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【書評掲載】ウィリアム・ブリッジズ『トランジション マネジメント─組織の転機を活かすために』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1137号

今年度4月より、産労総合研究所が発行している専門誌『企業と人材』の書評コーナーの連載を担当することとなりました。

人と組織の力を高める人材開発情報誌』である本誌ですが、『人を活かす組織づくりのヒント』と題して毎月、関連する書籍を紹介しております。

書評コーナー『人を活かす組織づくりのヒント』

人を活かす組織づくりのヒント』を提供する書籍として今回、取り上げたのはウィリアム・ブリッジズ、スーザン・ブリッジズ著『トランジション マネジメント─組織の転機を活かすために』(パンローリング)です。

アメリカの著名な著述家、教師、コンサルタントであり、人間性心理学会会長(President of the Society for Humanistic Psychology)を務められたウィリアム・ブリッジズ氏(William Bridges)が著した本書を、連載第4回目に紹介させていただきました。

『企業と人材』と『トランジション マネジメント』

企業と人材』は毎月5日に発行予定ですので、書評コーナー以外もぜひ手に取ってご覧ください。

トランジション(Transition)とは?

ウィリアム・ブリッジズ氏の唱える『トランジション(Transition)』とは、人生における転機、変化に対処するために起こる心理的・内面的な変容を指します。

就職、結婚、転職、出産、引越し、死別など、人生の転機には大きな内面の変容・トランジションも伴います。

ブリッジズ氏は、人間性心理学会会長(President of the Society for Humanistic Psychology)を務める以前はアメリカ史、アメリカ文学の研究を行っており、アメリカ人のライフスタイルがトランジションと共にあることを見てとっていました。

同時に、現代社会の変化やその変化の加速により、多くの人が変化に対して心構えができない状態のまま、どこに辿り着くかもわからない不安や苦痛、曖昧な浮遊状態に置かれていること、また、トランジションの意味合いも異なってきていることを捉えていました。

2014年に出版された『トランジション―人生の転機を活かすために』は、ブリッジズ氏自身の研究・洞察及び文化人類学者アーノルド・ヴァン・ジェネップ(Arnold van Gennep:アルノルト・ファン・ヘネップ等とも通過儀礼の考え方を現代人の生涯、ライフスタイルの変容に応用する形でまとめ上げられた書籍です。

『トランジション ―人生の転機を活かすために』

また、『トランジション―人生の転機を活かすために』の出版以降、2019年には『Transitions (40th Anniversary Edition): Making Sense of Life's Changes』が出版されています。

ブリッジズ氏は1980年に『Transitions: Making Sense of Life's Changes』の初版を出版以降、その対象を企業組織における組織変革、トランジションに応用を始めます。

この、ビジネス領域における組織のトランジションに焦点を当て、その際にリーダーや管理職、マネージャーはどのように組織のトランジションに向き合うべきか?などをまとめたのが、『Managing Transitions: Making the Most of Change』です。

1995年に初版が出版されて以来、改訂を重ね続け、2017年には第4版が出版されました。

また、同年11月に『Managing Transitions: Making the Most of Change』第4版の邦訳書籍が『トランジション マネジメント ─組織の転機を活かすために』として出版されています。

ブリッジズの著書『トランジション マネジメント』『トランジション』

『トランジション マネジメント(Managing Transitions)』の中では、組織にはライフサイクルが存在し、7つのステージのどの段階にあるかによって組織のトランジションの課題が変わることや、トランジションのインパクトをいかに皆で分かち合っていくか等について紹介されています。

人材開発情報誌『企業と人材』とは?

『企業と人材』は、株式会社産労総合研究所が発行している『人と組織の力を高める人材開発情報誌』です。

『企業と人材』第1137号(2024年7月5日発行)

発行元である産労総合研究所は、1938年(昭和13年)に創設された労働問題の民間調査機関『産業労働調査所』を前身とする出版社・民間シンクタンクです。

企業と人材』は1968年(昭和43年)に『社内報新聞』として創刊され、その後『社員教育』、『企業と人材』へと改題を重ねながら、2013年2月に第1000号が発行されました。

産労総合研究所は企業と人材の他、賃金事情』『労働判例』『労務事情』『人事の地図といった人事労務分野だけではなく、病院経営羅針盤』『医事業務など医療介護経営分野における出版を中心に、同分野での調査研究・提言を行っています。

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さらなる探求のための参考リンク

William Bridges Associates

【読書記録】トランジション―人生の転機を活かすために

人事メディア情報(企業と人材)|『日本の人事部』

書評掲載バックナンバー

エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1134号

鈴木規夫『インテグラル・シンキング―統合的思考のためのフレームワーク』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1135号

【書評掲載】ブライアン・J・ロバートソン『[新訳]ホラクラシー―人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1136号


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