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マイノリティは武器

僕はLGBT。女から男に性別を変えて暮らすFTMトランスジェンダーの鈴木優希41歳。

どうして僕ばっかり


ずっとそう思っていた。
人と比べて自分が持って生まれたこの「性別違和」
心と体の性別が違う「性同一性障害」である事実を受け入れることが出来なくて長い時間を過ごした。
認めても認められずにいても何も変わらない「事実」なのに。
受け入れること、それはそんなに簡単ではなかった。

少数派。普通じゃない。みんなと違う。
今ではそれは「個性」であるという感覚、認識になりつつあるが、いざ自分がそこに当てはまると..そうも思えない気持ちがあった。

子供をつくること。世間体。健康な身体。やりたいこと。なりたい職業。
全てに対して「性同一性障害」であることは関係ないか?と言われたら、LGBTに寛容になった今でも全てそうだとは言えない。

性別適合手術を受けてなりたい性に戸籍を変えることは出来るが、そもそも身体の仕様が違う以上、それっぽいものになれるのでMAXだと僕は思っている。

コンプレックス売りにしてみたらどうなった?


性別を変えた僕は、男として生きていくのではなく、性別を変えたトランスジェンダーとして生きていくことで男への劣等感、少数派であることの生きづらさを感じることなく自分らしく生きることが出来ている。
これは全てにおいて共通のことではなく、僕には合っていた。そんな生き方だと感じる。同じFTMでも性別適合手術を受けて「男」として生きる道を選んだ人たちも多い。トランスジェンダーであることを公表せずに男社会で普通に生きる人もいる。

僕にはその覚悟がなかった。女の身体で生まれてきた僕が男として生きるのはマイナススタートであり、生きづらい。そう思った。

元々僕は性別を変える前は女として水商売、いわゆるホステスをしていた。女でいる事はイヤではあったけど、何よりこの仕事が好きだった。
カミングアウトをして最終的には性別適合手術を受けて戸籍も変えたが、男として「ホスト」になろうとは思わなかった。
卑屈になる自分がわかったからだ。ならば同じFTM=オナベとしてこの仕事をしたい!その世界で勝負がしたい!そう思った。
それが今のオナベバーVenusの起業へとつながる。

僕はFTM・オナベ=「元女」という事を売りにしている。それで生計を立てている。この仕事を選んだ事で、少数派であることが
マイナスではなくお客様を呼ぶ「武器」へと変わった。
いろんな意見があると思うけど、僕はそれで心のバランスが取れている。

胸や子宮卵巣摘出の手術をしたことも、ホルモン治療も恋愛経験も結婚も離婚も...FTMだからこそ悩んだ僕の人生全てが売りになる。売りにすることで収入を得る。そして収入だけじゃない。それを求めてくれる人、理解してくれる人達との出逢い。

トランスジェンダーの自分だからこそできる働き方。
FTMで生まれて良かった!!とまでは思えないけど、自分を好きになることが出来た。

生きづらさを解消するための解決方法はそれぞれに違う。

何を求めるか?

自分がどう生きていきたいか?
何をするにも我慢もリスクも必要であり。いいとこどりは出来ないけど、それぞれに生きやすい居場所しっくりくるものがある。

それを見つけるには、やりたいと思ったことをまずはやってみること。先の事を考えていてもどうせ思ったようにはいかない。ならば、とにかく行動。

僕は友達に誘われて18歳の時、この水商売という世界に足を踏み入れた。興味も何もなかった。最初はお客様と何も喋れず、お酒も飲めず、ママには怒られっぱなし。それでも辞めるタイミングを失ってあれよあれよと時間が経った。「楽しい」と思えたのはこの世界に入って4年は経った頃だった。
割のいい腰掛バイトとしか思ってなかったこの仕事【水商売】を始めて23年。自分の店を持って15年。

人生、どこでどうなるかわからない。

どうして僕ばっかり。そう思っている人がもしもいるのならば、逆に売りにしてみては?こんな僕だから出来ることがある。そんな考え方は驚くほどに自分を楽にしてくれる。

※2022.4.16(土)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第7回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

次回、第8回「BRUSHUP」は2022.5.21(土)名古屋にて開催決定!


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鈴木優希のセミナー活動関連のお知らせ、性同一性障害のお子様を持つ親御さんへのメッセージなどLGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトもご覧いただけたら嬉しいです。そしてコメントもお気軽にお待ちしています。





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