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夜、電灯は虹色に輝く
眼鏡を新調した。
元々、あまり眼鏡の似合う顔ではないので、よい形や大きさのものに出会えるのは稀である。
流行りの丸眼鏡風で、べっ甲フレームに、金のテンプル(つる)というのが気に入った。似合わないわけでもない、と、思う。おそらくは。
外出時はコンタクトをするので、今は家でしか使っていない眼鏡も、もう3年くらい経って、鼻当ての部分にヒビが入ってきていて、いつ壊れるかわからないから、と言い訳しながら、お
花も買えない生活なんて
10月に入ってから、初めてお花屋さんに行った。うすピンクのガーベラが並ぶ中に、ひとつだけ鮮やかな色が混じっていて、私はなぜかその花に強烈に惹かれたので、手に取って、レジへと向かった。お会計をしながら思った。
切り花一本でさえ、もはや贅沢品なのだ。
家に帰って、水を流しながら茎を切っていく。ぱちん、ぱちん。一輪挿しにちょうど良い長さまで切る。切りながら、少しかなしい。
ああ、花も買え
また一つ歳をとる、私、一輪の薔薇
二〇一九年八月六日、わたしはまた一つ歳をとった。
酷い目眩に苛まれながら日を跨ぎ、お祝いのメッセージに返信をしながら眠りに落ちた。目が醒めるともう昼過ぎで、母親が付けっ放しにしているテレビでは広島の原爆について話している。手を合わせ、目を閉じて。祈る。亡くなった方々の安寧を。
わたしの誕生日はいつも、黙祷から始まる。
小さな頃から、夏休みに入るとすぐに祖父母の家に泊めてもらっていた。東京
映画『愛がなんだ』 鑑賞メモ
映画館に行くとき、わたしはトラベラーズノートを持って行ってメモを取るのですが、『愛がなんだ』があまりにも良すぎて、メモを書き起こしたので、ここに残しておきます。
映画の時系列に沿って進んでいくので完全ネタバレです。それから、後から開示された情報は付け足していないので、鑑賞後の感想のまとめとはまた異なります。あくまで「観ながら書き記したメモ」です。
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ぐちゃぐちゃの煮込みうどんをいじくりま
結局孤独が向いているのだ
結局わたしには、孤独が向いているのだ、と、ここ数日で実感している。
ゴールデンウィークに入り、わたしは親戚の家まで遊びに来ている。遊びに来ている、と言っても、どこへ行くわけでもなく、ただ、寝泊まりするだけ、だ。
山の奥にあるこのおうちには、テレビの電波も入らなくて、時々、ラジオを聴きながらおじさんが畑作業をしたりしている。山の中からけもの道を歩いて、ほとんど人のいない、だだっ広い畑地帯に出
わたしはわたしを捨てられないから
春の桜の甘い匂いが、鼻をかすめた気がした。
もう季節は春で、あまりにも春で、桜は散って、かすかに残っているのは葉桜だけだ。
川沿いを自転車で走りながら、私は、春の空気を肺いっぱいに吸い込んで、そして、これを一生吐き出したくない、と思った。
春はあたたかくて、心地よくて、わたしが、存在してもいいんだって、肯定していてくれるような気がする。
肺がピンク色になって、そのまま染まっちゃえばいいの
喧嘩上等、上等な人生
上等な人生ってなんだろう、と思いながら、わたしはこのトンネルをくぐった。くぐった先には謎の公園みたいなスペースがあって、子供が二人、キャッキャとはしゃいでいた。わたしの横を、某塾のリュックをしょった少年が自転車で通り抜けてゆく。
そこにあるのは、わたしにはもう届かない、まぶしい、彼らの人生だった。
わたしは、最近とても疲れていて、今日も朝からぐるぐるとずっと同じことを考えていた。
僕には
「雪の残像、そして憧憬」
Fate/stay night [Heaven's Feel]
Ⅰ. presage flower に寄せて
「雪の残像、そして憧憬」
イシカワ ユウカ
夏の日の汗の滲む昼弓を引く鋭く射るは私の少年
「俺なんて」などと言うのかお前には勝てぬ僕のこと知っているのか
兄さんに言われて来ました私はね言われて来ただけそれだけなんです
何度戸を開けてもそこに在るという有難き君の存在がここ
はじめに:プロフィールと各種リンク
noteでは、短編小説・既発表短歌のまとめ・新規連作の掲載などを行う予定です。(あと気が向いた時にチマチマ記事を書いていきます。)
〈プロフィール〉
筆名 : イシカワ ユウカ
詳細 : 20代、女性 / 歌人
好きなもの:
・お酒(ウイスキー/バーボン派、クラフトビール、芋焼酎)
・本(純文学、歌集、詩集)
・音楽(ジャズ全般、一部のJ-POP、フォークソング)
・映画(邦、仏、基本