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誰にも否定する権利はない。

僕はLGBTのT。生まれた時は女だったが性別適合手術を受けて今は男に戸籍を変えて生きている。鈴木優希。

女で生きた頃

1980年12月21日 鈴木家の次女として生まれた。上には2個上の姉が居て下には7個下の弟がいる。
生まれた時から当たり前に「女」として育てられた。物心ついたときから僕は何か違っていた。幼稚園の女の先生を好きになったのが初恋だった。
それから好きになるのはずっと「女の子」だった。男の子と一緒に野球をしたり、ラジコンで遊ぶのが好きだった。
それでも幼稚園、小学校に入る頃までは違和感をそれほど感じることはなく過ぎた。

学年が上がっていくほどに段々と女は女らしくと男女の区別をされ始めた。部活も女子は野球じゃなくソフトボール。この頃から女だからという理由でやりたくてもやれないことが多くなった。

ハッキリと男女の差を思い知らされたのは、中学校入学の制服だった。女はセーラー服。男は学ラン。
気持ちは男なのに..女が好きなのに..僕はセーラー服を着なければならない。今の様に選べる時代ではなかった。
明らかに感じた心との矛盾。そこから僕の心はハッキリと壊れ始めた。

コギャル世代

中学から高校に進学した。ちょうどこの頃、コギャルブーム。雑誌はeggがバイブル、ファッションは渋谷の109が聖地だった。

心は男だけど、それを知られるのが怖い。これは誰かに話してもいいものなのか?拒絶されたらどうしよう。ネガティブな思いだけが交差していた。

ただただ人と違う自分が受け入れられずに怯えた。

「イジメられたくない。」本当は堂本剛の髪型がしたかった。でも髪を切る勇気もない。男っぽくすることはいつも妄想の中だけで、現実は無理をして流行りに乗って「ギャル」を演じた。僕は普通。作り物の女の姿の自分でいる事でそう思いたかった。

出来ること出来ないこと

見た目、格好は頑張れば変えられた。どこからどう見ても派手なに見えただろう。男に口説かれたりもした。

でも、ひとつだけどうしても変えられないものがあった。

それは自分の「こころ」

気持ちは男だから、女の子を好きになること。男として認められたい思い。やりたい仕事。生き方。
特に思春期だったからこそ特に「恋愛」だけはどうしても自分の気持ちに嘘をつくことは出来なかった。

友達に合わせて、形だけの彼氏を作ることは出来たけど、SEXはどう頑張っても出来なかった。その度に、自分はやっぱり違う。と心と体が違う現実が襲った。

誰にも言えない。自分だけのとてつもなく大きな秘密を抱えた僕は
次第にバランスを崩して荒れていった。

転機は突然に

荒れた僕はもう自分をコントロールすることが出来なくなった。制御不能。
親にもカミングアウト出来ないことで、どうしようもない怒り、イライラの感情をぶつけて家庭内暴力。父に「俺の大切な家族を壊さないでくれ」と言われるほどだった。家にも居場所を持てなくて、家出を繰り返した。

そうこうして高校も退学。
この頃は夢も希望もなくすっかり自分を見失っていた。

「高校卒業資格だけはどうしても..」という母の希望と協力で通信制の高校をなんとか卒業。服装の縛りがないという理由だけで流れのままに美容師を目指し専門学校に入学した。

なんとなく選んだこの場所で僕の人生に大きな転機が訪れた。

それは、ありのままの自分を理解してくれる人達との出逢いだった。
好きな子が出来て告白。彼女は戸惑っていたけど、受け入れてくれた。
そんな一人の存在が僕を変えた。
女で居なければいけない。という気持ちは一切なくなった。
「男として彼女をしあわせにしたい!」
こんな僕を選んでくれた彼女の為にその辺の男に負けない自分でいたい!と強く思うようになった。
その後、友達にもカミングアウト。「英理子は英理子じゃん」と受け入れてもらったおかげで僕は一番大きな壁であった親へのカミングアウトまで進むことが出来た。

ありのままの自分を受け入れてもらう事が大きな自信になる事を知った。
それは大勢でなくてもいい。ひとりの力があんなに真っ暗だった僕の世界を変えてくれた。

今思うこと

僕は性別違和を感じてから長い間、だれかに「否定」されるのが怖くてずっと他人の目に怯えていたけど、そんな風に気を遣って付き合ってきたその人たちは今僕の周りには誰ひとりいない。

今考えると「どーでもいいこと」だった。
否定する人は居る。いつの時代も。今のLGBTが認められているこの時代だって存在する。
でもわかって欲しい。

誰にも人の人生、生き方を否定する権利はない。ということを。

だから人を否定する人はそのレベルの人だと放っておいたらいいだけ。
自分の大切な人生をそんな人の為におびえたり傷ついたりして欲しくない。

よくわからない大勢の他人より、ありのままの自分を理解してくれるたった一人を大切に生きていけばいい。

2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

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