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繰り返し読みたい現代の話

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時事問題として取り上げましたが、現代の問題の基礎知識等を書いています。
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#日本

不安定な韓半島 北朝鮮の核ゲーム

つい先日北朝鮮による「人工衛星打ち上げ」の失敗が話題となりましたが、今回は朝鮮戦争後からそこに至るまでのお話です。

北朝鮮経済は破綻
李承晩政権から朴正煕政権に代わり、それまでの輸入代替工業化戦略から輸出主導型工業化戦略へと舵を切り、さらに日本と国交正常化し、賠償金及び政府開発援助(ODA)の流入もあり、韓国経済は最貧国から高度経済成長期へと移行し、いわゆる「漢江の奇跡」が1960年代後半から言

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不安定な韓半島 朝鮮戦争まで

金日成総書記の勝算①日本の遺産
アメリカとの取り決め通り、ソ連軍は38度線以北まで軍政を敷きました。当初東ドイツと同様、日本が残した工場設備や社会インフラ等を解体し本国へ輸送しましたが、すぐにやめ、スターリン書記長の眼鏡にかなった金日成を1945年9月に北朝鮮に送り込みました。(北朝鮮の歴史的には、金日成が抗日運動を指揮したことになっていますが、ソ連や中国が異なる史料を公開しています)

ここで、

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不安定な韓半島 太平洋戦争終結まで

隣国は強すぎても、弱すぎても困る
日本は、何のために韓半島を併合したのでしょう?植民地化し、その富を収奪することが目的だったのでしょうか?そのように誤解されがちですが、そうであれば1905年日露戦争の直後に併合しそうなものですが、足掛け6年かけて併合に至っています。また、李朝政府へ、日本政府が無利子・返済期限なしの貸付を行う必要もありません。併合後も総督府や日本軍の駐留費等は、全て日本政府持ち、租

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不安定な韓半島 日韓併合まで

2024年1月に北朝鮮は半島統一という従来の目標を放棄し、韓国を同胞ではなく外国、しかも主敵とみなすと宣言しました。もちろん、韓国の尹錫悦政権にとっての中間選挙と位置付けられる、同年4月の韓国総選挙に影響を与え、親日・米姿勢を打ち出す現政権へ打撃を与えようという意図はあるでしょう。しかし、それだけなら何もせっかく父・金正日総書記が建てた祖国統一三大憲章記念塔まで破壊する必要はありません。金正恩政権

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すれ違いの米中関係 その1

絶妙な2024年台湾総選挙
2024年1月台湾での総統選挙は与党・民進党、第一野党・国民党、第二野党・台湾大衆党の党首による三つ巴でしたが、反中派と呼ばれる中国警戒派、親中派、とその中間としてよく政策の違いを説明されていました。親中派とその中間が、野党として統一候補に絞ることができれば、政権交代もあり得ましたが、統一できずに与党が総統選を制しました。その一方、立法院では与党が過半数席を失い、いわゆ

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積極的惰性:日米開戦80周年に寄せて(2021年12月執筆)

積極的惰性
昨年は日米開戦80周年ということで、歴史番組でこの時代の話がよく取り上げられていました。また、安全保障が専門なので、知人と話していても話題になることがあります。そこで気になるのが、どこがターニングポイントか、誰それがどうしていたらよかったか、という視点です。例えば、近衛首相が開戦直前に訪米していたら、山本五十六提督がもっと開戦回避に動いていたら、ミッドウェー海戦の指揮官が南雲提督でなか

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