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FTMの呼び方は?オナベと呼ばれて…

僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に戸籍を変えて生きる鈴木優希。1980年生まれ。

仕事はオナベバー経営

地元名古屋の繁華街錦三丁目。「きんさん」と呼ばれるこの街で「自分らしく生きる場所」をテーマVenusという店を経営して16年目を迎えた。

僕は元々ホステスとしてこの街に来た。

若さゆえの勢いと、どうしてもカミングアウトできない葛藤を抱え、本来心の底にある「男になりたい」気持ちに蓋をして女を売る仕事に徹した。

その店で会ったのが、僕と同じFTMの方だった。心を殺して女物のドレスを着る僕と反対に男物のスーツを着て綺麗なお姉さんを連れて生き生きと仕事をする姿を目の当たりにした。
その方は「オナベバー」と呼ばれるお店で働いていた。
実際にそのお店に行くと、男の人も女の人も様々なお客様で賑わい、活気に溢れていた。僕らの存在が「認められている世界」
全てがキラキラして見えた。
嘘で固めたコンプレックスだらけの自分がなんだかとても恥ずかしく思えた。
と同時に自分もそうなりたい!と強く思った。
それをきっかけに今のオナベバーVenusをオープンすることとなる。

オナベ...オナベバー...

??

呼び方カッコ悪くない?

僕はこの疑問をずっと思っている(笑)
男から女はニューハーフ
桑田佳祐さんがつけたとも言われていて何だか格好が良い。
その逆の僕たちはなぜに「オナベ」と言われるのか?
オカマからの類義語とも言われているが…何だかしっくりこない。
一般的にはFTMと言われるが、僕らの店がFTMバーと言われることはない。
LGBT容認が進んでいるこの令和の時代でもオナベ、オナベバーという呼ばれ方がまだ当たり前。

侮蔑的なニュアンスがあるともいわれているが、僕的に何だかダサいなぁと思うだけである。
今まで通用してきた言葉を別の物に変えることは難しい。
僕自身、Open当初はボーイッシュバーやFTMバーと宣伝したこともあったが、それではGoogleのSEOは拾ってくれないというプロからのアドバイスを受け、広告効率面でもやはりオナベバーという言葉に戻って今に至る。

いつか僕たちもカッコイイ呼ばれ方をする時が来るのだろうか。
全国のオナベバーの方々とタッグを組み新しい名前を募集する企画を打ってみたらどうだろうと真剣に考えている。

受け入れてもらえること

ここまで書いてきた通り、呼ばれ方は様々。
僕自身今でもレズと呼ばれることもあるし、ママと呼ばれることもある。
イヤというよりは何だか恥ずかしい気持ちになる。
合ってるようで何か違う...本名の英理子で呼ばれている感覚に近いだろうか。

男で扱われたい気持ちがもちろん一番強い。
そこにこだわっていた時期もある。

レズじゃない。女じゃない。男だと。

それが不思議と今は、何でもよい。
出来ればカッコイイ呼び方が希望だが(笑)
とにかく「受け入れてくれたら」それだけでありがたい。

人として。

ありのままの自分。着たい服を着て、したい髪型が出来て、自分の事を僕と呼べること。女で生まれたけど男の戸籍になったこと。
嘘のない自分を受け入れてくれること。

それだけで嬉しいものだと気付いた。

そしてそれは、自分が思っていたよりも難しい事ではなかった。
カミングアウトしたら僕の人生はどうなってしまうんだろうと真剣に悩んでいたあの頃。
性同一性障害で生まれてしまった僕の今回の人生は終わりとまで思っていた。

怖がることはない。ありのままの自分で生きていけばいい。
その先には、仲間も愛してくれる人も待っていてくれる。
だから大丈夫。
何と呼ばれても、自分らしく生きること。
呼ばれ方よりも自分の想いが大切。

これが幸せになる近道だと僕はだいぶ遠回りをして気が付いた。

2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

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