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「なんで?」とよく聞く子は天才だと思う

保育士を約10年やってます yukichi. です。

幼児期に「なんで?」と頻繁に理由を聞いてくる、いわゆる【質問期】【ナゼナゼ期】という時期がありますよね。個人差がありますが、2〜6歳ぐらいまでが多いと思います。
「なんでお片付けしなくちゃいけないの?」
「なんで静かにしないといけないの?」
「なんでママお仕事に行かないとダメなの?」
などなど。

「なんでお月様って、形が変わるの?」など
高度な質問ほど、幼児にも分かる言葉選択や
説明の仕方に悩むことってあると思います。

その疑問に思う力不思議に感じる心好奇心はすごいと思う反面、未就学児の「なんで?」に対する答え方はすごく難しいと思うのです。



①4歳の天才児・Kくんのお話

私は長年子ども園で仕事をしていますが、今働いている園に「この子は過去イチの天才や!」と思う4歳男児・Kくんがいます。
Kくんは特に花や木や植物が好きで、まわりの子たちからも「Kくんはお花博士」と認識されています。おうちに図鑑がいっぱいあるそうです。

「見て、カタバミが咲いてたよ。」
「寄り道してハルジオン見つけちゃった。」
と、登園途中に摘んできたお花たちを見せてくれたり、
「先生、藤の木ってお豆ができるんだよ。ほら、これ。すっごく固いんだけどね。食べられるんだよ。」
などと教えてくれます。

カタバミ。どこにでもある雑草です。
これも雑草。よく見かけますよね。
藤の木に豆ができるなんて、知らなかった!
食べることもできるらしい。
美味しいのかな~?

私、一応先生やってるのですが、お恥ずかしながら雑草の花の名前も、藤の木に豆ができることも、Kくんに教えてもらって初めて知りました(汗)。
素直に、へぇ〜〜〜と感心してしまいます。

秋の季節になって、友達に
「この木は紅葉して葉っぱが落ちるから、落葉樹。これは緑色のまま冬でも葉っぱが落ちないから常緑樹って言うんだよ。」
なんて普通に言います。
周りの子たちからしたら、なんのこっちゃら?ちんぷんかんぷんですね。
らくようじゅ??じょうりょくじゅ??

あと、生まれも育ちも大阪で、周りはみんなコテコテの関西弁なのに、この子は標準語で喋るのが特徴的です。天才肌の子は、言語習得に周りの影響を受けにくいのでしょうか。話し言葉も大人びています。

随分寒くなってきたねー。」とか言うのです。
ず、ず、ずいぶん?? 意味知ってるのね、凄い。4歳よ。
私の語彙力ですら、めっちゃ寒いねー止まりで「随分」を日常会話で使うことなどほとんどありません。

自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群の子どもたちも、方便・方言を話さず標準語でしゃべることが多いのですが、並外れた天才児にもそういう面があるのかもしれないと思っています。

そんなKくんの「なんで?」に答えるのは、いつもひと苦労です。

②未就学児に教える言葉選びは難しい

Kくんと夕方、暗くなるのが早くなってきた話をしていた時です。
 私「日が短くなってきたね。」
 K「日が短いって、知ってるよ!夜が早く暗くなったり朝明るくなるのが遅くなることでしょ?」
 私「そうそう。」
やっぱり凄いね、その豊富な知識と語彙力。

 K「でも、なんで?
…おーっと! ここできたか!なんで攻撃!
なんで?えーと…? 私の頭はぐるぐるフル回転する。

自転や公転という言葉も知らない子に
どうやって伝えればいいの??

冬が近くなると日が短くなって寒くなる?ってのは、ただの自然現象の説明であって、【日の長さが何故変化するのか】というKくんの疑問に対する答えにはなっていない。

1日で地球が自転すること、1年で太陽の周りを公転すること、自転軸の傾きなど、私は知識として一応知ってるけど、まだそんな勉強もしていない4歳の子にどうやって説明すればいいんだ⁈
 私「地球が丸くて回ってるってことは知ってる?」
 K「うん。」←さすが。
 私「その回り方が太陽から見てまっすぐじゃないから、よくお日様が当たるところとあんまり当たらないところができるんだよ。」
フル回転してやっと答えたのがコレ。ふぅ。ゼーハー。必死のパッチです。こんなんで合ってる?

私「今度、図書館行ったらよく分かる絵本を借りようか。」←逃げた!
いや、だって難しくない?どう答えたら正解なの??
月の満ち欠け月食・日食もそうだけど、未就学児に教えることはほんとに大変です。地球の影だなんて言ったって、イメージできる?
だから小学校に行ったらお勉強するんだよ、お勉強は楽しいよ、に繋がるように導いていけばいいんですが。

分からなかったことが分かるようになるのが
勉強の楽しさです。

③子どもの【疑問に思う力】【不思議に感じる心】【好奇心】は大事に育てていきたい

私はひと通り教育を受けたので、知識として「地球は丸いこと・回っていること・重力があること」などを知っています。
でも、習わなかったとしたら、いつか大人になるまでに私はそこに疑問を感じたり、自分で気づけただろうか?

 りんごは何故、木から落ちる?
 船が水平線の彼方に見えなくなっていくのは何故?
 季節によって見える星が変わるのは何故?
 昼間の青空と、夕焼けの赤い空、空の色が変化するのは何故?

習っていなくても自分で考えて気づく人って、天才ですよね。
気づく前にはまずそれを疑問に思わなきゃいけないし。
不思議に感じるから、自分で考えて、調べて、分かる。そういう行程を踏めば絶対に忘れないし、それはもう単なる知識ではなく、真の実力になると思います。

私の子ども時代なんて、全然凡人だったわ。
ま、勉強は大人になってからでもできるけどね。

だから、幼児期の「なんで?」攻撃を何発も連発くらって正直ため息をついちゃってるお母さん!お父さん!うんざりしちゃう気持ちはよく分かりますが、そこは
「うちの子はこんなにも、なんで?なんで?と質問ばかりってことは、天才なんじゃない?!」
と自信を持ってください。

喜ばしいことだと思いますよ。うまく導けば、勉強好きな子になるはずです。勉強の楽しさが分かり勉強好きになれば、いちいち勉強しなさい宿題しなさい、なんて言わなくて済みます。その好奇心は、きっと伸びる要素になります。どんな方向へも伸びていける。

幼い子どもに教えられることって、たくさんありますね。親でも保育士でもそうです。だからこの仕事は奥深くて、自分も成長できて、おもしろいなあと思えるのです。大変は大変ですけど。
よし、また頑張るか。
先生と呼ばれるに恥じない大人にならないとね!おしまい!

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