に揺れ、国道をゆく車の排気ガスが、汗ばんだ肌に貼りつく。額から流れた汗は、縁石に落ちた途端に蒸発して

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【シロクマ文芸部】街クジラは空を飛ぶ

【シロクマ文芸部】街クジラは空を飛ぶ

街クジラは空を飛ぶ。
街から街へと旅をする。
大きな胸びれと尾びれをゆっくりと動かし、風を捕まえ、優雅に泳ぐ。
「父ちゃん、あれはなに?」
畑のかたわらで、ひとり遊びをしていた子供が、父親に質問をする。
父親は鍬を振り下ろす腕を休め、手拭いでひたいの汗を拭いながら、子供が指差す方向を、目を細めて眺める。
金色に輝きながら揺れる麦畑の向こう、雪が消えた山脈の手前に、黒い大きな塊が浮かんでいて、ゆっく

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【短編小説】ガラスの手 #シロクマ文芸部

【短編小説】ガラスの手 #シロクマ文芸部

お題「ガラスの手」
文字数:2442文字

ガラスの手のようだと思った。
透明感のある肌、すらっと節がないかのように伸びた指、香奈の手はまるで作り物のようだった。
はじめて会ったとき、僕の視線はその手に釘付けになった。

「和彦、話があるんだけど」
夕食で使った皿を洗い終えた香奈が、そう言いながらキッチンから出てきた。
僕は見るともなしにテレビの天気予報を眺めながら、グラスに残ったビールを飲み干し

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